イノベーションとは文化の革新である
著者のマット・リドレー氏といえば「赤の女王」という遺伝と生存戦略について面白い本を書かれていた方。性と進化をテーマにしながら、エッセイのような軽妙な語り口で読める一冊です。(海外旅行にいく時なんかはこういう小さくて厚くて面白い本は重宝します!)
その方の最新作この「人類とイノベーション」です。エネルギー、公衆衛生、食物、偽物などなど色々なテーマでイノベーションの歴史を網羅した450ページのちょっとした厚みがある本ですが、相変わらずエピソード→論旨→ストーリー化がうまいので次々にページが進んでしまいます。
天才がイノベーションを起こすのではなく、普通の人たちがそれを起こす。その結果、女王や貴族のために優れた製品が生まれるのではなく、それを作る市民の人たちの手に安くて便利な製品が届き、世の中がよい方向へ変わっていく。そんな物語の連続がいまの便利さを作ってきたことが、学べる一冊です。
こういうのを読むほど、イノベーション=技術革新っていうのは大きな誤訳だし、そういう小さなところもここ20年ほどの日本の停滞にも繋がってるように思います。もし、イノベーション=文化革新って訳されていたら・・2,000年頃からの20年以上続く日本の停まってる感も違ってたのかもしれません。
人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する(2020年、ニューズピックス、マット・リドレー)