- ReBorn21 - 雲龍庵と希龍舎
2021年10月14日〜24日、和光ホール(和光本館6階)にて。銀座の和光に足を踏み入れるのは初めてだったかも。雲龍庵と希龍舎は、どちらも北村辰夫さんがプロデュースする漆芸作品の制作集団です。雲龍庵は名前を出さない漆職人さんたちのグループで、作品は「雲龍庵 北村辰夫」名義。一方の希龍舎は若手漆芸作家さんたちのグループで、作品はそれぞれの名前で発表されます。この展示会では、雲龍庵の作品が3分の2、希龍舎が3分の1の割合でしたかね。写真撮影は禁止だったので、残念ながら画像はありません。
まず雲龍庵の作品から。「四神蒔絵根付」がとてもよかったです。ごく小さな作品ですが、たぶん茶壺の意匠でしょう。壺の側面の釉薬の垂れ具合を黒漆で表現したり、壺の口を布で覆って紐で縛ったように見せるなど、かわいらしい造形が光ります。その「布」は、緑色に金の模様が入ってなんとも美しい。釉薬のかかっていない壺の素地の部分には雲龍庵お得意の細密文様が入り、具象と抽象を狭い表面積に詰め込んだ、実に贅沢な作品だと思いました。
希龍舎の作品では、佐藤繁仁さんの「茨姫蒔絵香箱」がいいと思いました。伝統的な唐草文様と思いきや、それは薔薇でした。螺鈿の兎もいたりして、よく見るとメルヘンの世界なのです。薔薇の花は赤いのですが、角度によっては赤色が消えて金のままのように見えます。これはどういう技法なのでしょうね。
現代の漆芸の「現代性」はどこにあるのか、少し考えてみました。西洋のおとぎ話の「いばら姫」のように、昔はなかったモチーフを取り込むことは、もちろんその一つでしょう。さらに、肉眼で見るよりも拡大して制作したり鑑賞したりすることを前提とした、細密パターンの蒔絵や微細な螺鈿細工も特徴のように思うのですが、まだ何かありそうな気がしています。