エッセイ | 世界は誰のもの?
今年になって渋谷に来るのは4回目だ。1回目はライブ。2回目もライブ。3回目はコーヒーを買いに。そして4回目もライブだ。
今回行ったライブは a flood of circle(ア フラッド オブ サークル)の『HAPPY YAPPY BLOOD HUNT』だ。ニューシングルの「ゴールド・ディガーズ」のリリースツアー最終日にあたる。前日には今作のプロデュースを務めたホリエアツシが率いるストレイテナーとの対バンも行われていた。
この日の会場はSHIBUYA CLUB QUATTRO(渋谷クラブクアトロ)。私にとっては久しぶりのクアトロで、数えてみると5年ぶりとなる。ちなみに、5年前に来た時のライブも a flood of circle で、アオキテツ(G)の正式加入式典ライブだった。
それを思い出すとかなり懐かしさが湧いてくる。その日は土曜日だったのだが、今回の客数と比べれば若干だが少なかったと思う。フロアの端でビールを飲みながらライブを楽しめていたので比較的余裕があった。
しかし、今回のライブはかなり人の入りがあった。平日であるにもかかわらずビール片手に楽しむには無理な状況のため、私は入場したらすぐにビールを飲み干した。
5年前のライブから a flood of circle のライブには来れていなかった。チケットは買っていたのだが、仕事の都合やコロナで行けなくなっていた。そのためライブ自体も5年ぶりだ。
5年ぶりにもなると客層が変わっていることに気付ける。私自身もそうだが、やはりファンが年をとってきている。バンドと同様に生きているわけだから当然だけれど、なんだか久しぶりに会う親戚のような気持ちになり気恥ずかしくなってしまう。
しかし、若いファンも見かけられる。話の内容からして学生なんだろうかと推測してしまう。学生の頃に、好きなバンドで盛り上がれるのはとても良いことだ。幼稚な表現になってしまうけれど、実際にそうなのだから仕方がない。私はライブに行く時は常に1人だったため、友人や彼氏彼女と一緒に来ている人を見ると羨ましくなってしまう。
ライブは1曲目から盛り上がり、会場が爆発したかのような雰囲気になっていた。新しい楽曲も演奏されれば、昔からある楽曲も披露された。新旧おり混ぜたセットリストだったが、「この楽曲をライブで聴けるとは!」と思ってしまう楽曲が頻出した。
ライブが中盤に差し掛かる前には佐々木亮介(Vo, Gt)がフロアの中央まで降りてきて歌うというサプライズもあった。「払っているチケット代はみんな同じ」と歌いながら会場中を360度見回す姿は、私が高校生の頃に憧れた姿のままだった。
個人的には「世界は君のもの」でうるっときてしまった。いろいろと不調続きの時に、何度も「世界は君のもの」と叫ぶ声には背中を押される。
そして、今回のライブで私が驚いたのは「プシケ」が演奏されなかったことだ。私が行った過去のライブでは必ず演奏されていたため、どのライブでも演奏されると勘違いしていた。この楽曲の間奏で行われるバンド紹介がカッコいいのだ。
今回のライブは新曲「ゴールド・ディガーズ」のためのライブだ。ライブで a flood of circle の決意が詰まったこの曲を聴けたことは良い体験になった。これからのバンド活動もさらに目が離せなくなる。もしも3年後の武道館ライブで「プシケ」が演奏されたら、間奏のバンド紹介で私はきっと泣いてしまうだろう。
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