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八合目

十年 一日 貧に貪
抜き手の切れぬ 酒の海に
なんの 真珠の 玉が ある?
なんのさんごの 花が 咲く?

くらしは びっこを ひいてきました
動けば 揺れます 貸ボート
六人乗れば 超満員
重たい船には わが骨のかい

昨日も 今日も のぼる水銀
むしむしのぼる 赤いすじは 家計簿
心を 喉を 脳天を突いて
汗といっしょに出るのです グチ

ああ お待ちなさい マイ・ミミッチイたち
クルッテル氏は正気の気ちがい
賭の山路も 八合目くんだり
にせものかほんものかいずれわかります

     詩誌『駱駝』86号(1956年8月)

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