12/14【O】王様戦隊キングオージャー について語りたい-15日目
王様戦隊キングオージャーという、2023年に放映されたスーパー戦隊シリーズの作品について語りたいのだが、知っておきたい前提がいろいろあるので最初にそこを説明させてもらえればと思う。
スーパー戦隊シリーズについて
概念としてはほとんどの方がご存じだろうと思うが色とりどりのスーツに身を包んだヒーロー戦隊が、悪の組織と戦う、東映が50年近く作り続けている子ども向け特撮番組だ。
テレビのカラー放送が始まった1975年、「それならカラフルなヒーローを作ろう!」と生まれたのが「秘密戦隊ゴレンジャー」で、途中で何度か休止になったり放映時間が変わったりしつつ続き、現在放送中の「爆上げ戦隊ブンブンジャー」は48作目にあたる。
共通の特徴としては以下のようなものがある。
戦隊(複数人が集まって戦う)であること
複数人の戦士たちはそれぞれ異なる色のスーツを身に纏うこと
敵対組織がいること
戦士が変身すること
巨大ロボットに乗って戦うこと
車、恐竜、など、作品ごとに異なるモチーフがあること
とくに男児向けに作られており、男児が好きなものが凝縮された作品になっている。
私とスーパー戦隊シリーズ
スーパー戦隊シリーズが、一般的な成人女性に比べると好きな方ではあるが、実はそこまでハマっているわけではない。
最初の出会いはおそらくまだ2、3歳の頃だった。いとこの家に「光戦隊マスクマン(1987)」のヘルメットがあったのを見て「いいなぁー!」と思った記憶が一番古い。
その後、弟が「高速戦隊ターボレンジャー(1989)」を見るようになり、「地球戦隊ファイブマン(1990)」「鳥人戦隊ジェットマン(1991)」「恐竜戦隊ジュウレンジャ(1992)」「五星戦隊ダイレンジャー(1993)」あたりまでは一緒に見ていた。それが私が小4、弟が小2くらいの時である。10歳ごろになると、なんとなく気恥ずかしさから観なくなった。
月日は流れ、1999年から2000年。ちょうど高校受験を控えた時期。
塾の特別授業に行かなくてはならず日曜の朝にふとテレビをつけると、「救急戦隊ゴーゴーファイブ」「未来戦隊タイムレンジャー」が放送されていて、これが受験生の疲れた心にガツンと飛び込んできてしまった。
「かっこいい!!」
特に惹かれたのがオープニングとエンディングのテーマ曲で、これは勉強のお供に聞きたいなと思った。
当時はYouTubeや音楽配信サービスもない時代なのでTSUTAYAにCDを借りに行ったところ、そこでとんでもないものをみつけてしまう。
(この手のCDは周年ごとに発売されており、これは見つけた当時のものではないのですがニュアンスでお楽しみください)
「いやいやいやいや欲しすぎるだろーーー!」
狂気を感じるCDを思わず手に取り、家に帰って速攻カセットテープに録音。
勉強のお供に狂ったように聞き、大小声で歌い続け…
めでたく桜咲いて高校に入学する頃、ゴレンジャーからタイムレンジャーまでのオープニングとエンディングは完璧に歌えるようになってしまっていたのだった。
ただ、そうは言ってもどっぷりハマるというほどではなかった。
一部、話が気になった作品はリアルタイムでみることもあったが、大抵は最初の1話を見て見るか見ないかを考えて、見ないと決めたら全く見なかった。
基本的に子ども向けにはおもちゃを売るためのシリーズではあるため、ストーリーにご都合主義と辻褄の合わなさを感じてしまったり、役者さんの演技がどうにも合わなかったりで、ダメな時には1話の途中で挫折した。
私とスーパー戦隊シリーズは、そのくらいの距離感だった。
ところが、そこに一石を投じてきたのが2023年、第47作目に当たる「王様戦隊キングオージャー」だった。
王様戦隊キングオージャーという作品
「王様戦隊キングオージャー」という名前が発表された時、最初に話題になったのは「王様戦隊キングオージャー(=王者)」で、王アピールが強すぎるというところだった。確かに最初に見た時には笑ってしまった。
しかし、全く見る予定もなく初回放送は仕事が忙しかったこともありスルー。ただ、初回放送後にTwitterで世界1位になったという話を聞いて、初めて予告を見てみた。
「ん、なんか今までと世界観違うね!?」
舞台が異世界っぽいこと、お姫様、殿様はなんとなくわかる(?)ものの、IT番長みたいな人に、目が隠れた黒装束の女性など、今までにみたことがない要素だらけに目を引かれた。
2話も次女の保育園転園周りで色々とバタバタしていてリアタイ視聴を逃したものの、3話放送前に初めてみてみる。
その時の感想がこちら。
衝撃を受けているのがわかる。
それからリアタイでみるようになり、6話視聴後。
語彙力がなくなってしまった。
そして5月。
もうどっぷりハマっている。
とにかく毎週毎週楽しみすぎて、2023年はほぼキングオージャーのために毎週生きていたと言っても過言ではない。
王様戦隊キングオージャーは何が違ったのか
これまでのスーパー戦隊とキングオージャーは明らかに違っていて、色々と違うところはあるんだけれど、特に私に刺さったのがどこだったのかを考えてみた。
まずは脚本。初回からフルスロットルで伏線が貼られて、それが回を重ねるごとに丁寧に回収されていくのが気持ちよかった。特に第一部では「伝説の守護神」「シュゴッダムの動く城」が、第二部では「イロキの乱」「宇宙を救う時」と最終三部作が見事だった。
「宇宙を救う時」のサブタイトルがラストに表示された時には鳥肌がたった。
続いて、2人の女性戦士のキャラクター。戦隊の中の女性戦士は、性格が「ぶりっ子」か「不思議ちゃん」か「お姉さん」になりがちなのだが、それが女性視点で見てみるとすごく違和感があった。
ところが今回の女性戦士は属性的には「お嬢様」と「オタク」なのだが、その性格は「王」だった。まず「王」として、リーダーシップや葛藤が強調されていて、その上でキャラクターの背景として「お嬢様」「オタク」があるのが大人から見てみると非常に納得感があった。
そして、敵キャラクターも非常に魅力的だ。第一部では、バグナラクという敵組織は、単なる「悪」ではなく、彼らにも物語があるという背景が描かれて、ものすごく感情移入してしまった。バグナラクの王の最期は涙なしにはみられなかった。また、主人公の兄であるラクレスの描かれ方は本当に、本当に素晴らしかった。第二部に出てきた宇蟲王陣営は純粋悪として描かれていたけれど、デズナラクとラクレスの2人と比較すると軽く感じてしまって若干不満もあったが、第二部後半の伏線回収によってその軽さが逆に物語全体に厚みを持たせていたのが素晴らしかった。
音楽も素晴らしかった。
特に主題歌は戦隊で初めて歌詞の中に戦隊名が全く入っていないのだが、それでも作品の雰囲気を完璧に表現していて、聴くだけでテンションが上がる。オープニングの映像も初めて見た時にはそのオシャレさに度肝を抜かれた。
そして、やはり外せないのが映像美。
キングオージャーはスーパー戦隊シリーズで初めて「バーチャルプロダクション」という技術を使って撮影されている。これがどういう技術かというと巨大なLEDの壁に背景を直接表示して、動かしながら撮影するという技法で、従来のクロマキー合成によるものと比較して表現力が格段に高くなっているらしい。この辺の詳しいところは書籍も出ている。
完全にファンタジーの世界観が違和感なく作り込まれていたのはこの新しい試みのおかげだったと思う。
これだけ語っても、まだ語り尽くせていないのだが、現在12/14 23:56…!!!!そろそろ投稿しないとまずいのでここらでお開きにします。
でもまた書きたいことが増えたら追記します。