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限界耐力計算

アイスタイルでは、間取り確定後、基礎×耐震×制震の三位一体設計で『安心・安全』な住まいをお届けしております。

許容応力計算ではなく、限界耐力計算を実施しております。

構造計算の難解度は

壁量計算(簡易)

許容応力度計算

保有水平耐力計算

限界耐力計算

時刻歴応答解析(難解)となっております。

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【限界耐力計算と保有水平耐力計算の違いについて 】
許容応力度計算(保有水平耐力計算)においては、その発生が極めて稀である大規模な地震に対して建築物が倒壊、崩壊等しないことについて、保有水平耐力計算により検証しています。


【大規模な建築物において】
しかし保有水平耐力計算においては、地震時に建築物がどのように変形するか検証することができない為、建築物の構造形式によりどの程度の変形になるかを推測し、その推測に基づき、建築物に必要とされる耐力を算定しています。
また、変形が検証できないため、変形時の固有周期が算定できず、建築物に作用する地震力の算定にあたり、弾性域における一時固有周期を用いています。
地震力の高さ方向の分布についても、変形が検証できないため、正確な地震力の算定ができず、整形、均等な建築物を想定した地震力の分布を用いて、地震時に弱点となるねじれが生じる階、他の階に比べて柔らかい階の耐力を割り増すことにより対応しています。
また、保有水平耐力法においては、塑性変形の算定がおこなえないことから、必要保有耐力の算定に用いる構造特性係数Ds については、国土交通大臣が定める告示において、構造種別、架構形式等により地震力を低減できる割合を示す数値を提示することにより対応しており、Dsの計算式を提示しているわけではありません。
限界耐力計算は、積雪、暴風、地震のすべてに対して、建築物の存在期間中に一度遭遇する可能性の高い外力については、建築物が損傷しないこと、その発生が極めて稀である大規模な外力については倒壊、崩壊しないことを検証することにしています。
また、地震に対する検証においては、地震時の建築物の変形を算出し、その変形に基づいて、建築物の固有周期、減衰性等を算出することにしています。
また、建築物の高さ方向の加速度の分布についても、変形を考慮して算出することができます。


【限界耐力計算とは】
限界耐力計算とは、住宅などの建築物が地震発生時に、その地震力にどこまで耐えられるかという指標を計算することです。

これまでは、1次設計(許容応力度計算)で中地震動(稀に起こる・震度5程度)に対して建物が損傷しないことを確認し、

2次設計(極めて稀に起こる・保有水平耐力計算)で大地震動(震度6強から7)に対して建物が倒壊しないことを確認するという計算方式でしたが、

2000年の改正建築基準法では、これまでの1次設計を「損傷限界耐力」・2次設計を「安全限界耐力」と改めた新しい計算方式「限界耐力計算」を取り入れて、この計算で得た計算値を基準値にして設計するように義務付けられました。

「限界耐力計算」と従来の「許容応力度計算」(保有水平耐力計算含む)との大きな違いは地震力に対する検証法であり、これ以外については限界耐力計算の中身は許容応力度計算と同じです。

構造設計の全体の枠組みはほぼ共通ですが、地震力の算定方法がこれまでの方法とは大きく異なるのです。

限界耐力計算には耐震工学の新しい考え方が取り入れられています。

物理学上の進歩によって、より詳細で正確な数値を割り出すことが可能となったため、計算の精度も高くなりました。

①限界耐力計算の地震時水平耐力の建物を1質点系に置きかえる。

②大地震時の水平変形を求める。

③水平変形の変形時の建物周期を求める。

④周期に応答する加速度を算出する。

⑤その地震時水平力を建物の周期に応答する加速度として求める。

このようにして求めた加速度応答スペクトルに、構造骨組の塑性変形による地震動の減衰性能と表層地盤による増幅率を考慮して、建物に作用する地震力を決定します。

この地震力=必要耐力であり、対象である建物の水平耐力がその必要耐力を上回っているどうかを検証します。

地震力は建物の損傷に関わる損傷限界耐力(1次設計に相当)と建物の倒壊に関わる安全限界耐力(2次設計に相当)について各々検証する必要があります。

損傷限界耐力は10年~20年に一度くらいに遭遇するであろう震度5程度の中地震動に対する検証で、安全限界耐力は100年~200年に一度遭遇するかもしれない極めて稀な震度6強から7規模の大地震動に対する検証です。

また、限界耐力計算では極めて極めて稀な暴風と積雪に対しても検証も行います。

風荷重を1.6倍(500年再現期待値)、積雪荷重を1.4倍(500年再現期待値)と設定し、許容応力度計算によって安全を確認します。

【限界耐力設計法の特徴】
①積雪、暴風については、1.4倍、1.6倍の荷重に対し終局強度設計を行う。

②地震については、稀に発生するものと極めて稀に発生するものが解放工学的基盤面のスペクトルとして与えられる。

③設計用地震としては基盤面スペクトルに表層地盤の増幅を考慮して設定する。

④建物を等価な1質点系に、置換し応答スペクトル法により地震力を求めこれと耐力を比較する。

⑤極めて稀に発生する地震に対しては地上部分に対してのみ、地下部分は稀に発生する地震について許容応力度設計を行う。

⑥耐久性を除き基準法の仕様規定は対象外となる。

【設計の流れ(新築の場合)】
●設計荷重

○固定荷重・積載荷重
①地震用建物重量を算出し地震力を求める。

●限界耐力計算による地震力の算出

○損傷限界耐力の計算
①外力分布を求める。
②外力分布による水平荷重によって短期耐力に達するときの水平荷重を求める。
損傷限界耐力が求まる。
③損傷限界耐力時の基礎から各階までの水平変位を求める。

○必要損傷限界耐力の計算
①損傷限界固有周期を求める。(1質点系の有効質量、代表変位)
②加速度の分布係数を求める。
③加速度の増幅率を求める。
④各階の地震時水平力を求める。
必要損傷限界耐力の算出

○安全限界耐力の計算
①保有水平耐力の算出
②安全限界耐力時の基礎からの各階までの水平変位を求める。
荷重増分法(増分解析)により層間変形角を算出する。

○必要安全限界耐力の計算
①安全限界固有周期を求める。(1質点系の有効質量、代表変位)
②加速度の低減率を求める。(建物の塑性度、減衰定数)
③加速度の分布係数を求める。
④加速度の増幅率を求める。
⑤各階の地震時水平力を求める。
⑥必要安全限界耐力を算出

【限界耐力計算における地震力】

地震時に建物に作用する加速度は、固有周期の長さに大きな影響を受けます。

建物周期に応答する加速度を図形化したものが加速度応答スペクトルです。

学的基盤(Vs=400m/s以上の固い地盤)において求められる標準加速度αoは、固有周期1秒未満では、最大級の地震加速度に近い値となりますが、1秒を超えると徐々に小さくなります。

固有周期が1秒のとき、最大級の地震加速度の60%に低減され、固有周期が2秒のときは、入力加速度は約30%に低減されることになります。

従って建物が高層になればなるほど、固有周期は長くなりますので、入力地震エネルギーはより小さく算定される結果となります。

建物に作用する地震時加速度は、固有周期だけでなく、部材の塑性化の程度や地盤の固さにも大きく支配されます。

地震によって建物が損傷(弾性限度を超える)し、塑性が進んで変形が大きくなれば振動の減衰によって入力地震エネルギーは小さくなりますし、地盤が軟弱であれば加速度は増幅されることになります。

従って、固有周期と塑性変形と地盤の固さによって最終的に地震時水平力が決定され、建物の必要耐力が求められることになります。

保有水平耐力は地震時水平力によって建物が崩壊する時の荷重であり、保有水平耐力を精算するには増分解析法(計算ソフト)に依存します。

増分解析法は、外力分布に基づく水平力を建物に順次加算して作用させ、塑性ヒンジの発生状況、各層の水平変位等を段階的に確認できるものであり、保有水平耐力を算出する上で大変有効な計算法です。

増分解析法で得られる建物部材の耐力と変形の情報をもとに保有水平耐力時の限界変形角を設計者が判断し、仮定した安全限界層間変形角に達している部材応力に対して部材の限界耐力が上回っているかを確認します。

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