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一山青書房ブックガイド(2023年2月12日版)
一山青書房は、棚貸し共同書店の一棚を借りたミニ本屋です。
PASSAGE by ALL REVIEWS内
神田すずらん通り商店街(東京・神保町)
ジャン=ジャック・ルソー通り12番地(店内に入って左列の棚、最初の柱のすぐ手前、下から2段目)
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店名の由来は、禅語(禅の教えを伝える言葉)の「一山行き尽くせば一山青し」で、一つ山を越えてもまた別の青い山の中、つまり物事を究め終えることはないという意味です。読書も同じですよね。尽きることのない読書の楽しみを、皆さんと共有したいと思っています。
文芸フェア開催中!
販売済の場合もありますので、ご了承ください。
大きな鳥にさらわれないよう(川上弘美)
「センセイの鞄」の作者による、SF風味の小説。カタストロフィなしの、ただ火が消え入るような人類の滅びを描く。その後に細々と続く世界もあって、そこにもささやかな感情が揺らめく。
西行花伝(辻邦生)
どこかフランス文学を思わせる辻流歴史小説。漂泊の歌人といわれる西行の生涯を、周囲の人々が物語る。女院(待賢門院璋子)との禁断の愛が重要なモチーフとなっていて、オペラのようにも感じられる作品。
洛中の露(東郷隆)
宗和流茶道の祖・金森宗和を主人公にした、珍しい茶道時代小説短編集。訳あって刀を捨てたとは言え、いざとなれば戦国武将の息子らしいケレン味も。宗和を振り回す母上様の大胆な言動も楽しい。
本覚坊遺文(井上靖)
『蒼き狼』でおなじみの井上靖の晩年作。主人公は千利休の架空の弟子。利休切腹後、利休の旧知の人々との巡り会いを通じて、利休の思い出を反芻しながら自らも老いていく。利休の精神そのものの枯淡の境地。
女たち三百人の裏切りの書(古川日出男)
「語りの力」をたびたびテーマにする古川日出男、今度は源氏物語。主人公は、物語を語り交わす女たち。
黄金列車(佐藤亜紀)
戦時下にあっても、サバサバと職務をこなすハンガリーの下級官僚。時々挟まる回想が、だんだんと彼の心の奥底に秘められた暗さに迫っていく。慌ただしい今日と暗い過去は、交わることがない。が...?
アルグン川の右岸(遅子建)
エヴェンキ族の老女が語る、長い長い人生の物語。自然とともに生きることは、苦しみも死もダイレクトに受け入れなければならないことなのかもしれない。
夜毎に石の橋の下で(レオ・ペルッツ)
ルドルフ2世の魔術的プラハに起こる、さまざまな不思議を描く短編集。薄闇の幻想的光景の中で温かく灯る人情に、ほっとする。
零號琴(飛浩隆)
現代日本SFの最高峰の一人・飛浩隆さんが、プリキュアを素材に想像力を存分に迸らせた作品。物語と音楽の表現が尽き果てた向こう側に、別の希望がある。
未来視たち(大原まり子)
昭和の末期に颯爽と現れた、大原まり子さんの初期作品集。日常を異化するSFの作用を、まざまざと見せつけられた記憶があり、私のSF体験の出発点となった。
6600万年の革命(ピーター・ワッツ)
数千年に一度、数人ずつしか人工冬眠から目覚めない星間宇宙船で、6,600万年を費やして、すべてを監視し制御する人工知能に反乱を起こす方法とは。
小さな声、光る棚(辻山良雄)
荻窪の独立新刊書店・本屋Titleの店主によるエッセイ。書店苦難の時代、しかもコロナ禍において、本の力・書店という場の力・本を売るという生業の意義を、何気ない本屋の日常を通じて語る。
週間だえん問答 コロナの迷宮(若林恵)
Quartz Japanで連載された、テックを中心に世相を論じる仮想の対談集。思わぬ角度から切り込む若林節が痛快。
アルメニアを巡る25の物語
文明の十字路・南コーカサスに位置するアルメニアを、25のエピソードで紹介。最近、アルメニアやジョージアがノマドワーカーの滞在先として注目されていると聞いてから、気になっている。
工芸青花 13号
会員制の工芸専門雑誌。特上の印刷に贅沢な製本。「美しい物についての美しい本を読む」楽しみを、おすそわけします。
ハードウェアのユーザビリティエンジニアリングのことも忘れないでください Vol. 1 / Vol. 2
棚主の本職である、ユーザーリサーチのあれこれを書き綴った小冊子。ニッチではありますが、特に医療機器の人間工学設計バリデーションテストの知見は、日本では知っている人が少ないと思います。第2集も出しました!
随時更新します。