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ヒント-017
「沈黙は最悪です」
よくクリエーション/リハーサルやワークショップの時に、参加者に言うフレーズだ。
こちらが体の動きについて提案した時に、同意/不同意を示さず、とにかく体を動かしてしまうダンサーは時々いる。こちらの言葉は「命令」ではないのに、だ。
石山は、作品を作る上では、振付家もダンサーも対等だと思っている。しかも各参加者の、思想的/経験的バックグラウンドは全員ばらばらなのは当たり前と認識している。
即座に、体を動かして「提案」を試してみたいという気持ちも分かる。ただそれならば、「きちんと把握してないので、まずは体を動かしてみます」という一言があればいいのだ。
振付家/演出家にしてみれば、出演者がどの程度自分の出した「提案」に、本人が合点がいっているのかは、かなり知りたい部分なのだ。「掴んでいる」のなら、ベースのクリエーションの進行を速めて、応用形にまで「提案」をふくらめる事が出来るからだ。
振付家/演出家はエスパーではない。「提案」が分からなかった、疑問点がある、という状態は本人の表明で、初めて明らかになる事が多いのだ。
その時には、こちらも別の方向からの説明を試みる事が出来る。ダンサーの動きを見れば、本人の理解度は、確かにある程度は見当がつくが、それのみでは、クリエーションの時間が余計にかかる可能性も出てくる。
「アーティストはプライドで生きている」という意味の事を、とあるオーディションの時にプロデューサーから強く言われた事がある。それも分かる。というか想像はつく。
実際そうなのかもしれないが、「分からないことがあっても、全く恥ではない」ことも、肝に銘じておいて欲しいのだ。この言葉もワークショップ等でよく石山が口にするフレーズだ。
少しでも『?』に思う事があれば、即座に口を開いて質問を投げてもらいたいのだ。そうすることでも、その人が信じている「プライド」は、絶対に傷つかないはずだ。これは断言する。
そして、付け加えると、疑問ばかりではなく、理解した時にも、自分の状態を表明してもらいたいのだ。黙っているのは「理解」のサインだとは、こちらは全く思っていないからだ。
関係者全員、「違う人間」なのだという、当たり前のことをベースに、こちらはいつもクリエーションを進めている。特に自分は、いわゆるダンスのフィールドにどっぷりつかっていた訳ではないので、(一般的な)ダンサーにとって、何が理解されやすくて、何がそうではないのかが、分からないのだ。
故に自分のクリエーションの現場は、提案/確認作業/ディスカッション/再提案等で、常にわいわいがやがやとしている。
(文責・石山雄三)
次回は11月18日、掲載予定。
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