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簡単じゃない自家採種

日本の食料自給率については、安全保障上の問題として議論されることがあります。

あらゆるインフラは、私達の社会、経済、暮らしを支える極めて枢要な役割を担うが、「食」に関するインフラ、つまり「食産業インフラ」は、それらの中でもとりわけ重要だ。日本経済がどれだけ疲弊しようが、エネルギーの輸入が途切れようが、食料さえ自給できていれば、とりえず生きて行くことができる一方で、どれだけ経済が強くても、食料が途絶えれば国民は生きて行くことすらできなくなってしまうからだ。
かくして、「食料安全保障」、そしてそのための「食料自給率」の向上は、我が国における枢要な国家政策に位置づけられているのである。

農業協同組合新聞
「「食料自給率」向上は「国家安全保障」に必須【藤井聡・京都大学大学院教授】」
2019年10月9日より引用

食料を自給できない国は、非常に危ないということです。きちんと自国で農作物を生産できていないと、国民は生きていくことすら、ままらなくなる可能性があります。

例えば、野菜の自給率(カロリーベース)は、38%という数字が出ています。

農林水産省HPより

「なーんだ、38%あるなら、まぁまぁじゃん?

そう思われるかもしれません。ところが、今の状況は、そんなに楽観視できる状況ではないとみた方がいいでしょう。

こちらの記事は、以前、取り上げたことがありますが、農作物を作るための種子自体は、大きく輸入に頼っているという内容です。

国内大手の種苗会社・サカタのタネは採種の87%を世界19ケ国に外部委託しており、タキイ種苗も80~90%海外採種だそうです。

結局、国内生産をしている農作物についても、その種子は大きく輸入に頼っており、真の意味での食料自給率は、統計データよりも低く見積もる可能性があるということです。

ということで、私自身は、自分で育てた野菜から種子を取る「自家採種」を頑張ってやってみたいと思っていました。自分が育てた野菜から種子を取ることができれば、外国からの輸入に頼る必要はありません

しかし、実際、こちらの記事でもまとめた通り、自家採種をしようとしても、いろいろな問題があります。

一番の問題は、他家受粉の野菜の場合、他の株から受粉しないといけないため、交雑する可能性が高くなるというものです。交雑すると、野菜は元の品種から、別の品種に変わってしまうことになります。それでは困ります。

一応、今シーズン、私自身も自家採種をしてみました。まだ、採った種で野菜を作ってみたわけではないので、それがうまくいっているかどうかは分かりませんが、ナス、トマト、ピーマン、インゲン、トウガラシ、ニンジン、カボチャ、メロンなどの種は、採ることができました

これらは、ひとまずうまくいったと考えたいです。

一方で、まったくうまくいかないものもあります。例えば、こちらの春ダイコンです。

花が咲いたので、そのまま種ができるまで、放っておきました

しかし、ようやくできたのは、こんな小さな莢(さや)で、なかをみてみると、まったく種にはなっていないような状態です。

ここには、6本程度、種採り用に残しておきました。

最後の最後、ダイコンが朽ち果てていくまでに、咲いた花から種が採れることを期待していましたが、どうやらどれもうまくいかなかったようです。

その他、キャベツやレタスも、まったくうまくいきませんでした

ということで、シーズンを通して、自家採種の難しさを思い知ったわけですが、そんなところで、こんな動画をみつけました。

自然農で、10年もやられているかーびーさんのお話なので、とても勉強になります。そして、なんとなーく私が感じていたこと、そのままおっしゃられているような気がします。

例えば、かーびーさん曰く、自家採種には、以下の通り、野菜によって向き・不向きがあるそうです。

-自家採種に向いているもの
 ・果菜類(トマト、ナスなど)
 ・豆類
-自家採種に向いていないもの
 ・葉菜類(キャベツ、白菜など)
 ・根菜類(ダイコン、カブなど)

ほぼ、私が経験していることと合致しています。自家採種が不向きな根菜類のなかでも、ニンジンは比較的、自家採種しやすいというところも、まさに私が感じていることです。

ということで、失敗気味に感じていましたが、この動画をみて、ちょっとホッとしました。かーびーさんが言うんだから、失敗したって当たり前です。そして、ダイコンと葉菜類の種採りは、潔く諦めようかと思います(笑)。

限られた時間と労力ですし、先輩諸氏が経験されたことは、なるべく活かしていかなければなりません

まずはきちんと手が届く範囲で、着実に「循環型農業」を進めていきたいと思います。


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