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非 情

やはり私は歌いつづけるであろう おまえを
おまえの向うに輝きつづける一人の少女を
私をこの煉獄になぐさめる一人の少女を
そうして私は滅びていくであろう 歌の中に

午前の鐘が鳴りわたっているその間中
光の渦に閉じこめられ またのがれないで
小雀が砂をあびるような幼いくりかえしで
私はけがれとたたかうであろう 更にきびしく

やがて春が来て 別れがすっかり忘れられてしまうと
私は傷ついた羽をもたげて歌うであろう
光たちのロンドを 季節の向うのひそやかな部分を
あるいはまた風たちのオードを 季節の雲たちの愛撫を

私が見知らぬひとを娶り おまえが立派な夫にかしづき
世の中がすっかり今の小さな人たちのものになっても
やはり私はひとふしに歌いつづけるであろう
私の少女を おまえでないおまえの向うにいた私の少女を

     詩集『降る星の歌』(1964年*扉の会)
     詩集『海がわたしをつつむ時』(1971年*鳳鳴出版)    
     『礒永秀雄選集』(1977年*長周新聞社)

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