簡単じゃない自家採種
日本の食料自給率については、安全保障上の問題として議論されることがあります。
食料を自給できない国は、非常に危ないということです。きちんと自国で農作物を生産できていないと、国民は生きていくことすら、ままらなくなる可能性があります。
例えば、野菜の自給率(カロリーベース)は、38%という数字が出ています。
「なーんだ、38%あるなら、まぁまぁじゃん?」
そう思われるかもしれません。ところが、今の状況は、そんなに楽観視できる状況ではないとみた方がいいでしょう。
こちらの記事は、以前、取り上げたことがありますが、農作物を作るための種子自体は、大きく輸入に頼っているという内容です。
国内大手の種苗会社・サカタのタネは採種の87%を世界19ケ国に外部委託しており、タキイ種苗も80~90%が海外採種だそうです。
結局、国内生産をしている農作物についても、その種子は大きく輸入に頼っており、真の意味での食料自給率は、統計データよりも低く見積もる可能性があるということです。
ということで、私自身は、自分で育てた野菜から種子を取る「自家採種」を頑張ってやってみたいと思っていました。自分が育てた野菜から種子を取ることができれば、外国からの輸入に頼る必要はありません。
しかし、実際、こちらの記事でもまとめた通り、自家採種をしようとしても、いろいろな問題があります。
一番の問題は、他家受粉の野菜の場合、他の株から受粉しないといけないため、交雑する可能性が高くなるというものです。交雑すると、野菜は元の品種から、別の品種に変わってしまうことになります。それでは困ります。
一応、今シーズン、私自身も自家採種をしてみました。まだ、採った種で野菜を作ってみたわけではないので、それがうまくいっているかどうかは分かりませんが、ナス、トマト、ピーマン、インゲン、トウガラシ、ニンジン、カボチャ、メロンなどの種は、採ることができました。
これらは、ひとまずうまくいったと考えたいです。
一方で、まったくうまくいかないものもあります。例えば、こちらの春ダイコンです。
花が咲いたので、そのまま種ができるまで、放っておきました。
しかし、ようやくできたのは、こんな小さな莢(さや)で、なかをみてみると、まったく種にはなっていないような状態です。
ここには、6本程度、種採り用に残しておきました。
最後の最後、ダイコンが朽ち果てていくまでに、咲いた花から種が採れることを期待していましたが、どうやらどれもうまくいかなかったようです。
その他、キャベツやレタスも、まったくうまくいきませんでした。
ということで、シーズンを通して、自家採種の難しさを思い知ったわけですが、そんなところで、こんな動画をみつけました。
自然農で、10年もやられているかーびーさんのお話なので、とても勉強になります。そして、なんとなーく私が感じていたこと、そのままおっしゃられているような気がします。
例えば、かーびーさん曰く、自家採種には、以下の通り、野菜によって向き・不向きがあるそうです。
-自家採種に向いているもの
・果菜類(トマト、ナスなど)
・豆類
-自家採種に向いていないもの
・葉菜類(キャベツ、白菜など)
・根菜類(ダイコン、カブなど)
ほぼ、私が経験していることと合致しています。自家採種が不向きな根菜類のなかでも、ニンジンは比較的、自家採種しやすいというところも、まさに私が感じていることです。
ということで、失敗気味に感じていましたが、この動画をみて、ちょっとホッとしました。かーびーさんが言うんだから、失敗したって当たり前です。そして、ダイコンと葉菜類の種採りは、潔く諦めようかと思います(笑)。
限られた時間と労力ですし、先輩諸氏が経験されたことは、なるべく活かしていかなければなりません。
まずはきちんと手が届く範囲で、着実に「循環型農業」を進めていきたいと思います。
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