![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167972937/rectangle_large_type_2_42aa2fd9dd8380776c8db4375b9c3217.png?width=1200)
No,170.マウントを取る人について(ダニングクルーガー効果)
はじめに
いきなりですが、私には他人に誇れるものや自慢できる過去も栄光ものはありません。
反対に、自慢してくる人っていますが、本当に凄い人だな〜と聞いています。
ほとんどの場合、自慢話を聞いても何が凄いのかがわからないです。
内面は冷ややか(冷静)に「ふむふむ、なるほど、凄いですね~」と返答しながら聞いていると、なにやら凄さをアピールしてマウント(マウンティング)を取られているような気がします。
自慢する人
そこで、自慢をする人ってどんな人なんだろう?という疑問から軽く調べてみました。
石川(1980)の青年を対象におこなった研究では、「自己の優位を他に誇示しようとするような青年の優越感への強い要求は、現実は自己の能力に対する自信の欠如や、自己の封性に関する無力感などの劣等感を隠したり、否定しようとするもの」であると述べている。
つまり、自慢するということは、他人に対してマウンティングを取って優位な立場を取ろうとする行為。
その背景には、自信がなく、劣等感や自己否定を隠すため他人に自分の能力や存在を認めさそようとする行動のようです。
そう考えると、周りを意識し過ぎていることは自明のようですね。
少し深掘りして先行研究をもとに調べてみました。
先行研究レビュー
高坂ら(2008)は、中学生(男子101名,女子103名二平均年齢13.25歳,標準偏差0.92歳)・高校生差(男子98名,女子75名;平均年齢16.27歳,標準偏差0.98歳)・大学生(男子85名,女子87名;平均年齢19.88歳,標準偏差1.19歳)を対象とした、競争心のもち方による劣等感の強さの遠いを調査した。
劣等感を持っている人は、何にでもチャレンジする人(向上心)より、自慢したり大げさにふるまうようです。
◉運動能力に劣等感がある(運動神経に自信がない)
◉統率力に劣等感がある(リーダシップがない)
◉身体的魅力に劣等感がある(見た目に自信がない)
運動神経に劣等感がある(運動能力)・人に指示が出せない自分に劣等感がある(統率力)・見た目に劣等感がある(身体的魅力のなさ)人ほど、何にでもチャレンジする人(向上心)に比べて、自慢する(誇示希求)ことが示されてた。
つまり、自慢するのは劣等感を低減させるという働きによるものではないだろうか。
※ダニング・グルガー効果と相関がありそうですね
ダニング・クルーガー
ダニング・クルーガー効果とは、自己評価にかかるバイアスのことで、能力の乏しい者が過大に自己を評価する傾向のことを言う(高沢, 2019)。
同時に能力の高い者が過小に自己を評価する場合があることも知られている(高橋, 2001)。
このような原因は、「自己の能力を正確にモニタリングするためのメタ認知能力の不足」(高沢, 2019, p. 104)のためと考えられている。
つまり、自分の能力を正しく見る力が足りないことです。これを「メタ認知能力の不足」と言います。自分がどれだけできるかを客観的に見るのが苦手ということです。
考察
自分の能力を正しく見る力が足りないことが、自慢(誇示希求)になり、それを埋める行為として「周囲から賞賛を得たい欲求」へと変化するのだろう。
この研究結果から仮説として、自慢する(マウンティングをとる)人は、相手に対して(対象者)何らかの劣等感(運動能力や見た目に対するコンプレックス)を持っていることが考えられる。
まとめ
研究結果から自慢する(マウンティングをとる)人より自慢しない人が気になります。
個人的には、凄い人や結果を出している人ほど自慢しないな〜と思っています。
古畑(2000)は、「自分や他人の勝ち負けについて比較をするのでなく、自己の進歩の具合を吟味し、目標との関係を明らかにし、目標と遂行とのずれを埋める努力をしながら、目標を少しずつ高める」という競争心の活用の仕方を示していると述べています。
なるほど、ぐうの音も出ませんね。
例えば格闘技や柔道などで戦い勝敗がつくけど、競技においての断片的な勝ち負け。
その他のファクターは?と考えると比較なんて出来ません。
深掘りしていけば、意味不明な自慢なんて出来ないはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)
引用文献
古畑和孝(2000)『性格と対人関係』競争心 ・詫摩武僚・鈴木乙史・清水弘司・松井 豊(編) ブレーン出版 pp136-150
石川 透(1980)『青年期の情緒的発達』青年心理学部会(編) 養成研究会・最新青年心理学 学芸図書 pp59-60
高坂康雅. (2009)「 青年期における内省への取り組み方の発達的変化と劣等感との関連.」『青年心理学研究,』第21巻、pp 83-94
高沢佳司 (2019).「社会人基礎力の知覚における正直教示の効果」『愛知教育大学紀要』1(2), 103-108
高橋 潔 (2001).「多面評価法(360度フィードバック法)に関する多特性多評価者行列分析」『経営行 動科学』14(2), 67-85
西平 直(2006)『競争・自信・劣等感一競争心をめぐって一 』「致育展望」第52巻、第1号、pp30-37