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未来をつくる「手触り感」がおもしろい。BtoBサービス開発責任者が語る、エンジニアの醍醐味。

顧客の購買行動が複雑化するなか、ブランドはそのデータをどのように可視化し、戦略を立てていけばよいのでしょうか。その一つの解決策として生まれたのが、@cosmeが保有する膨大なユーザーデータを可視化し、ファン醸成に役立てるためのBtoBサービス、「ブランドオフィシャル」です。

今回は、「ブランドオフィシャル」の立ち上げ期から開発に携わってきた、エンジニアリングマネージャーの鈴木さんに、開発の道のりとエンジニアのおもしろさについて話を聞いてみました。

株式会社アイスタイル T&C開発センター 第3開発本部
プラットフォーム開発1部 部長 鈴木 賢一

SIer数社にて主に金融系、web系システム、業務システムのPMとして従事したのちアイスタイルに入社。入社後は、ネイティブアプリを担当後、中長期事業戦略として掲げているビューティープラットフォームの構築、主にToB(ブランド、リテール、スペシャリスト等々)向けサービスの開発責任者としてエンジニアリングマネジメント、組織マネジメントを担当。
鈴木が開発責任者を務めた「ブランドオフィシャル」は、 2019年9月26日に開催された「@cosme Partner Conference 2019」にて、共同創業者であり会長の吉松がアイスタイルが提案する新しい化粧品マーケティングの在り方として発表し、現在では事業の柱として弊社が注力するサービスの一つとなっている。


情報の主導権が生活者に。「@cosmeだからこそ見えるデータ」の活用が急務だった


――ブランドオフィシャルが立ち上がった背景を教えてください。

会長の吉松の考えでもあるのですが、インターネットの普及に伴い、情報の主導権は、ブランド側から生活者側へ移行しました。ブランドにとって生活者を理解することは大きな課題となっています。

ブランドは顧客データを自社で保有しているものの、例えば「ユーザーが他にどのブランドに興味を持っているのか」や、「どのような商品を利用しているのか」を把握することは困難です。しかし、@cosmeのデータベースを活用すれば、ユーザーを深堀りした情報の分析が可能になります。

なぜなら、@cosmeと@cosme SHOPPING、@cosme STOREはユーザーデータと購買データを同じデータベースで一元管理しているため、全てのユーザーIDとプロダクトID(商品情報)がつながっているからです。

 ターゲットとするユーザーを絞り込んで、例えば、@cosmeのこの記事を見て、その後こういうアクションをした、という時系列での情報を見ることが可能です。
どの時点でエンゲージメントが上がったのか、どういう流れで購買に至ったのかといった購買前後の情報を得られることで、買ったという事実だけでなく、アクション全てが線でつながって見えてきます。

これこそが、「@cosmeだからこそ見えるデータ」です。@cosmeのデータベースを可視化することは、化粧品ブランドとユーザーの関係性を可視化することにつながり、ブランドからユーザーに向けた、最適なコミュニケーションや商品体験の設定に繋がります。

その考えのもと、新たなプラットフォームサービスとして2020年に「ブランドオフィシャル」がスタートしました。

ブランドオフィシャル構想当時の資料。
サービスの軸の一つである、ブランドエンゲージメントランクの図も描かれています。

――鈴木さんはエンジニアリングマネージャーとして携わってこられたということですが、開発する過程で難しかったことはありますか?

今世の中にないものを作ろうというプロジェクトだったので、やはり要件を形作る段階での苦労が多かったですね。

もちろんそこが楽しさであり、醍醐味でもあったのですが、当時はまだデータ基盤というものすらなかったので、裏側の基盤を作り、フロントも作り、といった全体的なアーキテクチャを全てイチから考えなくてはいけないという状況。一つひとつの課題は小さいものも多かったのですが、とにかくクリアすべき課題の数が膨大で、そもそもの仕組みを作っていくことが非常に大変でした。

私は技術側の統括だったため、バックエンド側が構築するデータベースや仕組みと、フロント側が作る画面や機能などを常にチェックし、事業側の各部門とすり合わせをしながら再度調整をかけて……をひたすら繰り返す日々でしたね。

自らの手でブランド・ユーザーの未来をつくる手触り感こそが醍醐味

――アイスタイルで開発に携わるおもしろさは?

やはり、「事業側とエンジニア側が一緒にサービスを作り上げていける」ことだと思います。事業側とエンジニア側で立場は違えど、目指す方向性は同じです。ブランド・ユーザーにとって良いサービスか、事業の方向性として合っているか、という目線を互いに合わせながら、エンジニア視点でサービスの要件やコスト、工数などを調整・提案し、一緒により良いものに仕上げていく過程は、非常におもしろいです。

「サービスを作る」ことを通して、ブランド・ユーザーの体験を良くしていく未来を想像すると楽しい気持ちになりますし、会社への貢献をダイレクトに感じられることにやりがいを感じます。
自らの手でブランド・ユーザーの未来をつくる「手触り感」を感じられることが、自社のサービスに関わる醍醐味ではないでしょうか。

もちろん、システムの開発・運用には、信頼性、可用性、保守性、安全性といった日々のエンジニア努力が必要であり、地味な作業も私たちの大切な役割です。アイスタイルのさまざまなサービスを支える根幹を担っていることも、非常に誇らしく感じています。

――今後のブランドオフィシャルの展望について教えてください!

今後は取り扱っている膨大なデータの可視化に、より一層注力していくことになると思います。
私たちが持つデータの価値をより多くのブランドの皆さんに感じていただけるように、これまでは契約しなければ見られなかったブランドオフィシャルのデータの一部を、簡易的に無料で見られるサービスを開始しました。

ブランドコンディションサービスを入口として、ブランドの方々に「@cosmeだからこそ見えるデータ」の価値をさらに感じていただき、ブランドとユーザーのより良い出会いを実現していきたいと考えています。

エンジニアが成長を実感できる組織を目指したい

――最後に、アイスタイルのテクノロジー部門のこれからについて教えてください。

現在アイスタイルでは、システムのオンプレミスからクラウドへの移行を進めています。移行が完了すれば、次はシステムを安全・安心に運用していくための最適化のフェーズに入ります。社内に数多く残っているレガシーシステムから一刻も早く脱却し、エンジニアが楽に働ける環境の整備を進めたいですね。
運用の最適化においては、Amazonが蓄積してきた知見も教えていただきながら、セキュリティや運用面での改善に着手しているところです。

また、エンジニア一人ひとりが自分の仕事にやりがいを持ち、日々成長を実感できる組織を目指していきたいです。
エンジニアの仕事は、サービス基盤の運用・保守など「100点で当たり前」の部分が多く、ともすると自身の仕事が事業にどう貢献してるのかを感じづらい側面があります。サービスの運用を支える重要な役割を担っていることを、エンジニア自身や関わるさまざまな部署のメンバーにしっかりと伝えていき、エンジニアがやりがいや楽しさを感じながら働ける環境をみんなでつくっていけたら嬉しいですね。