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『問題解決入門』(佐藤允一)ブックレビュー

スタバ、スタバ、ディズニーと、『企業がどうあるべきか』的な本からの、いきなりのお堅いテーマへのシフトですよ。そのテーマは、ずばり『問題解決』。よく経営人、管理職がおこなう『ケーススタディ』の基本となる考え方を体系的にまとめた本です。近々社内試験があるかもなのでその対策にと買った本なわけですが、正直このタイミングで出会えてよかったなって感じ。一見当たり前のことが書いてあるようで、でも今の業務や僕のレベルからすると思い当たる節が数多くあって、我ながら深読みできたと思う。社内試験が実際に行われるかは別として、読んでよかった。
本全体としては、企業で起こる“問題”とはなんなのか、それに対しどうアプローチしていくかが書いてあるわけで、読みながらなんとなくふわっとしそうなところでちゃんと図解や具体例があってわかりやすく道を示してくれるような構成だった。
まとめてみましょう。

問題解決力とは目標達成するための思考力・行動力(ⅱ)
『問題が何かわかれば、半分解けたも同然である』という西洋の格言に表されたように、問題解決のキーはそもそも問題自体を正しくとらえること(P3)
目に見えない問題は、まず問題の有無を明確にし、そしてそれがなぜ問題かを明確にすべし(P6)
そもそも問題が実際に起こる前に予防的な手を打つことが大切であり、『問題意識』とは『問題が顕在化する前に気づく力』のことである。そのためには、①目標の明確化(そもそも目標がわかっていないと問題が定義できない) ②実現への欲求(問題がわかっても目標を達成する気がなければ解決に向かえない) ③目標のイメージの明確化(たとえば『家を建てる』という目標があったら、『どんな家を建てるか』を具体的にすることが必要)④期限の設定(期限設定がないと、解決への手順やスケジュールが組めない)⑤解決へのシナリオ(方法論がないと踏み出せない)が必要。(P6~14)
「ロープウェーで来た人は登山家と同じ太陽を見ることはできない」(by仏思想家アラン)の言葉にもあるように、問題意識を持ち自身の意思で働くことはその分困難や苦境も味わうがその分新しい発見もあるため有用(P15)
ものの見方の基本は①長い目で見る②多面的にみる③本質を見る(P20)

→目標を達成する時、まず問題を正確に把握して、問題点の本質を突く重要性が必要であると。アランの言葉はとても響いた。今、あえて仕事で大変な任務を自分から意識的に掴みに行っているんだけど、その分負担が大きくて疲れるけど重要なハンドリングもできている。これのことか。


問題とは、『目標と現状のギャップであり、解決すべき事柄』(P26)
『企業は解決すべき問題の集合体である』(byマクドノウ)、つまり問題は必ずあるので気づくか否かが重要。問題なしの意識こそ問題。(P28、34)
問題点とは問題を起こした原因であり、かつ改善可能であるものであり、かつ改善する必要のあるもの(P36、38、40)
問題とは目標と制約条件によって決まる。したがって誰の立場で考えるかで問題や対策、そもそもの目標が異なる(P48、55)
管理者に必要な能力は、問題を発見し、問題を形成(問題点の因果関係を整理)し、対策の意思決定をする力。(P59)

→管理者に必要な能力のところ、めちゃくちゃいいわぁ!!最近管理職の中でも、「なんかわかんないけどうまくいってないからヘルプ」みたいな人に複数会ったのよ。つまり問題点をそもそも掴んでいないというね。それは管理職失格。

問題のパターンは①発生型②探索型③設定型の3つ。(P63~80)
① :目標⇔現状でギャップが発生(または発生することが明白化)した状態
② :目標を現在のレベルから引き上げ、意識的に作った問題
③ :現状の延長としてではなく、未来のある条件を仮定した場合に生じる問題
問題は何か、その原因(問題点)はなにか、どうすれば解決するかの順番で考えること(P89)
以下の言葉と『目標』とは区別して考えよ(P108、111)
目的:社会的使命
理念:主体的な経営の在り方
方針:目標を達成する方法論
ターゲット(中間目標。パン食い競走でいう『パンを食べる』箇所)を達成することで最終的にゴール(目標。パン食い競走でいうゴールテープ)に到達することが問題解決(P116)
マネジメントとは、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を合理的に組み合わせて目標を達成する過程(P124)
制約条件(抱えている事情や状況)が入力(手段)やプロセス(活動)に影響を与え、出力(結果)と目標にギャップが生まれる(P133,134)
ブラックボックス(BB):障害の存在がわかってもそれが何であるか不明の状態(P139)
「打つ手」のまずさは入力(手段)の不足・不適切を、「やりかた」のまずさはプロセス(活動)の不具合・不手際を示す(P162)
“資源の不足を補うものが知恵である”(=時間を含む資源は大抵の場合有限。だからこそ知恵を使え)(P175)
権限外の問題(その人に与えられた制約条件下では対策できない問題)でも他者の権限を活用すれば対策できる問題になりえる(P179)

→ここ、思い当たる節がある。僕の今の上司(先輩)がよくやっている。ある戦略を思いついて、そのためにはある拠点の人員の協力が一定期間必要なんだけど、先輩はよくまずその拠点の管理職を説得&腹落ちさせて味方につけ、そして拠点の管理職が拠点のメンバーに指示するように進めていくの。これは極めて効率的で効果的。僕もようやく意識し始めている。

対策は単なるアイディアではなく論理的に作るもの。原因分析を省略するな(P182)
当面策はあくまで根本的対策までの一時的な応急処置にすぎない。根本的な対策には①権限内の問題(戦術)と②権限外の問題(戦略)の2つがある。(P208)
与えられた制約の下での対策が戦術であり、制約条件そのものを動かすのが戦略(P212)
複数の対策案をに対し優先順位をつけるべし(P216)。緊急性の高いものは最優先。次に、戦術なら有効度(効果)、戦略なら重要度(長期的な影響力)で判断せよ(P220)

本来なら社内試験合格に向けて、試験勉強を最優先でするべきところ、今の僕はとにかく“学びたい”という意欲にあふれている。だからこそ、ケーススタディの前提条件を学ぶためにこの本を読み進めたわけだけども、終わってみればそのおかげでフランスの思想家のアランや企業コンサルタントのマクドノウの名言にも出会えた。
さぁて、いよいよケーススタディの練習に取り掛かるかな。

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