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農業神って偉大だ

神社に行くと「縁結びの神」とか、「商売繁盛の神」とか、いろいろな神様がいらっしゃいます。そのなかで最近、農業をしようと思ってから感じるのは、「農業の神」の偉大さです。

農業の神」と聞いて、真っ先に思い出されるのが豊受大神です。

『古事記』では伊邪那美命(いざなみ)から生まれた和久産巣日神(わくむすび)の子とし、天孫降臨の後、外宮の度相(わたらい)に鎮座したと記されている。神名の「ウケ」は食物のことで、食物・穀物を司る女神である。後に、他の食物神の大気都比売神(おほげつひめ)・保食神(うけもち)などと同様に、稲荷神(宇迦之御魂神)(うかのみたま)と習合し、同一視されるようになった。
※ウィキペディア「トヨウケビメ」より引用

豊受大神といえば、伊勢神宮の外宮で祀られていることでも有名です。ウィキペディアによると、豊受(とようけ)の「うけ」とは食べ物のことであり、「食物・穀物を司る女神」だそうです。

書いて早々、余談になりますが、伊勢神宮には内宮に天照大神外宮には豊受大神が祀られています。古事記や日本書紀では、天照大神には大日女尊(おおひるめのみこと)という別名などがあることから、天照大神を女性神とする向きがあります。

しかし、この豊受大神をみても、それはないように思うのです。天照大神は名前の通り太陽神になります。「陰と陽」で考えれば、陰=女性、陽=男性であり、太陽神である天照大神は男性神であると考える方が自然です。

内宮に男性神である天照大神外宮に女性神である豊受大神を祀るというのが、伊勢神宮の構成として自然ではないかと考えられるのです。

では何故、男性神であったはずの天照大神が、女性神のごとく祀られるようになったのか。それは、古事記や日本書紀といった新しく歴史を書き換えた人々が、必要に迫られて「天照大神=女性神」に設定しなおしたということだと思います。

少し余談が長くなりました。話を元に戻します。

今は飽食の時代です。現代社会で生きながら、食べ物に対するありがたみを実感するシーンは、あまりないように思います。例えばスーパーに足を運べば、食品売り場には様々な農産物、畜産物、加工食品で溢れかえっています

しかし、食べ物は生命の根幹に関わります。それをいざ自分で何とかしようと思ったら、そのありがたみを痛感せざるを得ません。

なので、農業できる人って、本当にすごいと思うのです。

で、かーびーさんです。最近、かーびーさんの動画を見るようになったのですが、この方はいったい何なんですか!?

以前、かーびーさんが、固定種の重要性を説かれていた動画をみて、えらく共感しました。で、この動画では農業では飽き足らず、雑草を食べるとか・・・野菜のみならず、植物全般に対する広い知識がないと、こんなことできません。

時代が時代なら、こういう方を「農業神」と呼ぶのではないかと思います。大げさ?いやいや、大げさじゃなく、私は真剣にそう思いました(笑)。

これからの時代、こういう「農業神」がたくさん活躍されたらいいのになぁと思わずにはいられません。

今の農業のかたちを否定するわけではありません。しかしやはり、これからの時代を考えると、固定種による農業の重要性について、あらためて見直すべきなのではないかと思うのです。

固有種のタネを扱うお店として、日本では「野口のタネ」さんが有名です。この野口さん、知れば知るほど凄い方だと思います。

元々、タネの販売をしている家に生まれながらも、タネの商売には興味がなく、一度、編集社で手塚治虫さんとお仕事をされたりというご経験もある方です。

上掲動画、野口さんのお話はとても面白いので、もしお時間があったら、是非、ご覧になられたらどうかと思います。

質問者:F1っていうのはどういうタネですか?
雑種です。F1っていうのはFirst Filial Generationっていうんですけど、雑種の1代目という意味で、だから雑種の1代目だけは、形が揃っていて生育が早まって非常に効率がいい1代目だけが商品になる

F1で農業をすると、非常に効率がよいといいます。しかし、できた作物からタネを採って栽培しても、まるで商品にならないので、タネは採るものではなく買うものになりました。そして、世界中の農家が、タネを採ることをしなくなったそうです。

野口さんのところで扱っているのは、そういったF1のタネではなく、何世代にもわたってタネを採り続けることができる固定種のタネです。

質問者:野口さんが最も言いたいことって、なんかあります?
タネ採りましょうって。だからうちにタネ買いに来た人には、二度と来るなって言ってます。自分でタネを採って、そのタネをあなたの畑に合った野菜にしてくれと。

タネ買いに来た人に「もう二度と来るな」って言うそうですよ(笑)。ものすごく楽しく、またユニークなことをおっしゃる方だと思います。でも、とても理に適っていて、素晴らしい考え方ではないでしょうか。商売っ気なさすぎですけどね(苦笑)。

野口さんも、ある意味ちょっとした「農業神」にみえてしまいました。

その野口さん、こんなこともおっしゃっています。

F1種全盛の昨今、固定種のタネは農家にはほとんど売れません
買っていくのは、ほとんどが家庭菜園をやっている人たち。
(中略)
また、ほとんどの農家が「種は買うもの」という考え方に慣れてしまって「種採り」を忘れてしまっていますから、種の採り方まで袋に書いて売っているくらいです。
とにかく種を買っていくお客さんたちには、自家採種をお願いしています。「F1種の野菜の問題点がはっきりとわかった時、あなたの残した固定種の種が人類滅亡を救う!」って、私は真剣にそそのかしているんですよ(笑) 。
※EARTH JOURNAL「家庭菜園が世界を救う。野口勲氏が語る「最先端技術」の危うさ」2014年11月17日より引用

家庭菜園が世界を救う、だそうです。

まぁ、ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、ある意味、本質を突いた指摘なのではないかとも思うのです。

そんなわけで、皆さんもできるところから、ちょっとずつ「偉大なる農業神」を目指してみてはいかがでしょうか。


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