スターリンクの秘密からTwitter改革まで、イーロン・マスクの挑戦を追う|ウクライナ戦争にも関係|『イーロン・マスク 下』の読書感想
『イーロン・マスク 下』を読みました。前回、上巻を読ませていただきイーロン・マスク氏の印象が大分変りました。その下巻を読みました。これ以上、ぼくの中で印象が塗り替わることがあるのかと思ったら、さらに塗り替わりなした!
改めて、イーロン・マスク氏は、昭和的な考え方をしていて、それが魅力的な方なんだなと思いました。前回の記事はこちらです。
本書を通じて、世界で起こっている出来事にイーロン・マスク氏が良くも悪くも強く絡んでいることを目の当たりにしました。それでは少々ネタバレですが、彼が、「え?そんなところに影響していたの?」なんていうところを書いてみたいと思います。
スターリンク|ウクライナを一方的なロシア攻勢から救った防御専用ネットワーク
2022年にロシアとウクライナの戦争が始まりました。今でも続いていますが、特に初期のころはサイバー攻撃やフェイクニュースの拡散など、情報戦が激しかったのを記憶しております。
大国ロシア VS 小国ウクライナの戦いです。どちらが強いかといえばロシアですが、サイバー攻撃をうけていてもウクライナからの情報も当時入ってきていたと思います。
実はそこにはイーロン・マスクがいたのです。ロシア側の戦力が大きいのでウクライナの情報インフラ網はすぐに破壊されようとしてました。そこでゼレンスキー大統領はイーロン・マスクに連絡。支援をしてほしい旨を伝えたのです。
スターリンク衛星4万機の計画|現在6000個あまり打ち上げ完了
イーロン・マスクは呼びかけに応じインフラ環境を提供しました。それがスターリンクです。
昔イリジウムという衛星を使った携帯電話があったと思います。スターリンクは、そのインターネット版のようなものです。
イリジウムは66機の衛星で運営されているようですが、スターリンクは2024年4月現在でなんと約6000機もの衛星で運営されているそうです。
最終的には、衛星を4万機まで増やす計画ということですから驚きです。
打ち上げもすごくて、1回に数十機打ち上げるのがすごいです。
どうやってそんなにたくさん打ち上げらたかといえば、前回記事でも紹介したファルコン9です。ロケットを打ち上げたあとに、切り離したブースターが地上にかっこよく着陸してきたと思います。
ファルコン9は実用で使っていて何度も何度も打ち上げをしています。ほぼ失敗無しです。たまにブースターが戻ってこないこともありましたが、ほぼ燃料代だけで打ち上げをしているのが今なのです。
スターリンクへの接続デバイスを数週間でウクライナに1万台以上提供
衛星でインターネットができるスターリンクのデバイスを数週間で1万台以上ウクライナに使える状態で提供しました。この功績は大きいと思いました。だからこそロシアの一方的な報道だけでなく、両者からの情報があったのだと思います。
この回線網のおかげで、戦地かの通信が途絶えることなく、最善とはいえないまでも各地域で情報のやり取りができていたのだと思います。
戦争には使わせないポリシーから、ウクライナのクリミア攻撃は使わせなかった
強力な味方を得たウクライナ。とはいえ悪乗りを許さないのがイーロン・マスクでした。得たスターリンクの回線網を利用し、ウクライナはクリミアを落とそうとしたのです。クリミアはウクライナとロシア戦争では関係ない地域。
ウクライナがロシアの戦力を落とすための戦略行為です。クリミアはロシアにとって大切な地域なのでこれをスターリンクのおかげで落とされると第三次世界大戦にもなりかねません。
そこで、クリミア近辺100キロ圏はスターリンクの回線を切ったのです。
その結果、ウクライナの作戦は失敗しました。ウクライナ側からイーロン・マスクに回線を復活するように進言しましたがそれはしなかったようです。
あくまでもスターリンクは防御と人道支援目的のインフラに徹したのでした。
ツイッターの買収|目的は決済システムをつくるためだが苦しみも多い
ツイッター買収は記憶に新しいのではないでしょうか。本書を読んでいくと当初ツイッターを買う気まんまんでしたが、最後の方は買う気もなくなっていたようです。しかし、周囲の状況で買わざるを得ない状況だったようですね。
リストラ慣行:100行以上プログラムコードを書いた社員を選別
「ツイッターの社員を減らしたからサービスが悪くなった・・・」といった声をよく耳にします。ただ、イーロン・マスクの判断は、社員数のわりにツイッターの発展が鈍感すぎると感じていました。
彼の考えでは、7500人も社員がいるなら1人1日3行もプログラムコードを書けば年内に新しいサービスをいくつも出せるくらいのポテンシャルがあると考えていました。実際はそんなに目覚ましい発展はしてなかったのです。
当時は、売り上げも多くは上がっておらず株価も下がっていました。
イーロン・マスクはツイッターにもっと売上げを上げてもらって、もっと社会貢献ができるSNSにできると考えているようでした。
そこで考えたのが、100行以上ソースを書いた社員を選別したそうです。
プログラムを書かない社員はそこで落とすという感じだったようです。
さらにプログラムコードの中身でクリエイティブな社員を抽出
さらに、書かれたプログラムコードを1人ずつ見てクリエイティブな社員を選別しました。この方法には賛否両論があると思いますが、筆頭株主はイーロン・マスク本人。かなりワンマンに進めていったようです。
7500人いた社員は現在2500人
結局7500人いた社員は現在2500人ほどになったようです。3分の1以下になってしまったようです。大リストですね。
在宅勤務ができて福利厚生が豊かな会社➡原則出社で仕事の鬼が集まる昭和みたいな会社へ
ツイッター社は福利厚生面がかなり発達した会社でした。売店やドリンクサービス、フィットネスのためのジムなどいろんなものがありました。そして勤務は出社でもリモートでもどうぞという環境で、ほとんど会社に出社しない社員もいたそうです。
それをイーロン・マスクは、原則、出社は必須とし、チームで集まって常に意見交換できる場所で仕事をするようにしたのです。日本で言えばまさに昭和時代ですね。社員に対してはかなり重いノルマや目標を与えていたみたいなので、まさにザ・昭和のようでした。
最強ツールのアクセス|凍結・解除は結構自由にやってるね
ツイッターには最強ツールがあるそうです。どんなアカウントの中をみることができ、凍結・削除も思いのままにすることができるツールです。(運営上あって当然ですが・・・)
この最強ツールにアクセスできるのは、ツイッター社(X社)に在籍する10名ほどの限られた人たちだけようです。この人たちは連帯責任のもとに成り立っているのだとか。誰か1人が不祥事を起こせば全員が解雇になるようです。
これまた日本っぽい連帯責任制を敷いて、まさに5人組ならぬ、10人組のような感じですね!
その10人もイーロン・マスクの配下にあるので実質イーロン・マスクはなんでもできたのです。実際にイーロンの独断でさまざまな重要アカウントを凍結したり、解除したりしていたようです。
ツイッター(x)というSNSは、しっかり特権者により管理されていて、利用者は手の平で転がされているのだなと思いました。
3行日記:もうすぐ4月が終わります
もうすぐ4月が終わり、ゴールデンウィーク突入間近ですね。1年の3分の1が終わろうとしています。あぁ、成しえたことがあるかな?なんだろう。少ないかもしれない・・・。けどnoteは毎日楽しいです。
新しいことにもこれから1個やりたいと思います。
1年前:ネット断食・SNS断食は時々必要です
比較の呪縛は、名声・裕福な人に対してもまとわりつくことに気づいたときでした。気づいてもその付き合い方は一生ものです。ときどきネガティブになるのは避けられませんね・・・。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!