耳鼻咽喉科医が見るアレルギー性鼻炎の保存的治療と舌下免疫療法の実際
耳鼻咽喉科医が見るアレルギー性鼻炎の保存的治療と舌下免疫療法の実際
アレルギー性鼻炎は、国民の約半数が罹患するいわば国民病です[1,2]。仮想症例を通じて専門医ならではの視点を共有します。アレルギー性鼻炎の最適な治療を選択できるようになりましょう。
2月初旬某日の耳鼻咽喉科診察室
父・母、6歳男児の3人家族、毎年この時期に症状がでるということで受診しました。
父は鼻汁、目のかゆみの症状です。車の運転をするので眠気がでない薬を希望しています。母は鼻汁、鼻閉を感じ、眠気は気にせず強い薬を希望。現在妊娠はしていないが、今後は希望があるようです。男児は鼻汁、鼻閉と目のかゆみがあります。大好きなサッカーのときに困るとのことでした。
イムノキャップテストをおこない、3人ともスギで陽性、男児はヤケヒョウヒダニにも抗体を認めました。
父にはビラノア(ビラスチン)とナゾネックス(モメタゾン)、母にはルパフィン(ルパタジン)、キプレス(モンテルカスト)を、男児はアレグラ(フェキソフェナジン)とアラミスト(フルチカゾン)を処方しました。
花粉シーズン終了後に家族全員で舌下免疫療法を開始し、根治治療を目指します。
問診から攻略するアレルギー性鼻炎対症療法
アレルギー性鼻炎の診療において問診は重要です。まずは症状を下記の4つにカテゴリー化します。
くしゃみ・鼻汁
鼻閉
眼症状
咳嗽や他部位症状
さらに眠気への注意が必要か、妊娠の有無や根治治療への希望があるかも聴取しましょう。1月末〜2月初旬の花粉飛散直後に、対症療法を開始することを初期療法と呼び、ガイドラインで推奨されています[3]。
進化を続ける抗ヒスタミン薬は効果と眠気のバランスを考えよう
抗ヒスタミン薬はくしゃみ・鼻汁や咽頭・皮膚の症状に対して即効性が期待できます。まずは、副作用が起きにくい第二世代抗ヒスタミン薬を選択しましょう。抗ヒスタミン薬の効果と眠気は関連していると勘違いされがちです。しかし、即効性は最高血中濃度到達時間に、持続性は血中濃度半減期に反映されます。
一方、眠気は薬剤が脳血管関門を超えやすいかに関連し、効果と眠気の関連性は高くありません[4]。添付文章上では、眠気の副作用について特定作業従事への制限が明記されています。訴訟リスクもあるので、処方する際は必ず注意喚起するようにしましょう。
小児には、アレグラもしくはザイザル(ボセチリジン)が6ヶ月齢以上で処方できます。内服薬は眼症状には効果が望めませんので、点眼薬を選択しましょう。
鼻症状について高い効果をもち、目にも有効な点鼻ステロイド薬
局所散布の本薬剤は、くしゃみ・鼻汁、鼻閉といった鼻症状に対して他の薬剤より効果が高く[5]、眼症状へも効果が確認されています[6]。アラミストとナゾネックスは液体タイプで、小児へも適応があります。エリザス(デキサメタゾン)は粉状タイプで、小児への適応はありません。噴霧時の違和感はほとんどないのが特徴です。点鼻ステロイド薬は、動物実験で胎児への影響が確認されているオーストラリア基準B3に相当するので、私は妊娠中の女性には処方しません。
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