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尾形光琳はキュレーターだと思う

熱海のMOA美術館に光琳 国宝「紅白梅図屏風」× 重文「風神雷神図屏風」を観に行きました。

このたびMOA美術館では、尾形光琳(1658–1716)の最晩年に制作されたと考えられる国宝「紅白梅図屏風」と重文「風神雷神図屏風」(東京国立博物館蔵)を39年ぶりに一堂に展観いたします。

MOA美術館には以前から行きたかったのですが、この2作が同時に観られると聞いて、それはもう行くしかありません。

さらに縁というのは不思議なもので、展示会期間中の先週末に、こうした公演が行われ、この振り付けを担当されるのが昨年かな、ご紹介いただいた竹内晴美さんではないですか。

この作品のことは別で記事にしたいと思っています


なんとなく分かっていたことなのですが、屏風というものは折って自立させるものが多いです。今回の国宝「紅白梅図屏風」は左右各1面で、それぞれがV字で自立しています。

つまり、こうじゃなくて、

MOA美術館WEBより

こうなんですよ。

これ全然違います。もう天と地くらい違います。構図も配置も全部V字 x 2、すなわちW字前提で描かれているのです。これは現物観ないとわからないことです。

さらに描かれている題材、マテリアルはコラージュみたいに配置させているんですよ。それは表具まで含めてです。つまり光琳という人は、アーチストとかクリエイターと言うよりは、今風に言うところのキュレーターなんじゃないかと思うわけです。


コラージュみたいなので何が起きているかと言うと、ある展示コーナーではL字の壁面にプロジェクターで紅白梅図と風神雷神図からオブジェクトを切り出して、スライドショーみたいな演出表示を行っているんです。これがとにかく素晴らしい。

コラコラコラージュ!
これ楽しい!

似たようなことを例えばゴッホの作品でやったのがこちらです。全世界で興行が行われていますね。

私、これをラスベガスと角川武蔵野ミュージアムで両方見たのですが、ゴッホでは成立しないんですよ。冒涜とまでは申しませんけど、ゴッホというアーチストの作品には余計な小細工は全く不要なのです。でも光琳はそうではない。

なおMOA美術館は撮影自体は完全にOKで、SNSやWEBに公開する際には、作品単体の掲出はNGで人物込みであれば自由です。これ、正しいですよね。

さらにMOA美術館の展示の凄いところは、低反射高透ガラスという映り込みが極めて少なく、透明度も圧倒的に高いガラスを採用している点です。もうガラスの存在がわからないレベルで、どうしても頭をぶつけてしまいます。

横須賀美術館や神奈川県立美術館の葉山分室なんかもすばらしいロケーションにありますが、MOA美術館はそれ以上です。この日は生憎の曇り空でしたが、天気がいい日を狙って行かれると最高だと思います。

そうでした、この展示は2024年11月26日までです。


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