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ベトナムの仕事における価値観から「死ぬ気で生きること」を教わった瞬間
この度、4度目のベトナム訪問が実現。今回の訪問では、日本とベトナムの価値観や人間性の違いに注目して、現地メンバーに色々と取材を試みてみました。
そんな中で今回、紹介するのは…ベトナムの仕事における価値観についてです。
何事にも挑戦的で、向上心が高いベトナムの人たち
ベトナムの平均年齢は約31歳と日本(49歳)と比べて若く、好奇心が旺盛で何事にもチャレンジしてみる気持ちが強いです。
加えて発展途上国ということもあり「色んなことを吸収して、これから成長していこう」というバックボーンが国全体に溢れており、彼らの向上心を更に加速させています。
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例えば普段はおとなしいメンバーでも、新しい仕事の話をすると身を乗り出し「ぜひ、やらせてください」と前のめりな姿勢に驚かされることも。
一方で時間や期限を「ごめ〜ん」といって無邪気に遅れるてくる、憎めないルーズで穏やかな側面もあるのがベトナムの人たち。
彼らと長く仕事をすればするほど、そのギャップがなぜ生まれるのか不思議になり、今回はその辺りを調べてみることにしました。
【経済状況からみる価値観】 仕事=生きるが直結しているからこその熱意
まずは、ベトナムの人たち特有のチャレンジ精神や熱意がどこから生まれるのかを紐解いていこうと思います。
生命力と仕事への熱気が溢れている国、それがベトナム
私がベトナムという国を訪れた時に最初に驚かされたのは、何よりも人が生きている熱気や生命力が溢れている国という点です。
積極的に声をかけまくるタクシー運転手
町を何時間も歩いて果物を売る人
夜が明ける前から明かりを灯し店を広げる店員
などなど、少し言葉は悪いですが執着心にも近いほどの熱意があり、日本も仕事熱心とは言われますが、その熱量が本質的に違っているとに気付かされました。
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この熱意ですが、仕事が生きることとダイレクトに繋がっているからだと私はベトナムという国を見て結論付けました。
急激な経済成長が生む歪みと格差
確かにベトナムは1986年のドイモイ政策以降、市場経済化が進み、GDPは東南アジア諸国連合(ASEAN)の中では、インドネシア、タイに次ぐ3番目の規模にまで成長しています。
それでも日本の一人当たりのGDPが580万円に対して、ベトナムは67万円とその差は圧倒的で生活水準には大きな開きがあり、加えて国民の経済格差も近年は問題視されつつあります。
例えば車は高級車で富裕層しか持てず、一般的な人たちは原付きやバイクが主流で50km以上離れた実家にも夫婦それぞれのバイクに子供を乗せて帰省します。
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また、この写真は別の地域に見えるかもしれませんが、実際は並行して並ぶ2つの道路です。
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これは急激な経済成長が招いた一部の闇とも言え、豊かな生活の裏には、まだまだ発展が追いついていない地域が広がっています。
成功が昇給と豊かな生活に直結しているバックボーン
ここまで紹介してきた通り、ベトナムという国は経済成長が目覚ましく、国全体が進化と成長を全面的に後押ししています。
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そして仕事で新しい技術等を取り入れ成果を出すということは、すなわち昇給や豊かな生活へと直結しています。
もし、皆さんが毎日の生活でこれらを見ていたらどう感じるでしょうか?
成功して豊かな生活を送る人たちを真横で見れば誰だって「死ぬ気で頑張って成果をだして、あっちの世界にいってやる」そんな気持ちになるのではないでしょうか。
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このように1つの成功が、未来を180度変える可能性を秘めているがベトナムという国であり、それを求めてチャレンジ精神が旺盛になるのも必然と言えます。
【国民性からみる価値観】 チャレンジと安定に揺れる思い
ベトナムの国や経済に着目して仕事への価値観について考えてきました。
ここでは少し視点を変えて「人」に焦点を置き、国民性という観点からも見ていこうと思ます。
本来は安定と穏やかな生活を好んでいる?
ここまでベトナムの人たちはチャレンジ精神に溢れ、新しいことに積極的に取り組む国と紹介してきました。
一方でベトナムは社会主義国家であり、社会主義の考え方では政府が雇用や社会福祉に責任を持つことが一般的であるため、国民は総じて安定した雇用や保証を求める傾向があります。
また本来のベトナムの土地や経済は、農業や漁業に身を置いた穏やかでゆったりとした生活が中心でした(私達がよく想像するベトナムの風景もこちらだと思ます)。
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ここまで記載してきたベトナムにおける熱意やチャレンジ精神の話とは矛盾しているかもしれませんが、その矛盾こそが実態でもあるとも現地メンバーは話してくれました。
これは社会主義が抱える共通の課題とも言われており、市場経済の導入と発展が進むにつれ、国が急激な変化を遂げる反面、国民本来の生活やスタイルが強制的に上書きされてしまうというものです。
新たな文化が本来の国民性を上書きする葛藤
近年のベトナムにおいては転職はキャリアと給与アップを実現する最適な手段として好意的な捉え方とされており、残念ならが私の仕事仲間も新しい場所に巣立っていくことがありました。
一方で本来のベトナムを知る年長者の人たちの中には「同じ場所で長く働くことが安定感をもたらす」という考えもあり、様々な葛藤もあるそうです。
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(この辺りは日本と同じような感覚・境遇かもしれませんね)
長きにわたる他国からの侵略と戦争の歴史、そして近年の急激な経済成長、これらの変化によって生まれた葛藤を知らず知らずのうちに抱え、その変化に必死に対応しながら生きようとしているのが今のベトナムの人たちなのかもしれません。
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そう思うとチャレンジ精神旺盛な反面で、マイペースに仕事を進めたりといったギャップにも自然と納得が行く気がします。
おわりに 〜真に多様性を受け入れ、相手を理解することの大切さ〜
正直、この記事は書き始めてから公開にいたるまで約4日の時間を要しました(今も深夜1時近く)。
その割には真面目すぎで面白みがなく、独りよがりで偏見も混じった内容になっていると自負しています。
それでも、一緒に仕事をしていくベトナムのメンバーのことをより深く知りたいという気持ちから、彼らの背景にある「価値観」に焦点をあて、自分なりの理解をまとめてみました。
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最後に思うのは「多様性を受け入れる」という最近流行りのワードに対して、いかにそれを安っぽく受け入れてきたかという反省の念です。
ここまでベトナムとうい国と人のことを調べたからこそ、少しだけ多様性を受け入れるとはどのようなことか自分の中でわかった気がします。