It's a wonderful world レビュー
1~5人、45分、14歳以上
<テーマ>
世界大戦が終結して10年がたった世界では5つの帝国がのし上がっていた。各国の指導者の使命は他国に先駆けて自分の帝国を拡大することだった。
ワクワク近未来。
<ルール概要>
1ゲーム4ラウンド、1ラウンド3フェイズ(ドラフト、計画、製造)
①ドラフトフェイズ
7枚の発展カードをドラフトする。
②計画フェイズ
ドラフトした発展カードを「構築する」か「リサイクルする」かに分ける。
③製造フェイズ
5段階の資源産出を通して、産出した資源を使って構築中の発展カードを完成させていく。
この流れを4ラウンド繰り返し、得点が最も高いプレイヤーが勝利する。
超シンプル。
<ゲームシステム>
〇ドラフト
各プレイヤーは配られた手札から1枚のカードを選んで、残りのカードを隣のプレイヤーに渡す。逆側の隣のプレイヤーから新たに渡されたカードの中から1枚を選んで、残りをまた隣のプレイヤーに渡す。これを最後の1枚が回ってくるまで繰り返す。
このシステムによって、本来は自分の行動を最適化できるカードを選ぶだけでいいはずなのに、隣に渡そうとするカードには隣のプレイヤーがより強力な行動をできそうなカードが入ってしまう、だから自分には役立たないかもしれないが隣に渡さないために選ぶ、というジレンマが生じる。
〇連続する拡大再生産
ゲームは選んだカードを帝国に構築していくことは「資源生産の量をさらに増やす」「ゲーム終了時の得点に結びつける」ことに繋がる。「資源生産の量をさらに増やす」ことは後のラウンドでより多くの、もしくはより強力な発展カードを構築することにつなげることができる。
このゲームの特徴的な点としては、資源生産の順をうまく活用すれば「このラウンド中に構築を完了させ、すぐに資源を発生させる」ことを可能にできるところだ。
というのは③製造フェイズでは産出が5回行われる。産出順は「建材→エネルギー→化学→資金→探査」の順だ。
例えば、このカードの場合は「エネルギー」の産出の時点で構築を完了させることができれば、後の「科学」「探査」の資源を産出してくれるのだ。
このようにして5回の産出を見据えながら発展カードをドラフトし、構築計画を立てていくことがこのゲームの肝となってくる。
ここからはこのゲームの個人的なレビューを書いていく。
<ポジティブ>
①コンボ的な快感を得られる。
5回の産出で計画通りに次々と発展カードが構築されていく様は見ていて気持ちがいい。
②ドラフトを学べる。
ドラフトシステムは熟練者であればあるほど「回ってきたカード群から自分の欲しいカードを選ぶ」のではなく「他プレイヤーに対して相対的に有利なカードを選ぶ」ことがドラフトシステムの本質であることを知っている。
ドラフトしたカードで拡大再生産を図る。拡大再生産の目的も「資源生産の量をさらに増やす」「ゲーム終了時の得点に結びつける」の2点のみ。シンプルにそぎ落とされたシステムゆえにプレイ時間も1時間を切る本作はドラフトシステムを理解する上では最適だと感じる。
③帝国の発展を妄想して楽しめる
発展カードには「建造物、軍用機、研究、巨大事業、発見」の5タイプある。基本的には2,3種類のカードを集めていくことになる(その方がカード同士の噛み合いが良い)のだが、そうすると例えば「建造物、軍用機、発展」のカードを集めると「軍事施設で軍用機を建造して未開の地を探検していく指揮を執っている」というイメージをしながらゲームを楽しむことができる。
④ソロモード対応
ソロプレイにはシナリオモードがあり、より本作の世界観に没入することができる。上記の③をより楽しむことができるだろう。
<ネガティブ>
①ドラフトが苦手
ポジティブの項目でも書いたが、ドラフトシステムは「相手の動きを止める」という側面も持ち合わせている。初心者であればあるほど「自分が欲しいものを選ぶ」というアクションをしがちで、手前のプレイヤーが熟練者であればあるほど、自分に回ってきた手札が魅力的ではないという事態に陥りやすい。このことから純粋にゲームを楽しむためにはドラフトに関しては同じ熟練度のプレイヤーでプレイすることをお勧めする。
②物足りなさ
こちらもポジティブで書いているが、本作は「ドラフト」「拡大再生産」というシステム以外をそぎ落としに落としまくって、超シンプルにまとめられた内容になっている。ゲーム初心者にとってはやるべきことが明確化されているのだが、いわゆる重量級ゲームを嗜んでいるプレイヤーにとっては要素が物足りないと感じるかもしれない。
<総括>
ドラフトゲームの金字塔といえばセブンワンダーが挙げられるが、あちらよりもさらに拡大再生産の目的を絞った本作はよりドラフトシステムの理解を深めるにはもってこいの作品だと感じる。
筆者自身がプレイ時間1時間程度の中量級ゲームを好む傾向にあるため、拡大再生産の目的が2点に絞られている点もすっきりしていて遊びやすい。
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