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詩誌『駱駝』創刊の宣言
宣 言
かつて「ろば」に乗って近代詩の綠野を進んだ
先人の一群のあったことをわれわれは知っている。
しかしながらわれわれを取巻く現實は
もはや道も綠草も見えぬ荒地である。
疲れた聲とむなしい叫びといきおいこんだことばたちが渦巻き流れ、
あたらしいふるさとは
永遠の地平の彼方に歿し去ろうとしている。
しかも美しい夢とたしかな世界は
われわれの正統な存在と意思の上にあからさまに
描き出されなければならない。
ここにわれわれは
新しいベツレヘムの星を求めて若いらくだの背にゆられながら
蜿蜒と白夜の砂漠をわたって行きたい。
以上同志が行動を開始したゆえんである。
1950.3.1
らくだ詩社同人一同
大正末~昭和初め文芸誌『驢馬』は新しい文学を切り拓いた。しかし大戦を経て国民の生活も文学も荒れた日本。そこに新しい故郷を求め若い『駱駝』に乗って歩み始めるという清新な出発です。