晩 夏
ひまわりは凋んだ
ひまわりは凋んだ
さよりのようにほのくぐる
あえかな意志もこときれた
夕闇は揺れながら私の肩に
波止場はすっかり船たちを送って
岸壁のまわりからふつふつと
海の気温は伝わってくるが
ああ 波々は右へ流れ
雲団々 空を左へ
月をめぐって波止場は旋廻しはじめる
(私は今 昇天してよいのであるか)
ひまわりは凋んだ
ひまわりは凋んだ
沖をゆく赤い眼の発動船から打ち出され
私の薄い胸に散り敷く無数の弾痕
初出不明
詩集『海がわたしをつつむ時』(1971年5月*鳳鳴出版)収録
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おそらく1947~1948年ごろに書かれた作品と思われます。作者は1948年に私家版のような小詩集3冊を編み捨てています。それらの中に入っている可能性が高いと考えます。それにしても、まるで2022年ただいま現在の世界をうたっているような感じのする詩ですね。