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15歳柴犬、前庭疾患闘病記。26日目で突然立つ。

七月初旬。母は手術した一般病院から退院し、リハビリ病院へ転院した。
リハビリ病院での入院期間は三ヶ月。
年齢も年齢なので、元のような状態になることは難しいだろうとの話で、リハビリ病院を経て施設へ入るという方向で検討をしている。
車椅子で移動出来るような家ではないし、絶対にまた何かやらかす。今度こそ、寝たきり状態になってしまう可能性はものすごく高く、母が何を言おうとも自宅へ戻るのは無理だと、はっきり伝えている我、長女。

精神的に大変しんどく、母だけでなく、父もアレなので、いや参ったねーというところへやって来た酷暑。
七月はじめの頃から35度を超える猛暑日が出始め、37度なんて日もあり、今年も暑いねえ…というのが口癖になって来た二十日過ぎ。

我が家の老犬が前庭疾患を発症した。

先に老犬のスペックを記しておく。

可愛いおじいちゃん犬である。



十五歳と半年を過ぎたばかりの、去勢手術をしていない雄の黒柴。
小さな頃から偏食がひどく、フードに苦労して来た。
五歳過ぎにハゲをこしらえ、治療に苦労する。
結果、皮膚疾患ではなく、心臓が原因だったようで、アピナックの常用と毎月の検診が欠かせなくなる。
今年春頃から何度か軽いけいれん発作を起こすも、高齢ということもあり経過観察していた。
このところは二十時間くらい寝ていて、稼働時間は四時間くらい。
階段は上がれず、散歩もだんだんと距離が短くなり、家の周囲を回る程度。歩くのは超ゆっくり。牛歩ならぬ蝸牛歩。
排泄の失敗はなく、必ず外でする。逆に家の中では出来ない。
フードは一日一度食べたらいい方。
おやつへの執着はすごい。ドライささみを好んで食べる。ドライささみの為にワウッと大きな声で吠えたら出てくるシステムを構築。

そんなよろよろおじいちゃん犬だったので、もうこのまま、朝起きたら死んでいたというようなことが起きてもおかしくないなあという覚悟は仄かに持っていた。

というのも、私がこれまで飼って来た犬に十五歳を超える長寿の犬はいなかった。バーニーズマウンテンドッグという大型犬を続けて飼っていたせいもあるのだが(大型犬…特にバニは寿命が短い)、初代が十年、二代目が八年、三代目が四年(この子は誤食が原因で手術中に亡くなってしまった)で亡くなっているので、十五年も生きるなんてエルフ(種族違い)みたいなものだ。

現在、妹が飼っているバニ。6歳なのでもうシニア。シビアなバニ界隈。

そんな高齢犬にとって今年の酷暑は大変なものだっただろう。
そう分かっていたつもりだが、ちゃんと気遣えていたかと言えば怪しい。
とにかく人間の方の介護があれこれ大変で、おじいちゃん犬の世話がおろそかになっていたのではないかと言われれば否定は出来ない。特にお水をちゃんと飲めているかチェックは出来ていなかったかもしれない。

母のリハビリ病院のあれこれが落ち着き、父の世話もルーティン化し、なんとかやっていけるのではという目処がつきかけた頃だった。

早朝、四時半頃に、犬が私のベッドまでやって来た。

早朝から猫に起こされることはしょっちゅうだが(毎日四時過ぎに踏まれている)犬は余りやって来ない。特に老齢になってからはベッドにあがることが出来ないし、夏だから暖を求めて来ることもない。
どうしたのかと驚き、起きてみると、左に傾いている。なんだかおかしい。明かりをつけて様子を見ると、歩こうとしても転んでしまうし、なんとか起き上がっても左旋回してしまうのだ。
その様子を見ただけで前庭疾患だと分かった。

柴犬には多いと聞いていたので、密かに恐れていた疾患だ。

外へ連れ出し、広い駐車場で様子を見てみる。やはり左旋回しか出来ない。ただ、まだ立っているし、おしっこも出来る。
だが、早めの受診が肝心なので、動物病院の先生が電話に出てくれる時間を待って連絡し、診て貰うことにした。

犬を診て貰っているのは二代目バニが謎症状の病気になり、どうにもならなくなって辿り着いた先生だ。
腕はいいのだが、かなり個性的で癖がある。
正直言って、性格に問題があるので、猫たちは別の病院にかかっている。

犬はハゲた際、原因が分からず、他の病院ではらちがあかなかったので(仕方なく)連れて行った。皮膚病ベースで治療していてもよくならないし、よくならないのに漫然と同じ治療を続けようとする獣医に疑問を抱いた。
その点、先生は実験好きなこともあって、結果が出ない治療はさくっと切り替え、他の視点を考えてくれる。犬の為にあれこれ調べ、試してくれる。その結果、心臓の治療をしてみたらハゲが治ったのだ。

なので、それ以後、犬は先生に診て貰っているのだが、先生のところの患者は(この場合、患獣の飼い主ですね)メンタルが屈強な飼い主か、先生の問題が全く見えていない老人しか、いない。
たぶん、昔ってああいう感じの獣医しかいなかっただろうから老人は先生の理不尽さが気にならないのだろう。
でも、今の獣医さんって優しいのだ。
優しくされたいじゃないか。飼い主は。(高いお金払うんだし)

でも犬が一番だから。飼い主は頑張るしかないのだ。

犬を診た先生は病名などは一切口にせず、点滴して注射して、薬の説明とかして、また明日来て下さいと言った。
こっちの都合はもちろん、お構いなしだ。犬ファーストだから、先生。

先生に説明を求めるとめんどくさいことになるのは分かっているので(だってもう十五年以上の付き合いだしね)帰宅後、ネットで情報を得た。
(今時あり得ませんよ!と憤る諸氏もいらっしゃるかと思うが、私は酸いも甘いもかみ分けて黒も白として飲み込んで先生に付き合っているのでそうなのねとお付き合い願いたい)

前庭疾患には末梢性と中枢性があること。老犬の場合、突発性前庭疾患が多く、原因を取り除くような治療法は特にないこと。吐く場合は制吐剤、水分を取らせる為に輸液、食事の補助など、対処療法が中心らしい。

だよな…と納得し、今の症状に必要な対応をしていこうと決めた。

この時点で犬はまだ立てていたし、傾いていたり、左旋回しか出来なくても歩けていた。
ネットの情報では数日で改善が見られるとあったし、明日も病院行くし、一週間程度でよくなるのではないか。
そんな甘い期待を抱いていたりもしたのだ。

しかし。

翌日、犬は立てなくなり、ゴロゴロ回り始めた。
立てないだけならよかった。いや、よくないのだが、マシだった。本当に寝たきりの状態ならばこちらも扱うのが楽なのだ(言葉が悪いかもしれない。申し訳ない)。

しかし、犬はひっくり返ったまま回る。ゴロゴロマルチャーレ状態だ。

これだよ。怖いだろう?

眼振もひどく、捻転斜頸もMAXで、左目の黒目が沈んでしまっていた。
エアコンをきかせ涼しい状態の部屋にいてもハアハアと息使いは荒く、部屋の中を回っている。
二十時間、寝てばかりだったおじいちゃん犬のどこにこれほどのパワーが残っていたのかと驚くくらいの勢いで、部屋中を転げ回る。
排泄の為に立たせようとしても立てない。
抱きかかえると身体を捻って暴れる。
思い切り頭突きされるから眼鏡が吹っ飛ぶ。

立てなくなった時点でおむつをしたのだが、常に回っているものだからおむつがずれて、部屋中におしっこをまき散らす。
その度にラグを洗い、床を拭き…キリがないので防水シーツを敷いたマットの上に更にペットシーツを敷き、その上に寝かせたがゴロゴロ回るからマットから出てしまう。
出られないように段ボールで囲ってみたりしたが、回っている内に段ボールの角にはまったりして鳴き叫ぶ。

苦悩の跡が窺える室内。捻った犬。この状態で3週間以上。


その後段ボールで囲ってみたバージョン。今思えば、いや、さっさとペットサークル買えや案件。
プロコンは気にするな。


これが二十四時間である。

しかも最高気温が37~39度ときたもんだ。

余りにも辛かったので愚痴記録を書き残していたのだが、今読むと泣ける。

これがいつまで続くんだろう。
どうなるんだろう。
もうずっと立てないままなのかな。
回り続けるのかな。
治療はしていても不安で仕方なかった。
先生は「治る」と言い切っていたけど、信じられなかった。(ごめん、先生)
不信感でいっぱいで言い返したりもした。(だって先生無茶ばかり言うからさ)

ネットやYouTubeではMAXひどい状態の犬の様子は出て来なくて(そりゃ編集していてこれは無理だなとか判断働くよね)よくなりました~という感じのオチで、そこまでの経緯が分からず、途方に暮れたりした。

なので、役に立つかどうかは分からないのだが、現在形で困っている飼い主さんに少しでも救いになったらと思い、経緯を書いてみる。
2週間を過ぎたあたりで疲れ果て絶望し、もうこの子はずっとこのままなのかもと暗澹たる思いになったが、それでも26日目で唐突に立った。そういう場合もあるという記録である。

長いし、愚痴にもなっているので申し訳ないが、もしも、今、辛くて何でもいいから情報が欲しいという方の目に留まったら幸いなのだ。

お役立ち情報も書いてみたので、そちらだけ必要な人は日記部分を飛ばしてくれたらいい。
*おしっこ、うんちという言葉が頻繁に出てくるのは勘弁して下さい。排泄、食事並に大事な問題なんですよ。

老犬介護日記

一日目
左に傾く。左回りしか出来なくなる。
立てて歩けていた。
受診、点滴。
チューブダイエットを自分で飲めていた。
⚪︎チューブダイエット…病院で処方される栄養食。

ほぼ粉ミルク。


二日目
受診、点滴後、本格的に立てなくなる。
眼振(横揺れ)がひどい。捻転斜頸もひどく、左目が白目ばかりになっている。
お腹が上で左側を下にした、ひっくり返った状態でしかいられない。
立てないので水も飲めずフードも食べられない。
おしっこも出来ないのでおむつ(マナーベルトタイプ)を装着。
うんちも出ない。
シリンジで強制的に給水。
チューブダイエットもシリンジで投与。
夜中、ずっとぐるぐる回る。息使いが荒く、ヒンヒンと鳴く。
寝たまま旋回→疲れて眠る→起きて旋回の繰り返し。

三日目
受診。
立てずにひっくり返ったままなので、車の床にペットシーツを敷き詰め、ガムテで貼り、犬を運ぶ。
犬用ベッドは回りながら出てしまうので人間用サイズのマットレスに防水シーツを敷き、その上からペットシーツを敷き、寝かせる。
転がる→眠る→転がるの繰り返し。
その間、ヒンヒン鳴く。
息使いがずっと荒い。
投薬は口の端から錠剤を入れ、シリンジで水を入れて飲ませる。
常にハアハアで舌もだらんと出ている。
チューブダイエットの他に茹でた鶏も与える。好物なので食べる。

ストレッチポールは挟まり防止。だからプロコンは気にしないでくれたまえ。

四日目
ずっと寝てない飼い主、限界を感じる。
転がる→眠る→転がる
常に転がるのでおむつがずれてしまい、失敗が多い。
ペットシーツの上ならまだしもラグの上だと洗濯しなくてはならないので辛い。
少し眼振が弱まったように思える。
寝ている間にこちらも寝たいのだが、不眠症の気があるのでそううまくはいかない。
少しでも鳴き始めるとすぐに起きてしまう。

五日目
眼振が弱まったように思えたのは気のせいだった。
シリンジで給水、チューブダイエット投与。
茹で鶏は飽きたらしく食べなくなった。
受診。
当初、二日くらいで収まるという話だったが既に五日。今度は一週間程度でかかると言い出した。先生に不信感。
シリンジでの給水やチューブダイエットの投与を厭がるようになる。
お願いだから飲んでと、こちらも寝ていないので涙ながらの戦い。
夜も二時間おきに鳴くので、眠れない。

六日目
チューブダイエットや給水で咳き込むようになる。
厭がっているのか、飲み込みが出来なくなっているのか判別つかない。
体力が落ちて来ているのかもしれない。
おしっこが出なくなったのでおむつが厭なのかと考え、おむつを外して外へ連れ出す。
お気に入りのおしっこポイントで抱っこした状態でさせようとするも出ない。

七日目
これまでずっとうんちが出ていなかった。
ヒンヒン鳴いているなと思っていたら、うんちが出ていた。
固まりと、柔らかめ。
マナーベルトタイプのおむつしかしていなかったので洗濯物が大量に出る。
一旦、ほっとする。
これまでシリンジを洗って使っていたのだが無理を感じてAmazonでポチる。
うんこが出てすっきりしたのか、少し眠ってくれる。
外でおしっこ出来る。
犬を抱っこした状態で人間が屈まなくてはならないのでしんどいが、犬的にはいいはずだ。

八日目
病院へ出かける前に悲劇。
少し目を離した隙におむつが外れた状態でおしっこと下痢状うんちをまき散らしながら部屋の中をぐるぐるしていた。
犬も糞尿まみれだが、部屋も糞尿まみれ。
その上、受診の時間が迫っている。
最高に泣きたくなった。
いや、泣いた。
なんとか受診。
下痢の治療も開始。
飲ませなくてはならない薬がどんどん増える。
犬がうんち爆弾になるのが怖くて、マナータイプのおむつと、普通のおむつを二重にする。
犬は不快らしくずっとぐるぐるする。
可哀想でおむつを外すと眠る。

九日目
相変わらず、ヒンヒン鳴き始めると水を与えたりチューブダイエットを与えたりしているので眠れない。
おむつのサイズがLでは大きいのではとMサイズを購入。
サイズ的にはいいかもしれないが、やはりゴロゴロするのでずれてしまう。
ペットシーツの上で寝ているので暑くてゴロゴロ動くのか、病気のせいか判断がつかない。
転がりながらおしっこを漏らされるのが怖くてペットシーツを敷き詰めている。

十日目
茹で鶏を食べなくなったので牛肉を焼く。
フードに混ぜるが牛しか食わず。
ウェットタイプの療法食を追加。
初回なのでなんとか食べる。
受診、点滴。
更に薬を増やすと言われ、これ以上は無理だと先生に訴える。
二時間おきにシリンジで給水またはチューブダイエットを与えているので限界だった。

十一日目
寝たきり、ゴロゴロマルチャーレ、息使いの荒さは変わらず。
時々、ブルブル震えたりもする。
小さな発作が起きているような気がするがどうしようも出来ない。
うんちが出ていない。
牛肉を混ぜたウエットフードを少しずつ食べるようになる。

十二日目
うんちが出ていないのが気に掛かる。
またゴロゴロしながらうんち爆弾と化したら…という恐怖。
完全にトラウマ。
肛門をマッサージするといいというネット情報を鵜呑みにし、やってみたが出ない。
うんちとの戦い。

十三日目
寝たきり、ゴロゴロマルチャーレに変化なし。
ただ、外で抱っこしたままおしっこすることの成功率が上がってくる。
夜、とうとううんちが出る。
最初に固まりが出た後、下痢便。
ゴロゴロしながら下痢便とおしっこをするのでまた糞尿まみれに。
これは拭いたところで無理だろうとクマと風呂場で洗う。
クマが犬を抱え、私が洗うスタイル。
部屋も片付け、ようやく一息吐いたところで第二弾の下痢便が出る。
またしても糞尿まみれで風呂場行き。
泣く。
このまま排泄のコントロールが出来ず、ゴロゴロが続くなんて、もう無理だと悲嘆に暮れる。
うんちが出ても落ち着かず、一晩中ゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒンで精神的にやられる。

十四日目
牛肉でごまかされて食べていたウエットフードを厭がるようになる。
まずそうだから納得。
受診。
昨夜のうんちで疲弊していたので先生と喧嘩しそうになる。
ローリングがひどくなっているので鎮静剤を打たれる。
ぐるぐるが始まったら座薬を入れろと処方される。
でもずっとぐるぐるしてるんだが?タイミングが分からないんだが?
先生に不信感いっぱいなので疑問しかわかない。
ウエットフードをマジ拒否し、疲れ果てていつものドライフードをあげてみたら食べる。
フードは手を替え品を替え出来るが、やはり問題はうんこ。

十五日目
ヒンヒン鳴く時に外へ連れ出すとおしっこの成功率が上がる。
クマがドッグカートで公園へ散歩に連れて行こうとするとその中で漏らしてしまう。
クマ、ドッグカートを必死で洗う。
気温は38度超えなので乾かすのに問題はない。
酷暑をありがたく思う日が来るとはな。
ゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒンハアハアの合間に寝ている感じだが、そのタイムスケジュールが定まって来た気がする。
ゴロゴロマルチャーレの時には発作が起きているのではないか。
その頻度が少なくなっていけば希望が持てるのではないか。
全て希望的観測に過ぎない。
マットからはみ出したり、部屋の中をごろごろしまくったり、あちこちに挟まったりというのに限界を感じ、とうとうペットサークルを購入すること。

十六日目
初めて朝まで寝てくれる。
一度も起こされなかったのは初めてで涙する。
だが、ゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒンハアハアが収まったわけじゃない。
受診のタイミングでゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒンが最高潮に達し、病院でも診察台の上で華麗なローリングを決め鎮静剤を打たれる。
先生は押さえつけて落ち着かせろと言うが遠い気分になる。
鎮静剤、二時間程度で切れるし、その後のゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒンがひどいような気がする。
牛肉フードを定量食べるようになってくれたが食べるとうんちが怖い。
カーペットにおしっこされて悲劇。

十七日目
ゴロゴロマルチャーレローリングヒンヒン変わらず。
夜九時頃に寝ると、十一時、二時、四時にローリングヒンヒンするのでその対応をしているこちらはほぼ寝れない。
余りにもローリングヒンヒンがひどいので座薬を入れてみる。
一時間くらいは落ち着いていたが復活。
暑さも堪える。
連日、37度~39度。

十八日目
夜中から定期的にローリングヒンヒン。
受診日なので座薬は入れずに連れて行くと、どうして入れなかったのかと責められる。
いや、だって。
先生がいう症状で座薬入れていたら三時間おきくらいで入れなきゃいけないんですけど?
さすがにキレて言い返す。(先生、聞いてないけど)
病院であんなに大きな声ではっきり言ったのは初めて。
こちらも疲弊していたのだ。
先生のいいところはこちらがどんなにキレても聞いてないところ⭐︎(なので根に持たれたりしない)
うんちが出ていないので摘便してもらう。
ローリングヒンヒンがひどいのでまた鎮静剤。
摘便してもらったせいか落ち着く。
鳴き声のヒンヒンがクークーに変わってきた。

十九日目
朝からローリングだったので座薬。
一時間くらいはきくが、ゴロゴロマルチャーレは相変わらず。
おしっこのコントロールも難しく、漏らしてしまう。
購入したペットサークルを導入する。
中に使い捨てのペットシーツを敷き詰める。
その上から洗えるペットシーツを敷く。
牛フードは順調に食べている。

XLサイズなのでぴったり合うペットシートがなく下に使い捨てペットシーツを敷き詰める作戦。これは隙間に挟まりこんがらがるので長方形のマットを2枚下に敷き込む形に落ち着いた。


下に長方形2枚を敷くとこんな感じ。


二十日目
ペットサークルは快適な様子でもっと早く導入すればよかった。
柔らかいマットレスの方がいいかと思ったが暑かったのかもしれない。
受診。
ちょっとおとなしかったので先生がいきなり歯石を取り始める。
常にハアハアしてるので口が開いていて奥の方まで歯石でみっちりの歯が見え、私も気になっていた。
歯ブラシ断固拒否、俺の口に触れるやつは噛むぜ!という勢いだったので歯石が溜まってしまっていた。
歯石、ペンチみたいな器具でバキンと取れて驚く。
先生の行動があまりに唐突過ぎて、いや、歯石は今じゃないだろうという突っ込みも出て来なかった。
夜、クマが帰宅すると初めて立ち上がろうとする仕草を見せる。
立てるのか?立てるようになるのか?

お見舞いする猫

二十一日目
ローリングは相変わらずだが、ヒンヒンと鳴く頻度は格段に減った。
落ち着いて来ているのか?
とにかく暑い。39度。
おむつが外れてばかりで意味がなくなって来たので外してみる。
定期的に外へ連れて行き、抱っこスタイルでさせることに。

二十二日目
ゴロゴロしながらおならをするので肛門を搾ってみると柔らかめのうんちが出る。
その後、固まりうんちが幾つか出る。
ゴロゴロしていても固まりうんちが出てくれるなら助かる。
受診。
相変わらずゴロゴロマルチャーレだが、先生が夏期休暇に入る前にうんちが出てよかった。

二十三日目
メガネ帰省。
本当は我々が行く予定だったが、犬が寝たきりなのでメガネが急遽帰って来る。
メガネに喜んで立ったりしないかなと思ったが(クララが立った!をやりたかった)、立たず、代わりにおしっこを漏らした。
これまで順調に食べていた牛フードに飽きて来た様子。

二十四日目
牛は食べるがフードは食べない。
フードの食べが悪いな、飽きたのかと思っていたが、下痢だった。
ちょっと目を離した隙にペットサークルの中で下痢うんちを爆発させていた。
サークル内がうんちまみれ。
悲劇。
先生、夏期休暇なので違う獣医を受診。
点滴と下痢止めを打って貰う。
うんちがとまらず、おむつをする。
中にトイレットペーパーを忍ばせるやり方だ。
下痢で調子が悪いのかゴロゴロする元気もない。

二十五日目
下痢とまらず。
おむつの中にチョビうんちを漏らすようになる。
ゴロゴロマルチャーレは相変わらず。
おむつからおしっこ漏れる。
牛もフードも食べないのでチューブダイエットを復活させる。
シリンジで給水とチューブダイエットを与えながら、終わりはないのかと悲嘆に暮れる。
ゴロゴロ回りながらも下痢のお尻が気になるのかおむつをはずそうと試みるので、タオルを首に巻いてみる。
少し落ち着く。
メガネ帰宅。
うんちまみれの帰省で気の毒だった。

二十六日目
引き続き下痢。
ゴロゴロマルチャーレに加え、おむつの交換まで加わり、更に深い地獄に落ちた感じ。
ほとんど寝てなくて、実家回りで他にも色々大変なことがあり、明け方犬を抱えて外を散歩しながら用水に飛び込んでみようかと考えるも、わんさかいる亀と鯉とへドロにまみれるだけだなと思い、踏みとどまる。
うんちが出そうになるとゴロゴロして尻尾を動かす。
二時間おきくらいにおむつ交換。
お尻の周りも汚れるので拭いたり、とにかく下痢のコントロールが難しい。
しかし、そんな状態なのに、犬、突然立ち上がる。
一瞬だったが、本当に自力で立ったので驚く。
もしかして…よくなっているのか、犬。

突然立ち上がる犬。動画も載せたいがnoteへの載せ方が分からない。すまん。

二十七日目
下痢。
ゴロゴロマルチャーレなのだが、そこから立ち上がろうとする→立ち上がる頻度が上がっていく。
とうとう歩き始める。
ゴロゴロしてからよいしょと立ち上がり、ふらふら一歩踏み出し、こける…というのを繰り返してる。
こんなに急に歩けるようになるものなのか、犬。
立ち上がったのと同じくして、ゴロゴロマルチャーレが格段に減る。
問題は下痢となった。

二十八日目
下痢。
フードをふやかしてみたら食べる。
水もシリンジではなく自力で飲む。
立てるようになったので外へ連れて行くと、立っておしっこをした!
数歩だが確実に歩けるようにもなっている。
夏期休暇明けの受診。
休暇中に立って歩けるようになったのを先生も喜ぶ。
とにかく下痢の治療。

二十九日目
夜、寝てくれる。
ローリングがなくなる。
傾いてはいるが歩けるように。
補助ハーネスで助けながら公園を散歩。
途中でうんちんぐスタイルに入り、固まりのうんちをする。
久々の自力で立ってうんこ!
見る見る間に回復する犬に感動。
先生の「治る」は嘘じゃなかった。
ただ調子に波があり、ハアハアが始まり、うまく歩けなくなって転びまくることも。

三十日目
家の中でおむつはしているが外へリハビリ散歩へ行く際はおむつを外すと自力でする。
元々のフードを食べなくなったので試供品を色々試し、プレシャスにいきつく。
ふやかしたプレシャスだと食べる。

三十一日目
下痢のコントールは続いているが、立って歩いて、おしっこうんちすることは出来るように。
これだけでも全然違う。
夜もごそごそはするが寝ている。
ヒンヒンもクークーもない。

とりあえず、一ヶ月分の日記をお送りした。

(あくまでうちの犬の経験談だが)もしかすると役に立つかも購入情報

・フードについて
食欲のある子なら苦労はしないのだと思うが、元々、うちの犬は好き嫌いが激しく、小食で、お腹の調子が微妙だった。発症前はヒルズ消化ケア用i/dコンフォートを与えていた。それを一日一食、食べればいい方になっていた。
発症後の食事変遷
チューブダイエット(病院処方)
ウェットタイプ療法食(病院処方)(まずそうだった。実際まずいらしくすぐ飽きた)
ウェットフードにトッピング作戦→茹で鶏→焼いた牛肉(どちらも飽きた)
食べればなんでもいい作戦→パン、プリン(結局おやつ)
元のフードに牛トッピング
ドライささみ(干しただけのささみ。大好きおやつはずっと食べた)
グラン・デリプレシャス13歳以上用(i/dコンフォートを食べなくなったのでとにかくドッグフードならなんでもいいとお試しパックを色々買って来て気に入ったのがプレシャス。ドライをそのままだと詰まるような感じがあったのでお湯でふやかして与えている)

・ドッグカート
余りにも寝たきりゴロゴロマルチャーレが長かったので、もう立てないんじゃ…と悲観し、寝たきりでも運べるようにと大きなものを買ってしまったが、私では扱えない大きさでクマがいる時しか稼働出来ていないので、やはり小さめをお勧め。

↑これはね…さすがに大きすぎたのね…。何故これを買ったのか…。

なんでも一番乗りで試してくれる猫様



・ペットサークル
これは早く導入すべきだったと反省している。人の居住空間を圧迫するが、被害がそこに限定されるのでストレスが軽減される。うちはゴロゴロマルチャーレがひどかったのである程度動けるようにとXLサイズ(直系約150センチ)を購入したが、これだと中に敷くペットシーツがちょうどいい大きさがない。Lサイズだとぴったりのペットシーツがある。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00HKD86U6/ref=ppx_yo_dt_b_asin_image_o02_s00?ie=UTF8&psc=1


・洗えるペットシーツ
使い捨てのペットシーツは便利なのだが、ゴミも多くなるので、これを併用すると便利だと思う。洗って干せるのは神。39度だったからね。すぐ乾いたよね。冬はどうか分からないが、脱水を多めにした方がいい。

↑これがペットサークルLサイズにぴったりだ。

↑ペットサークルXLサイズにはこれを二枚、敷くといい感じ。

・使い捨てペットシーツ
厚手のもの、普通のもの、ジェネリック的うっすいものを使ってみたが、介護用として考えるならばジェネリック的うっすいものでいい気がする。十分吸ってくれるし、何よりゴミが減る。厚手だとゴミの量がすごい。あとゴロゴロマルチャーレ状態だとペットシーツを巻き付けて移動されたりもするので厚手のものが破れると金額的な心理ダメージが大きかった。

・シリンジ
水やチューブダイエットを与える為にシリンジを使っていたのだが、一度で使い捨てなんてもったいなくて出来ないので洗って再利用するわけだが、それも限度がある。衛生面もそうだが、動きが鈍くなり、プチストレスなのだ。オイルを塗るといいみたいなネット情報もあったが無理じゃね?となった。諦めて買った方がいい。あと、何度も面倒だからと大きめのシリンジを利用しがちだが、力の弱いみんなは小さい方がいいよ。地味に手が痛くなるよ。

↑柴犬だとこのサイズくらいで何度かに分けて与えた方がいい気がする。

・おむつ
その子にあったサイズって使ってみないと分からないのでお試し数枚入りのものとかで試した方がいいと思うが、そんなことを考える余裕がある状態ではないかと思う。ゴロゴロマルチャーレだとぴったりサイズでもずれる。悲しいかな、どうしようも出来ない。ガムテで完璧な感じにぴっちりつけると犬のストレスになってゴロゴロされる。涙の悪循環だ。
下痢になった際にはおむつの中にトイレットペーパーを入れると漏れを防げるし、おむつの節約にもなる。お尻回りは洗えるシャンプーとかで拭いてあげるといいけど、やはり洗うのが一番だった。抱える人、洗う人が必要だが。

・補助用歩行ハーネス
立って歩けるようになったらこれがあると便利。うちは首輪にリードで長年散歩していたが斜めに傾いたままよろよろ前進する犬を補助するにはこういうのが一番だと思う。普通の胴輪タイプハーネスも試してみたが、やはりこちらの方がちゃんと支えられる。ただ、持ち手が短いので(長くすると犬に負担がかかるのだと思うが)背の高いクマは苦労している。背の高い人は工夫が必要かも。


歩くおじいちゃん犬。老老介護である。


これを書いている現在、発症から約七週間が経過したが、ほぼ、元通りの生活を送れている。うちの場合、発症前もよろよろしていたのでさほどの変化なく受け止められているというところも大きいかと思う。
立てる、歩ける、排泄が自力で出来る、自分でフードが食べられる、水が飲める。もうこれだけ出来たら十分だと考えている。
突然、ぐるぐる歩き回る症状は残っている。リハビリ散歩中にも回る。でも寝転んだままぐるんぐるんと転げ回ることはなくなった。
恐らく認知症の症状が出て来ているので、家の中の壁や家具の隙間に挟まってフリーズしている。

挟まる。自ら挟まりに行く。


耳は聞こえていないし、目もほぼ見えていない。
においは分かる。
フードや人のにおいで場所を判断している。
私が出かける準備をすると分かるし、病院に行く日も何故か察する。

私は今の状況で十分満足しているし、辛い状態のまま長生きして欲しいとは思っていない。
飼い主と飼い犬としてお互いのQOLを大切に、暮らしていけたらと願っている。
ここからはたぶん、長生きさせようとする先生との戦いになるだろう。
先生は医療者だから、私が病院へ連れて行く限り、結果的に「長生き」させなくてはならないのだ。
その線引きが難しい。
これは今回、本当に考え込んでしまった問題だ。

顰蹙を買うかもしれないが、ぐるぐると回り続ける犬を呆然と数週間見続けていたら、自分は間違っていたのかもと思ったりした。

持病の治療をし、月に一度定期検診に行き、毎日薬を飲ませ、体調を気遣って来たけれど、そんなことをせずに暮らしていたら、こんな風に長生きしてから苦しむこともなかったんじゃないか。
ちょうど人間の介護にも関わっているので、答えのない問題に思考が偏りがちだ。

母は病院が大好きでちょっと調子が悪いと言っては受診し、大量の薬を貰って来る。健康診断でも特に悪いところはなく、けれど、どこかに悪いところがあるはずだと信じている。
「よくなる」為に病院に行きたいと言うけれど、「よくなる」ってどういうことなんだろう。
若返りたいということなんだろうか。
どんな状態になっても長生きしたいということなんだろうか。

肉体は年齢と共に弱り、不具合が出て来るのも当然だ。
それをよくするっていうのは、若返りでもしない限り、無理なんじゃないだろうか。

犬は不調を言葉で訴えたりはしないけれど、調子が悪くなれば病院へ連れて行く。
飼い主として当然だ。

でも、それをいつやめる?

私が飼って来た犬は今までずっと病気になり、それが悪化する形で亡くなった。
だから、受診も最後は手の尽くしようがなくなるという形で終わっていた。けれど、今の犬は死に直結するような、悪いところはない。

老衰でちょうどよく死ぬ。

でも、ちょうどいいっていつ?

犬にとっても人間にとっても、一番難しい問題だろう。

わしゃ頑張ったよ

追記
こちらの記事の増補版同人誌を出しました。
下記からどうぞ。

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谷崎泉
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