ANOTHER ATTITUDE〜#3葛西純ドキュメンタリー映画「狂猿」生きて帰るまでがデスマッチ
映画「狂猿
出演 葛西純
監督 川口潤
佐々木隆 藤田ミノル 本間朋晃 伊東竜二 ダニー・ハボック
竹田誠志 杉浦透 佐久田俊行 登坂栄児 松永光弘 ほか
公式サイト https://kyoen-movie.com
俺は子どもの頃から、大のプロレスファンだ。
毎週金曜日の夜8時には新日本プロレス、土曜日の8時には全日本プロレスと、何曜日かは忘れたが12チャンネルでやっていた国際プロレスや、当時世紀の大凡戦と言われた猪木・アリ線も、死んでしまった祖父とともにテレビにかじりついて観ていた。
成人してからはプロレスを会場にまで観に行くようになり、様々な団体を観てきたが、そんなプロレスファンである俺が、唯一と言っていいほど観なかったものがある。
デスマッチだ。
一度だけ大日本プロレスを観に行ったことがあるが、その頃はまだそれほどデスマッチに特化していた時期ではなく、通常のプロレスが中心で興行は行われていた。
FMWというデスマッチの老舗団体は、大仁田厚というレスラーを生理的に受け付けなかったので、その辺りからデスマッチというものに対して偏見のようなものがあったのかもしれない。
しかしあるとき、ライブでプロレスラーと対バンする企画があり、初めてレスラーと同じ出演者として過ごした時があった。
2018年6月24日に、四谷アウトブレイクで行われた早朝バズーカである。
・葛西純初見
この日俺のバンドFORWARD以外にも、ABIGAILやさまざまなプロレスをリスペクトするバンドが集まったのだが、その中でもひときわ違ったオーラを放つ人物がいた。
それが今回試写会に行ってきた、5月28日から全国ロードショーが始まる映画「狂猿」の主人公であり、デスマッチのカリスマ葛西純である。
ライブの日、出番を終え早朝の四谷甲州街道で佇んでいると、全身傷だらけの明らかに一般人とは違う体つきの屈強な肉体の男が、上半身裸で一般道でランニングを始める。
そばにいた俺は「ああ、これが葛西純か」と、畏怖と尊敬が入り混じった心で眺めていた。
その肉体にある無数の傷は尋常なものではなく、えぐれてしまっている場所や傷が盛り上がっているものなど「これが人間の体なのか?」と目を疑いたくなるような凄まじいものだった。
当日の試合は、リングもなく余興に近いものではあったが、全身に刻まれた傷と、その男の放つオーラは「これがプロレスラーなんだ」と、問答無用で理解できる説得力の塊だった。
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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!