中学生のコスプレ
すっぴんで外に出たら中学生のコスプレをしてる気分になって、それでなんだか居心地わるい。黒髪で三つ編みで、白いTシャツと黒いズボンでカルピスを飲んでるあたしは傍から見たら何歳に見えるんだろう。
あたしが中学生の頃は髪の毛を艶々のボブにしている女の子が多かったが、近頃はあまり見ない。公立中学校というのは、あたしの人生で最もあたしに似合わない場所だった。制服が大きくて重いので階段を上り下りするときは両手でスカートの裾を摘まなくてはいけなかった。
アニメや漫画で頻出する風紀委員とかいう謎の役職、現実世界では見たことがない。あたしの学校には園芸委員?みたいなものがあった、ような気がする。委員会は全員必ず入る必要があった。そういうことがいちいち許せなかった。許せないので逃げた。
あたしの大好きな高校には風紀委員も園芸委員も保健委員も放送委員も飼育委員もなかった。あたしは図書委員会さんだった。他に何があったかはサッパリ覚えていない。体育委員、美化委員、文化委員はあったかもしれない。
委員会のなかで最も情緒があるのは図書委員と保健委員だと思う。あたしは冬の放課後の五時半まで、毎日、ダンボールを開けて、あたらしい本に蔵書印を押した。受付に立って図書室を運営する図書委員会さんではなくて、ゼロから黙々と図書室を作る図書委員会さんであった。卒業してからも一ヶ月くらいは手伝った。
つぎやるなら保健委員がいいなと思う。保健委員にはなんとなく水色のイメージがある。清潔な保健室を、何度も出入りしたいと思う。
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