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『ネット・プロモーター経営』(フレッド・ライクヘルド/ロブ・マーキー)ブックレビュー

久しぶりのブックレビューでございます。10月については読書はお休みしておりまして、年末の動画作成に向けて一年間で撮りためたスマホの写真や動画を見返しておりました。この作業が動画の質を大きく左右するので、ここは絶対譲れませぬ笑
話を本題に戻し、今回のブックレビューは『ネット・プロモーター経営』、いわゆる『NPS』の本です。もともと興味のあるテーマではあったのですが、読んだきっかけは10月で異動になった異動先の拠点長との面談で「おすすめの本は?」と聞いたときに薦められたから。人に対しておすすめの本を聞くと、間接的にその人の考え方とか重要視していることがわかるから、我ながらいいきっかけだったと思う。ちなみに薦められたもう一冊の本は稲盛和夫さんの『生き方』!!!僕の人生のバイブルでございます。大枠の考え方が一致する拠点長で嬉しいわい。

さてこの本、
『NPSの本質は<ネットプロモータースコア>ではなく<ネットプロモーターシステム>である。フィードバックに向き合い、顧客志向に変えていくクローズド・フィードバック・ループを運用することが肝となる』(P2)
とあり、要は単純な測定を目的としているのではなく、会社の在り方の改善のきっかけにするべし、みたいなことが主旨となっていて、そのために守るべき原則や注意点も詳細に記載されていました。行ってみましょう。

序章:スコアからシステムへ

・旧版『究極の質問』がNPS認知率向上のきっかけ。
「0~10点で、この企業を友人や同僚に薦める可能性は?」(+「その理由は?」)
9~10点推奨者、7~8点中立者、0~6点批判者として推奨者割合-批判者割合で算出(P19~22)
・成功のポイントは①タイムリーかつ透明性のある方法で顧客分類②クローズドループ(フィードバックに基づき改善のための行動を起こし働きかけるサイクル)のプロセスづくり③経営陣が最重要ミッションとする(P29)

第1章:悪しき利益と良き利益、そして究極の質問

・「ロイヤリティの高い顧客は購入を続け、サービスにかかる費用は抑えられ、価格に敏感ではない」と多くの経営者は理解しつつも、実態は短期的利益に意識が向きがち(=悪しき利益)(P40)
・顧客リレーションシップを犠牲にした利益(=悪しき利益)は批判顧客を生み、苦情やネガティブな口コミに繋がり、結果的に従業員の士気が低下する(P47)
良き利益は顧客の熱心な支持による(P52)→口コミの威力を理解し、「自分がしてほしいやり方で人々に接しなさい」という黄金律を守れ(P57)
・測定こそが責任を生み出す(P62)。顧客リレーションシップを測る究極の質問の誕生(P65)
スコアの分布は業界によってかなり異なる(P67)

 →良き利益を求めるという企業の在り方が必要であり、その実現に向けてNPSが誕生したと。あと、スコアの分布がかなり勉強になった。当たり前だけども業態・業種によってNPSはバラツキがあるものよね。

第2章:成果を測定する基準

・継続購入や推奨と最も相関が高い質問の発見:推奨の条件2つ①優れた価値提供の認知 ②リレーションシップへの良き感情(P76)
・推奨者:再購入率高く、紹介客のうちこのセグメントから薦められたものが80%を超える
批判者:批判や否定的態度で新規顧客に水を差し、従業員の意欲をそぐ(P78)

第3章:NPSが利益ある成長をもたらすメカニズム

・NPSがもたらす経済的効果 1)顧客維持率 2)価格(推奨者は価格に敏感ではない) 3)年間購入額 4)費用対効果(批判者は苦情を寄せるため人的コストがかかる) 5)口コミ(否定的なコメント1件につき3~10件の肯定的なコメントが相殺のために必要)(P98)
経済性の把握こそがNPSの重要性を経営幹部に理解させる機会になる(P107)
・主要な競合他社とのNPS比較が不可欠(P109)

→NPS浸透のためにはざっくりした綺麗事ではなくとにかく経済性の理解だと。改めて、否定的なコメントの威力たるや・・・。

第4章:エンタープライズの物語~意味のあるものを測定する~

・エンタープライズ(レンタカー会社)・・・ESQ(≒NPS)導入後測定方法を改善&社内表彰制度や情報開示強化(P124)、さらに『投票(ザ・ボート)』で社内の従業員間での順位付け(P133)を実施

第5章:NPSを測定するには

・ポイントは以下の原則
1)質問の数を最低限にし、回答率を高める(P140) 2)有効な尺度を使い続ける(0~10点が実用的)(P142) 3)スコア混合を避ける(P145) 4)適切な顧客選定(P148) 5)報告・議論の頻度を高める(P151) 6)調査単位を細かくする(支店や部署別)(P153) 7)バイアスを取り除く(サンプルの偏りや収賄)ため、第三者調査や重要性の社内周知を行なう(P157) 8)スコアと行動の相関実証(P14)
推奨者の分け方として9~10点と定義するのは適切。日本人は特性として「主張が控えめ」、つまり9~10点をつけない傾向がある≒人に薦めるという行動をとることも少ないため(P169)
・経営トップがNPSの必要性を伝え続ける、どうファンを増やすかという視点(≠フィードバック)をもつ、継続的改善に繋げられる仕組みを作る の3点が重要(P175)

→この章、かなり濃密だった!
NPS測定のポイントの中では5)6)7)あたりが印象的。とにかく『測って終わり』にせず、主体的に意識できる環境を作ることと、あと実態より高い数値になるように操作しないことが重要よね。ん・・・うちの会社、できているかな苦笑
あとP169にあった、『推奨者の分け方って適切?』みたいなやつ、、、、めっっっちゃ納得感あった。

第6章:NPSで成果を出すということ

→省略 

第7章:経済性と動機付け:二つの欠かせない柱

・2つの柱 ①経済性との結び付け(NPS向上=企業利益) ②動機付け(従業員が自社に誇りを持ち、顧客へ自社のファンになってもらうことを望むという風土)(P212)

→NPS浸透に向けてはその重要性の周知が肝要で、それと続けることは結局企業の在り方を説き続けることになる、みたいな章ですな。こういう、ビジネスを学ぶと結局哲学に行きつく、みたいなのが好き。

第8章:顧客との「クローズド・ループ」を回す

・顧客に喜んでもらう最も強い要因は、企業がきちんと話を聞き、不満や提案に応えること。クローズドループを日々の業務フローに組み込むべし(P268)

第9章:長期的な変革に備える

・成功に向けた適材適所。1)適切なスキル・エネルギー・経験を持つ 2)変革のための組織化 3)CEOの直属を推進リーダーに(配置こそが社内へのメッセージ)(P277)
・報酬と連動させるのは以下の理由から慎重にすべし。1)スコアを上げること自体が目的化してしまう 2)測定の開発部へのプレッシャー 3)不正の誘発(P289)
「(NPSによる変革は)組織設計や測定基準の変更だけでなく、企業文化の変革」byゲリーノ・デ・ルーカ(ロジテック会長)(P303)

→個人単位だけでなく、組織化することが大切よな。中でも、CEO直属をリーダーにすることが社内へのメッセージになるってなかなかクリティカル。

第10章:ネット・プロモーターの最前線

・直近では従業員のNPS「eNPS」も進展(P309)
・ビジネスにおける成功と人生における成功には、自分を取り巻く人々や彼らとの関係にどのような影響を与えたかが反映される→NPSは企業と人々の生活を豊かにすること、素晴らしいリレーションシップを築くことについて測定できるようにしてくれるため、企業の『道のり』を導く。(P334)

さてさて拠点長から薦められたことをきっかけに、11月末も、学びましたよ。結構ボリューミーな300ページ越えの本だったけど、いい感じでした。
年内のブックレビューはこれで最後かな。明日からはいよいよ動画作成へ。掃除機も買いたいし、ふるさと納税も考えなきゃだ。やりたいことに溢れた生活、たまらんですな。僕の人生のNPSはなかなか高いぜよ。おあとがよろしいようで。

 

 

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