港にて
港に囲まれて
日本がある
白い船が出て
日本が残る
祖先の拓いた水脈は
海のさなかで
あちこちと断ち切られて
かもめのように船たちは泣いている
つつましい暮しを生きて
船は
今日も
満身の怒りを
発動機にかける
詩誌『駱駝』30号(1954年2月)
港に囲まれて
日本がある
白い船が出て
日本が残る
祖先の拓いた水脈は
海のさなかで
あちこちと断ち切られて
かもめのように船たちは泣いている
つつましい暮しを生きて
船は
今日も
満身の怒りを
発動機にかける
詩誌『駱駝』30号(1954年2月)