好きな人と、湖水地方に行く
私が生まれた時、お母さんがその年のピーターラビットの食器セットを買ってくれて、私はそれで育った。(妹も生まれた年に買ってもらって、姉妹でそれぞれ違う柄の同じセットを持っていた。今思うと素敵だな。)お母さんがピーターラビット好きだったこともあって、絵本のセットはもちろんマクレガーさんの家を模した飛び出す絵本とか、いろんなグッズがあったのを覚えている。お気に入りの物語は、ダントツ「モペットちゃんのおはなし」。それから「野ねずみのチュウチュウ奥さんのおはなし」の箱ベッドに憧れて、出窓にクッションを敷き詰めて遊んでいたよな。
そんな思い出深いピーターラビットが生まれた湖水地方に、今好きな人が今度連れて行ってくれる。世界の大きさや実際の意味も知らない頃に、ページをめくりながら、想像の中で吸っていた空気と日差し、春の草木とお日様のにおい。子どもだったし、深い思い入れが特段にあったわけではないから、29歳になって本当の「おとぎ話の舞台」に訪れることになるとは自分が一番驚いている。そもそも、「29歳」というコンセプトが、この絵本で遊んでいた頃は全く存在していなかった。思いがけない偶然のようだし、でも思い返せば当然のような気もする。好きな人と私。お互いに、別々の特別な意味と思いが湖水地方にあって、その場所に、偶然の巡り合わせで一緒に行けるんだ。
きっと誰かと生きる人生というのは、こういうことなんだな。パートナーと何かを共有するというのは、同じ経験を同じようにして全く同じ気持ちで生きることではなくて、なんだかちょうどいい、みたいなことなんだ。どっちかが合わせるのではなくて、同じ場所を見ながら違う気持ちでいても心地いいってことなんだな。私が絵本と想像の世界で遊んでいた頃、彼は何をしていたのだろう。4歳の頃、7歳だからきっともう字のある本を読んでいたかもしれない。食べていたおやつも、遊んでいたおもちゃもきっと違う。前に湖水地方を訪れたのは24歳の時って言ってたから、その頃私はアメリカにいて、まだ英語は喋れなかった。それくらい違うふたりが出会うってすごい。
一歩引いて眺めてみると、人生はそんな感動で溢れてる。勲章も、財産も、何もないけど、感動でいっぱい。なんか幸せだな。
Airbnbで見つけた宿泊先、The Farmer's Barnはそれこそ本当にピーターラビットの世界。カヤックに乗ったり、お散歩したり、想像しただけで楽しい。南部の港町から彼の家まで行って、そこからドライブするのも楽しみだ。早起きだから寝てていいよというけれど、ペットボトルの蓋を開けたり、左側の車を見たりしてあげたい。見つけれくれたらしい地元のレストランやパブのご飯は、おいしいに違いない。Taylor Swiftが "you look like an American singer”と言われた湖辺のレストランってどこだろう。きっと呆れるだろうけどfolkloreを聴かなくっちゃ。私のミューズを置いてはいけない、その場所へ向かって。
自己紹介
Unapologetically Swiftie…
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