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海とふれあい、SDGsを身近なものに【子ども漁業体験】

子どもたちや地域の人々にも、海の中のことを知ってほしい。

そう考えたISOP事務局(※)は、定期的なイベントとして『子ども漁業体験』を実施しています。

※ISOP(Ishinomaki Save the Ocean Project)=磯焼けによって荒れる海を守り、「ウニと人を育てる」ことを目指すプロジェクト。磯焼けとは、なんらかの原因で海藻が減少し、生えなくなってしまう現象のこと。

2020年10月におこなわれた第1回の子ども漁業体験では、小学生から高校生までの9名が参加し、たくさんの「海の豊かさ」に触れる機会になりました。

第1回のテーマは「海の中をのぞいてみよう」。子どもたちにも海の豊かさをリアルに感じてもらい、海に対してアクションを起こしてもらうことを目的に開催されました。

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当日のスケジュールは次の通り。
①「SDGsってなに?」というお勉強
②箱メガネで海をのぞく
③漁協の方が準備してくれたカゴ漁の体験
④港に落ちているゴミを拾う
⑤1日を振り返る

朝の10時から昼の15時まで、子どもたちはさまざまな形で海に触れ、興奮しっぱなし。充実した半日の様子を、写真と共にレポートしていきます。

体験1:SDGsは小さな想像力の積み重ね。

まずは、ここ数年でよく耳にするようになった「SDGs」について。2020年に開催を予定していた東京オリンピック・パラリンピックではSDGsへの貢献が謳われていたため、世間の関心を集めていました。

しかし、SDGsとは実際何なのか。何をすることがSDGsへの貢献につながるのか。ちゃんと考えたことのある人は意外と少ないのではないでしょうか。

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子どもたちは、SDGsという言葉を聞き慣れていません。だからこそ、彼らと一緒にSDGsについて考えることが、大人たちにとっても新しい発見につながります。

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SDGsについて知ってもらうために用意したのがこちら。

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「海のピンチを知ろうクイーーズ!」

17個あるSDGsの開発目標のうち、14番目に掲げられた目標「海の豊かさを守ろう」に関するクイズです。

「地球全部の海のお魚はどんどん増えているでしょうか︖ それとも減っているでしょうか︖」
『減ってるー!』

みんな即答でした。続いては磯焼けについての問題。

「海藻がなくなってしまうのには、どんな理由があるでしょうか?」

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『海が汚れてるから!』
『海の温度が高くなってるから!』
『ウニが海藻を食べちゃうから!』

どれも正解です。磯焼けの原因は完全には解明されていませんが、石巻で起きている磯焼けの原因の一つはウニ。増えすぎたウニが海藻を食べ尽くすことで、磯焼けが起きてしまっているのです。

「ウニが増えすぎているなら、ウニを減らして、海藻を増やしたらいいんじゃない?」
「そのためには何ができるんだろう?」

SDGs とは、そんな小さな想像力の積み重ね。「持続可能な開発目標」という難しい言葉に閉じ込めておく必要はありません。「海を守るには、どうしたらいいんだろう」と想像力を働かせ、みんなで行動することこそがSDGsへの貢献に繋がるのではないでしょうか。

難しい単語ではなかなか伝えることのできないことも、「海藻のこと」「魚のこと」といった具体的なクイズにすると、いろいろな想像をしながら、元気いっぱいの声でクイズに答えてくれました。

体験2:いざ海へ。海の生き物をリアルに感じよう。

クイズが終わると、各自救命胴衣をつけ、船に乗り込みます。いよいよ出港です。

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目的地に着くと、みんな箱メガネを手にとって、海を覗き込みます。残念ながら前日に雨が降ってしまったために視界は不良。それでも1人が「海藻見えた!」というと、みんなも「ええ、どこどこ」と必死に探し始めます。最終的には子どもたちの全員が、海藻を見ることができました。

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みんなが海藻に夢中になっているうちに、ダイバーが潜り始めます。磯焼けの原因であるウニをみんなに見せようと、何個かウニをとってきてくれました。

※ウニ駆除=ISOPでは磯焼け対策として、許可をとって海藻を食べ尽くすウニの駆除を定期的に行っています。

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子どもたちの中には、ウニをはじめて触ったという子も。意外とチクチクしてないって驚いていました。見るのと触るのでは全然違いますよね。ウニを割って中を見てみると、ウニの口が出てきました。

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ウニの口は「アリストテレスの提灯(※)」と呼ばれています。子どもたちはその語感が気に入ったらしく、船の上でずっと繰り返していました。海への興味は意外なところから出てくるのかもしれません。

※古代ギリシャの哲学者アリストテレスが著書『動物記』の中で「提灯(ランタン)に似ている」と紹介したことが由来とされている。

体験3:「タコとの遭遇」に驚いた漁業体験

場所を変え、次はカゴ漁の体験をしてもらいます。カゴは、前日に漁協職員の方が仕掛けておいてくれました。「カゴをあげたい人ー?」というと、「はいはいはい!」とみんなやる気満々。順番を決めて、1カゴずつあげていきます。

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何か入っているかな?

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「タコだ!!」
カゴから出したタコは、すぐさま腕に絡まりつきます。突然はじまった海の生き物との交流に、子どもたちは大はしゃぎ。タコの吸盤が腕にくっつく度に声をあげていました。陸に帰る予定だった時間を大幅にオーバー。いくつかの体験を用意していた今回の漁業体験でしたが、子どもたちの興味はタコに全て持っていかれたのではという思いも笑。

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体験4:ゴミ箱じゃないところにゴミがあった。

陸に戻って、港の周りのゴミ拾い。タコで気力を使い果たしたのか、みんなちょっぴり疲れ気味です。(陸に着いてから気づきましたが、船酔いした子がいなかったのはすごいことですね)

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「結構ゴミって落ちてるんだね」と1人がぽつり。

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こんなゴミも。ゴミ箱のようなものが捨てられています。

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回収されなければ、ゴミ箱に捨てるのも、ポイ捨てするのも同じこと。
最後は、海での漁業体験やゴミ拾いで感じたことを書き出す時間に。

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やはり、子どもたちにとっては、タコのインパクトが強烈だったようです。

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「ゴミは町以外にも海にもゴミがあること」「ウニが海藻を食べすぎて、海に海藻が少なくなっていること」など、子どもたちが気づいたことや初めて知ったことを振り返ってくれました。

最後は、漁協の前で記念撮影。慣れない海の上での体験に疲れ気味だけれど、みんないい笑顔です。

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まとめ

海をリアルに感じ、海に対してアクションを起こしてもらうことを目的として開催された今回の子ども漁業体験。子どもたちは、このイベントが終わった後、小さな魚は逃したり、ゴミのポイ捨てをやめるよう呼びかける看板のデザインを考えてくれました。

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今回の漁業体験は、子どもたちだけでなく、私たち大人にとっても、「SDGsに向き合う」とはどういうことなのかを考えるイベントとなりました。船の上での子どもたちは、海を全力で感じ、本当に楽しそうでした。この姿勢こそがSDGsに向き合う第一歩です。

海を感じ、海のありがたさを知る。海を知り、さらに海を好きになる。そして好きな海を残していくために何ができるのかを考え、行動する。

これこそが身近に感じられるSDGsなのかもしれません。


おまけ
ダイバーがとってくれたウニやカゴ漁で入っていた海の生き物たちを、子どもたちがイラストにしてくれました。

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