こんくる
音楽が始まるまでの20秒。この20秒が本当に音楽が始まるのかドキドキする。もしかして、このまま演者たちは黙ったまま何も始まらないのではないか。そう思わせる20秒である。
20秒は大体指揮者の紹介があって20秒だ。
そのコンクールには14分の制限時間が用意されている。長い14分、演者からすれば短い14分。最終学年でこれが最後のコンクールだという者も毎年必ず存在する。その14分は力を出し切れても、本来の力が出せなくても平等に終わる。
そして演奏後に得点化され、賞が決まる。
話は少し移るが、吹奏楽の世界には一定数のコンクールアレルギーがいる。アレルギストとでも呼ぼうか。
「芸術に点数をつけるなんて、ナンセンスだ」
これがアレルギストの意見である。
これが私の属するコミュニティではかなりの数を占める。私は角が立たぬようにコンクール反対派を名乗っているが、実はコンクール推進者だ。
確かに今やたくさんのコンクールがあって、コンクールによっては大人の力が働いていると噂されるコンクールもある。
しかし、どのような体制でも音楽に点数はつけられるべきだ。なぜなら、この国の様々な団体がコンクールに出ていることが一つの証明となる。全国数千か数万の団体が評価が欲しいと大会に出る。様々な団体は賞をつけられることを望んでいるのだ。
もう一つ、私的には面白い話がある。アレルギストの大半は部活を引退した身分の方が多いことだ。自らの学生時代に想いをはせ、コンクールがあったから悔しい思いをした、コンクールが無ければ楽しかった。そういう思考にたどり着き、アレルギストと化している。
最後に私はコンクール推進派である。これは私がコンクールで嫌な思いをしたことが無いことに関係するかもしれない。中学の頃はそりゃ大会成績はひどいものだったが、高校では全国大会で一番を獲った。コンプレックスは全くない。
コンクールで嫌な思いをした人がアレルギストになることは多いのだ。