
最新のAI「Claude3.5」に自作小説の続きを書かせたら想像以上のクオリティになった件
こんにちは。森石です。生成AIを使ったライティングアシスタント「Xaris(カリス)」の開発、運営をしています。
自分にはもうひとつ、SF作家と言う顔がありまして、「維嶋津」と言う名義で短編小説を書いて公募に出したり、友人と本を出したりしています。
直近で出した本
さて、最近リリースされたClaude3.5の性能を試すために、自社サービス「Xaris」を使って小説を書いてみました。
その結論として、想像以上のクオリティになったことが確認できたので、制作の過程も交えつつ、実際に紹介していきたいと思います。
前提
今回はゼロから書くのではなく、僕が過去に書いた以下の短編を中編まで膨らませることにしました。
この作品は、プロットや設定をXarisとの対話で制作し、それをもとに僕自身が執筆する、というスタイルで書かれています。
制作過程
今回の実作のプロットをAIと考えるまでの流れ(1/3) pic.twitter.com/S4fWTfkwxm
— 維嶋津(Sin Ishima)@SF作家 (@isimasin) July 22, 2023
この時も執筆までAIにしてもらおうと思っていたのですが、以下の問題に突き当たり断念しました。
キャラ設定やプロットとの一貫性を保ってくれない
キャラクタの書き分けや、小説として面白い文体を出せない
この辺が克服されているかどうかを、今回は検証したいと思っています。
事前準備
まず、Xarisにログインします。

設定画面から使用モデルをClaude3.5 sonnetに切り替えます。



geminiはじめ、最新のLLMモデルはだいたい使えます。
次に新規ワークを開き、設定やプロットなどをコピペ。


最後に、第一章までの原稿をコピペして、末尾の一文を選択→ツールバーの「Xarisに聞く」をクリック。


指示を書いて送信ボタンをクリックすると、Xarisが提案を開始。ドキュメントに書かれている設定や本文をすべて読み込んだ上で回答してくれます。
さて、どうなるかしら。
結果
途中ですが、こんな感じになりました。
1章が私の書いた文章。2章以降はほぼ全部AIが書いています。
結論から言うと、想像以上のクオリティでした。
良くなった点
1.プロットや設定との一貫性が保てるようになっている
ここが一番の驚きポイントでした。ちゃんと設定や説明、これまでの本文の流れを理解し、一貫性のある執筆をしてくれます。
以前まではキャラの性格が途中で変わりまくったり、前の展開で起きた伏線や出来事を忘れたりしてたのですが、だいぶ一貫性を持って書いてくれるようになりました。
この小説はスティーブン・キングっぽい不気味はホラーテイストを目指しており、主人公の性格もちょっと危ない(サイコパスっぽい)という感じに設定してるのですが、そういった設定をちゃんと反映して描写してくれています。

「秩序のため」の独自ルールを定めて押し付けるヤバイ奴。彼から逃げるのがヒロインの目的
また、第四章は話者の視点が変わり、一章の流れをヒロイン視点で語り直す…というプロットになっています。
時系列が前後するやや複雑な内容で、以前までの生成AIであれば確実に対応できませんでしたが、今回は破綻なく描写できています。

視点が変わったことにより、語り口や心情も変化しますが、ちゃんと第一章の内容との整合性を保ちつつ書き分けています。すごい。

もちろん一発出しはまだまだ無理で、対話による修正は必要ですが、レスポンスと理解度が格段に上がっていると感じました。

2.文体のバリエーションが増え、自然になっている
よくある「AIっぽい、フラットすぎる文体になってしまう」という問題も、対話を丁寧にすることで、ある程度改善してくれます。
たとえば2章の冒頭「悪くはないけど物足りない…」という感じなのを修正してみます。

Xarisで第二章全体を選択して指示。







ここら辺は好みかも。語りじゃなくて行動でそのキャラらしさを出したいという気持ちもある
とまぁ、結構な量の会話は必要になるものの、細かいニュアンスの調整も含めて、かなり自然な文体を出せるようになっています。
3.対話が格段に楽しくなった
ご覧の通り、まだまだ一発出しで完璧な出力はできず、かなりの量の対話が必要になるんですが、この会話が格段に楽しい。
Xarisに意見を求めたときの解釈や切り口が結構面白く、気づいたら夢中で対話してしまっていることも。



抽象的な理解度が高まったせいなのか、以前よりも「パートナー」という感覚がかなり強くなりました。正直すごく楽しいです。
気づいたら16000字書けてた。すごいぞ
夢中になってXarisと対話してたら、いつの間にか16000文字書けていました。1日5000文字のペースが限界だった自分にとって驚異の生産量です。
「どんな駄作であっても完成させること」が小説を書く上ではとても大切なのですが、今までは仕事やらなんやらで書く時間が取れませんでした。
でも、ここまで進化したXarisと一緒なら、空いた時間にどんどん書いていくことができます。もちろん推敲や改稿はまだまだ絶対に必要なのですが「作品を書ける」「完結させる」ことで自分の上達につなげられるのはとても嬉しい。Xarisを通じてやりたかったことのひとつが、ようやく実現に近づいてきています。ヤッター!
次の数か月後に来ると言われているClaude3.5opusを待ちつつ、仕事と小説執筆に精を出したいと思います。
AIライティングアシスタントXaris(カリス)について
というわけで、生成AIによる「書き手」のためのライティングアシスタント「Xaris(カリス)」を開発・運営しています。
「Xaris」というサービス名は、8年前に書いた自作SF小説からとりました。
この作品では、「AIが人間の代わりにすべてのクリエイティブを行ってしまう」という未来をディストピアとして書きました。その作中に出てくるAIの名前が「カリス」だったのです。

現実世界のカリスは、かつて描いたディストピアではなく、AIが人間の創造性を広げてくれる未来を目指しています。
無料のトライアルプランも用意していますので、ライターさん、小説家さんなど、ご興味がある方はぜひ試してみてください。オンラインで使い方のレクチャーも可能です。
あらゆる「書き手」にとっての明るい未来を目指して、コツコツとやっていきます。よろしくお願いします!
いいなと思ったら応援しよう!
