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ヒント-002

若いダンサー達と仕事をしてると、とにかく動こうとしているのを感じる。
それが仕事だから当たり前じゃないかと突っ込まれそうだが、「何はなくとも、汗をかこうとしている感じ」と言えばいいだろうか。
「まずは、体を動かそう」というポジティブな姿勢は、悪いことではないが。

ただ、こちらが強く提案したいのは、その一歩手前のものなのだ。
「動く」前に、「自分や他人のアクションをもっと観察してみたら...?」という単純なことだ。

振付家から動きの提案があった際にも、スタジオで、もっともっと質疑応答や確認作業があっていいと自分は思っている。そういう行動をとるダンサー/プレイヤーは、大歓迎だ。

提案された動きを、100%事細かに解析する必要はないが、それを元にした自分なりの「完成予想図」を自分の体の中で作っておいた方が、「ゴール」に早めにたどり着けるように思うのだ。最初の「図」は解像度の荒い、ぼんやりとしたもので、もちろん構わない。

これは、イメージトレーニングの話に近いのかもしれないが、「目的地に向かう地図」を持てるか持てないか、というような話につながってくるような感じがする。前者がいいのは言わずもがなだ。
そして、その第一歩は何と言っても「見る」という行為だろう。これをないがしろにして、より役に立つ「地図」を持つのは厳しいと言わざるを得ない。

もちろん、これ以外の方法は成立しないと言うつもりもない。ただ、それは天才と呼ばれる人の仕事の仕方のように思うのだ。多くの人は「見る」を何回も繰り返して、うっすらとした「図」を手に入れないと、コトがスムーズに運ばないはずだ。

繰り返し気味になるが、自分の体を使って、提案された動きをすぐさま再現してみたくなるのも分かるが、とにかくその思いを一旦とどめてもらいたい。まずは冷静に両方の目でじっくり見つめること(そして「解析」すること)が肝心だと思うのだ。

「完成形」や「ゴール」が見えないまま走り続けるのは、正直、かなり苦痛だ。そこも踏まえれば、最初の段階で「見る」ことをしっかりと何回も行なうことで、その後のリハーサルが効率良く出来るのではないだろうか。

とにかく、「動く」前に、「見る」だ。

(文責・石山雄三)

次回は6月13日、掲載予定。

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Yuzo Ishiyama/石山雄三
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