【GAFA】the four GAFA 四騎士が創り変えた世界【読書レビュー】
こんにちは。べってぃです。
在宅勤務が始まって約二ヶ月。体重が4キロ近く増えました。
かつてガンディーという二つ名を持つ時期があった私ですが(嘘)、そろそろガンディーから卒業できそうです。
さて今回の読書レビューはこちら↓
発売されたのは約2年前ですね。すでにもう少し古いと思われるかもしれませんが、それでも「GAFAとはなんぞや」という問いに対して多くの知見を提供してくれる本です。ぶっちゃけ今更読みました。すみません。
シリアル・アントレプレナーとして多くの会社を立ち上げ、MBAの講師をしているスコットギャロウェイ氏が書いた本で、GAFA=Google,Apple,Facebook,Amazonの4社がどれだけ影響力をもっていて、世界にどのような影響を与えているかを解説した本です。
著書のサブタイトルにあるように、著者はこの4社を『四騎士』と呼んでいるんですが、最初なんかかっこよく呼んでいるだけと思ってました。
でも、実はヨハネの目次録に出てくる支配者にちなんでそう呼んでいて、実は割と敵意というか皮肉を持ってそう呼んでて笑いました。
そんな四騎士を一つずつ見てみましょう。
【Amazon】1兆ドルに最も近い巨人
世界の小売業を一気に支配してしまったアマゾンの本質は「より多くのものを出来るだけ楽に集めようとする」人類の狩猟・採集本能に訴えかけていること。
結果として2006~2016年の株価上昇率はかつての小売業の頂点にいたウォルマートが2%なのに対し、Amazonはなんと1910%です。段違いすぎる。。。
それを可能にしたのは、安い資本コスト(=コストをかけずに圧倒的な資本を手に出来る状態)を手に入れていることが背景にあります。それによりほかの小売業ができないような強烈な投資をラストワンマイルへの投資に思いっきりかけられることでどんどん強大に。ほかの小売業はついていけません。
さらにそんな潤沢すぎる資金を元手にアマゾンは凄まじいスピードで進化し、小売業の域を出ていく勢いです。その結果…
Amazon Goの台頭で全米の2.6%と言われる340万人のレジ係が職を失うだろうと言われています。
アレクサの普及で消費者の意思決定屋注文作業なしに狩猟採集本能からくる欲求を満たしてくれるようになるだろうと言われています。
最終的に、農家が100年で50%から4%になったのと同じ現象がこれから30年で小売業で起こるかも知れないと。。。まさに雇用クライシス。。。
まさに巨人。アマゾンは小売業界における進撃の巨人なのです。駆逐できない…。
【Apple】ジョブスという教祖を崇める宗教
神に近いブランド。一種の宗教。
Appleがここまで神に近いブランドを確立したのはスティーブジョブズが打ち立てたセクシーな戦略が功を奏したからにほかなりません。
すなわち、「iPhone,Macbookを使っている人はモテる(極論)」という消費者の頭から心へ、そして下半身へ訴えかけるブランド戦略です。
その基礎が(本書では垂直統合と表現している)Apple storeです。
単なるデジタル機器として扱わず、まるで車のディーラーのように、Appleの製品を持つことがカッコイイという体験を提供しているのです。
その結果がiPhoneとAndroidの利益率の違いに出ているのです。
そしてAppleが独り勝ちした結果、当時フィンランドのGDPの30%を占めていたノキアが大ダメージを受けました。
10万人の雇用が削減され、フィンランド経済全体が落ち込むことになりました。
著者からすればここが許されないポイントになるそうです。
【Facebook】人類の1/4を繋げた怪物
先に良い点を述べると、Facebookは人と人を繋げる下支えになりました。以上。
Facebookに関して言われているのは、Facebookがデジタルメディアの広告の破壊者になっていること。
likeマーケティングがほかのメディアの広告を破壊する結果になっていること。
プライバシー保護vs.関連付けの冷戦が起こっていること。が挙げられています。
Facebookというか…ツイッターなども含めた巨大化したSNSが良くも悪くも怪物になっているよね、という話もありますね。
特にこのコロナ禍やアメリカのI can't breathのデモなど、最近のSNSを見ても特に感じられる気がする…。
実はその根本的な理由のひとつとして、Facebookに言わせればあまり自分を発信しない穏健派へのマーケティングは相関関係でしか追えないため正確性に欠け、金がかかる割に利益が薄いことが挙げられます。
従って過激なコンテンツが増え、まっとうな冷静な正確性なコンテンツは減る。
裏返すと、自分からシグナルをガンガン発信する(過激な)人に対してはその人がハマるコンテンツを提供しやすい=クリックしやすいカモになる。
結果として、対立と怒り・不安を煽るコンテンツばかりがランキングを上げ、人々の分断に拍車をかけていると言われているのです。
マスメディアが視聴率稼ぐ為に人々の怒りを煽るような偏向報道みたいなことをするのと属性は似ているかもしれませんね。実際はそれより複雑ですが。
【Google】全知全能で無慈悲な神
Appleは神に近いブランドですが、Googleは本当に神に近い存在になっています。賞賛ではなく…。
マーケティングの世界における神。インターネット時代の情報の神になる。
それはすなわち、この神に逆らうと、神の裁き、つまり検索結果の煉獄(2ページ目以降)に飛ばされることになるのです(ワロタ)。
四騎士が支配する世界の恐怖
ここまで四騎士の紹介をしましたが、共通しているのが、著者はこの4社に対して割と敵意を持っているような印象を持っているということ。
それはなぜなら、この四騎士の成長は実質的な雇用を伴っていないから。
結果としてこの4騎士が支配したアメリカは、300万人の領主と3億人の農奴で成り立つ国になってしまうと警鐘を鳴らしています。
非常に優秀な人間にとっては最高の時代だが、凡人にとっては最悪の時代である。ということです。最悪の時代だ…。
そんなパンピーが成功するために必要な要素として心理的成熟・好奇心(知ろうとする好奇心ではない、提案する好奇心)・当事者意識などか挙げられている。そして良い大学にいけという。辛いですね。
発売から2年、GAFAは加速する
ところで、本書でGAFAの時価総額が2013年~2017年の四年で1.3兆ドル(=ロシアのGDPと同じ)増えたと書かれているんですが、2017年のGAFA+M(マイクロソフト)の時価総額の合計が2.8兆ドルだったんですね。
しかしつい先日、日経新聞のニュースでこの5社の時価総額が5.3兆ドルを突破し、日本の東証一部上場企業全2000社以上の時価総額の合計を超えたという報道がありました。
恐ろしすぎませんか。2017年~2020年のまた四年間で5社で2.5兆ドル増えたんすよ。おそロシアどころじゃないです。GAFAは加速している。
そんな感じで、GAFAが支配する中流社会をぶっ壊すような世界が確実に、しかもかなり速いスピードで迫っています。この激動の世の中で(おそらく)パンピーの部類に入る私達はどう生きていくか、考えさせられる一作だと思いました。
以上、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の読書レビューでした!
あと、とろろみたいなトロトロのブログを書いているので見てやってください(宣伝)
最後に著者のギャロウェイから一言。
「私は若くしてキャリアを確立するために、髪の毛、最初の結婚、そしてほぼ間違いなく20代を犠牲にした。そしてそれだけの価値はあった。」
世知辛い世の中。つらたにえん。頑張りましょう。完。