10.多関節同時伸展・屈曲と二関節筋の理解
かなり分かりにくい話を展開してきました。今日はとくに分かりにくいです。
哺乳類は多関節を同時に稼動するという特徴があります。これは両生類・爬虫類・鳥類、もちろん魚類にもみられない大きな特徴です。
今回は理論的な部分だけ抽出して模式図で説明します。
よく分からない方は以下の記事をご覧になってみて下さい。
前肢の模式的理解
出典元:Cheetah Speed スクリーンショットを撮って反転させた。
前肢には二つの関節があります。
連動性として、平行の関係を持つ部位があります。厳密なものではないですが、基本構造としてご理解下さい。
肩甲骨と前腕
同時稼動に関わる主な筋肉はすべて二関節筋です。
二関節筋は協調して、関節という滑車を回すベルトのような働きをします。
前肢の伸展時における循環です。
前肢の屈曲時における循環です。
次は後肢です。論理構成としてはほとんど同じです。
後肢の模式的理解
出典元:Cheetah Speed スクリーンショットを撮って反転させた。
後肢には三つの関節があります。
連動性として、平行の関係を持つ部位があります。厳密なものではないですが、基本構造としてご理解下さい。
寛骨と下腿
大腿と足
同時稼動に関わる主な筋肉はすべて二関節筋です。
下腿前側には二関節筋がありません。
二関節筋は協調して、関節という滑車を回すベルトのような働きをします。
後肢伸展時における循環です。
屈曲時における循環です。
同時に動くのは二関節筋の表裏協調
二関節筋が表裏で協調して動くと、複数関節が同時に動くことになります。その動きは滑車とベルトのように、ひとつのテンポと全体のテンポが同じものになります。
通常は、筋肉の理解は表裏どちらかを優先しておりますが、実際の運動は上記のように表裏同時進行しております。また同時進行するから多関節にまたがる筋肉を総動員して力を発揮することができます。
哺乳類の関節の凹凸
哺乳類の関節は、互いの関節面が凹凸の関係にあり、その嵌り方が明瞭に理解できます。
哺乳類以外の関節面は、凹凸関係に乏しく、古生物などはその繋がり方を解読するのが困難になります。もし恐竜展などに行かれたら、その関節に着目して、哺乳類との差を感じてみて下さい。
なぜ凹凸になったのか
哺乳類だけにみられる融通の利かない凹凸形状は、表裏が同時に緊張するために形作られたものと思います。表裏同時緊張は関節同志を否応なく圧着させ、関節面を硬くし、なおかつ摩擦のないものに変えていったと思われます。