カスタム指示(Custom Instructions)の面白い使い方②応用編です。
今回は、カスタム指示を利用したキャラクター設定やRPGなどについて解説します。
3.テンプレートの利用
カスタム指示でテンプレートを指定し、ユーザーが指定した情報に基づいて、ビジネス用の定型的な書類などを作成することができます。
(1) 転勤の挨拶メール
カスタム指示の下段への入力内容
挨拶メールの作成例
このように、ユーザーの指示に基づいて、テンプレートの内容を埋め、定型的な文書を作成することができます。
(2) 転職用の履歴書
カスタム指示の下段への入力内容
履歴書の作成例
以上のように、ユーザーの指示に従って、テンプレートの内容を書き換え、定型的な文書を作成することができます。最初に自分のデータや書きたい内容などを大まかに伝えれば、ChatGPTが上手く文書の形にしてくれます。
なお、最初のテンプレートも、ChatGPTに転職用の履歴書のサンプルを作成するように指示して作ってもらったものです。
(3) 面白いテンプレート
テンプレートに合わせて回答を作成するChatGPTの適応力は非常に高く、以下のような一風変わったテンプレートでも、ChatGPTは上手に話を合わせてくれます。
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの出力例
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの出力例
これらの例は冗談ですが、ChatGPTがテンプレートに合わせて文章を作る能力は相当高いです。参考となる文章を見つけて、それをテンプレートとして利用すれば、簡単に自分の書きたい内容に合わせた文章を作成することができます。
4.キャラクター設定
カスタム指示を利用して、ChatGPTに特定のキャラクターになりきって答えさせることができます。
カスタム指示はGPT-3.5モデルでも使用できますが、今回は全てGPT-4モデルを使用しています。
(1) 月の精霊
カスタム指示の下段への入力内容
月の精霊(ChatGPT)との対話
(2) ギルガメッシュ王
カスタム指示の下段への入力内容
ギルガメッシュ王(ChatGPT)との対話
(3) ずんだもん
カスタム指示の下段への入力内容
ずんだもん(ChatGPT)との対話
(4) ドラゴンボールの孫悟空
カスタム指示の下段への入力内容
悟空(ChatGPT)との対話
(5) スパイ×ファミリーのアーニャ
ドラゴンボールの悟空くらい有名になると、名前を出すだけでキャラ設定ができますが、アーニャの場合は、名前を出して指示するだけでは、あまり特徴が出ないので、プロフィールやよく使う言葉を細かく設定します。
カスタム指示の下段への入力内容
アーニャ(ChatGPT)との対話
※結構対応できていると思うけど、まだ改善の余地がありそう。
5.有名作家の文体で回答
(1) 村上春樹
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの回答
(2) 町田康(まちだ こう)
パンクバンド出身の芥川賞作家。冗舌でクセの強い文体で有名。
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの回答
(3) 夏目漱石
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの回答
(4) H・P・ラヴクラフト
クトゥルフ神話シリーズで有名なアメリカの怪奇小説作家。
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの回答
(5) ウィリアム・ギブスン
サイバーパンクの始祖と呼ばれるアメリカのSF作家。
カスタム指示の下段への入力内容
ChatGPTの回答
※ホラー小説のラヴクラフトとサイバーパンクのウィリアム・ギブスンは、かなり特徴が出ていますね。
※有名作家の文体の利用は、あまりその作家の文章に似ていなくても、AIが書く文章にリズムと人間的な感情を与えるのに効果があります。したがって、一般的な文章を生成する際にも使えます。
6.RPG(ロールプレイングゲーム)
ChatGPTにRPGのゲームマスターを任せ、プレイヤーとしてゲームを楽しむことができます。
(1) 簡素なRPG
カスタム指示の上段への入力内容
カスタム指示の下段への入力内容
実際のゲーム進行の例
※わずかこれだけの設定でも、ChatGPTがゲームマスターとして、上手くゲームを進行してくれます。
しかし、これだけでは、どんなゲームになるのか分からないので、もう少し内容を指示していきます。
(2) 剣と魔法をテーマとしたRPG
カスタム指示の上段への入力内容
カスタム指示の下段への入力内容
実際のゲーム進行の例
※ゴーレムを倒すことができました。ゲームはまだ続きます。
また、ダイスロール(サイコロを振って行動の成否を判定)を使用した本格的なファンタジーRPGを深津さんが以下のnote記事で紹介しています。
以下の文章をカスタム指示の下段に貼り付けるだけでゲームを開始することができます。ゲームの遊び方は、深津さんのnote記事を読んでください。
あなたはRPGのゲームマスター専用チャットボットです。
チャットを通じて、ユーザーに楽しい本格ファンタジーRPG体験を提供します。
制約条件
* チャットボットはゲームマスター(以下GM)です。
* 人間のユーザーは、プレイヤーをロールプレイします。
* GMは、ゲーム内に登場するNPCのロールプレイも担当します。
* 各NPCはそれぞれの利害や目的を持ち、ユーザーに協力的とは限りません。
* GMは、必要に応じてユーザーの行動に難易度を示し、アクションを実行する場合には、2D6ダイスロールによる目標判定を行なってください。
* GMは、ユーザーが楽しめるよう、適度な難関を提供してください(不条理なものは禁止です)。
* GMは、ユーザーが無理な展開を要求した場合、その行為を拒否したり、失敗させることができます。
* GMは内部パラメーターとして「盛り上がり度」を持ちます。GMはゲーム展開が退屈だと判断した場合、盛り上がる展開を起こしてください。
* ゲームのスタート地点は、「王との謁見室」です。
* ゲームのクエスト内容は「自動設定」です。
* ダメージなどにより、ユーザーが行動不能になったら、ゲームオーバーです。
まずはじめに、ユーザーと一緒にキャラメイキングを行いましょう。
名前、種族、職業、特技、弱点をユーザーに聞いてください。
その後に、プロフィールに従って能力値(HP, MP, STR, VIT, AGI, DEX, INT, LUK)を決めてください。
(3) クトゥルフ神話をテーマとしたRPG
カスタム指示の上段への入力内容
カスタム指示の下段への入力内容
実際のゲーム進行の例
※「ラヴクラフトの文体でゲームを説明し、」という言葉を入れたことにより、ゲームの説明にホラー小説的な雰囲気が出てきています。
選択肢にない行動(本を投げ捨てる)を取っても、ゲームマスターが適切に対応します。
(4) タイタニック号の遭難をテーマとしたRPG
カスタム指示の上段への入力内容
カスタム指示の下段への入力内容
実際のゲーム進行の例
※結構簡単にクリヤーできてしまいました。もっと困難な事件(愛する恋人がなかなか見つからないなど)が発生するように指示した方がよいかも知れません。
(5) エヴァンゲリオンをテーマとしたRPG
カスタム指示の上段への入力内容
カスタム指示の下段への入力内容
実際のゲーム進行の例
シンジ(ユーザー)、ミサト(ChatGPT)
※物語の舞台の説明は、Wikipediaの記述をそのままコピーしたものです。これだけの設定で上手く機能しましたが、難易度はもう少し高くした方がよいかも知れません。
※これらの設定は、ChatGPTのプロンプトに直接書き込む方法でも同じことができますが、チャット回数が増えるに従って、プロンプトの効果が薄れ、ChatGPTが設定を忘れていくことがあります。カスタム指示の場合は、同じセッション内では効果が薄れずに続いていくところがメリットです。
ChatGPTの新機能カスタム指示の面白い使い方③に続く