No.229,才能を凌駕するGRIT(情熱+粘り強さ)と性格の関連性について
才能のあるひとに勝つための能力。
GRITについて調査しました。
GRITとは?
興味のある方は過去の記事を読んでいただけるとわかりやすいと思います!(^^)!
今回は性格とGRITについて調べてみました。
GRITの高い人はどんな性格
Duckworth, Peterson, Matthews, &Kelly(2007)は、長期的な取り組みを必要とする目標達成のためには、誘惑を避けて目標からそれない自己コントロールだけでは不十分であり、困難を越えて目標を追求する熱意も必要であると述べている。それらの特性をGrit(やり抜く力)と名付けた。
そこで、グリットの高い人(やり抜く力)はどんな性格なのかについて検証しました。
方法
Googleフォームでアンケートを作成(2023年3月12日~2023年3月22日)
調査内容
・年齢:21歳~63歳・平均年齢42.22歳(SD=9.43)
・性別:男性30名・女性32名・その他2名
・職業:会社員19名・公務員12名・自営業13名・専門職4名
非正規職員4名・専業主婦/主夫3名・パート/アルバイト12名・その他1名
・日本語版グリット尺度
・日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)
結果
1.相関係数(男性・女性・その他)
先行研究(竹橋ら、2019)と同様に勤勉性(誠実性)と正の相関がみられた(表1)。
※勤勉性とは責任感があり勤勉で真面目な傾向・自己規律、良心、慎重
2.相関係数(男性)
先行研究で明かされていない性別の違いを検討した結果、男性も同様の結果であった(表2)。
3.相関係数(女性)
女性は、外向性が最も高い正の相関がみられた(表3)。
※外向性とは興味関心が外界に向けられる傾向・積極性、社交性、明るさなどの性格
その他の性別はサンプル不足のため分析不可
4.交互作用
勤勉性が低い人であっても外向性が高い場合のほうが最もgritが高まることが示された(図1)。
これは非常に興味深い結果だろう。
考察
誠実に取り組むことと目標に向かうことは分析をしなくても感覚的にはわかりやすいだろう。
面白いのは、女性の結果です。
目標に向かう能力の高さと社交性が高い性格特性に関連があることが面白いですね。
また交互作用で示されたように、この研究結果は勤勉性が低い人でも外向性が高い場合、それによってgrit(根気や忍耐力)が高まる傾向がある。
勤勉性と外向性は一見すると関連性がないように見えますが、実際には互いに影響し合うことがあります。
勤勉性が高い人は、自己規律があり目標に向かって取り組むことは得意ですが同時に社交的でない傾向があります。
一方、外向性が高い人は、社交的であり人との交流を楽しむことは得意ですが自己規律に欠けることがある傾向があります。
したがって、勤勉性が低い人でも外向性が高い場合、社交性によって自分自身の目標や価値観を周囲と共有することができ、それによってgritが高まる傾向があると考えられる。
このように、勤勉性と外向性の間に交互作用があることは個人のパーソナリティー特性を理解し、人々の学習や成長に対する指導法を適切に設計する上で重要なことが示された。
コツコツとやるだけではなく、周りを巻き込む外向性が合わさってこそやり抜く力が高まると考えられるだろう。
恣意的な記事ですが、読んでいただきありがとうございます(^^♪
参考文献
Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D.R. (2007). Grit: Perseverance and passion for long-term goals. Journal of Personality and Social Psychology, 92, 1087–1101.
Eskreis-Winkler, L., Duckworth, A. L., Shulman, E., & Beal, S. (2014). The grit effect: Predicting retention in the military, the workplace, school and marriage.
Frontiers in Personality Science and Individual Differences, 5(36). doi:10.3389/fpsyg.2014.00036
小塩真司・阿部晋吾・カトローニ ピノ(2012)「日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み」『パーソナリティ研究』
第21巻、第1号、pp40–52
竹橋洋毅・樋 口収・尾崎由佳・渡 辺 匠・豊沢純子(2019)「日本語版グリット尺度の作成および信頼性・妥当性の検討」『心理学研究』第89号、pp580–590