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かえろかえろ
お酒は止して帰りましょう
西のみ空が酔っぱらっていたって
私がのれんをはじくには及ばん
駅前公園の水の上
コポコポと立つ噴水の泡に
喉のあたりがゴクンと鳴ったって
ビールはひとが飲めばよろしい
お酒をのめば
またトラになる
ぐうたらぐの字のトラになります
純粋 なんぞになれるもんかい
帰ろう 帰ろう 街の灯尻目に
ごくんと生唾をもう一つ鳴らして
汽車に揺られて バスに揺られて
弁当箱にカラコロとあやされ
坊やのところへ 母ちゃんのところへ
わが家のお菜のかたへ帰ろう
詩誌『駱駝』34号(1954年8月)
詩集『海がわたしをつつむ時』(1971年*鳳鳴出版)