ゲームも捨てたものではない
暗い話ばかりでもいけないので、明るい話も少々。ひきこもり支援の現場の話です。
インターネットやゲームの話題になると、長期ひきこもり界隈ではどうしても「深刻な依存問題」や「過剰課金による経済的破綻問題」などの話になりがちです。
それらはたしかにそういう一面もありますが、それだけではありません。悪い話ばかりではないのです。
近々、さる長期ひきこもりの若者が、さるIT関連企業に正規社員として採用されることになりました。ただ、彼はいっときほとんど家から出られない状態でした。それが、唐突にその企業からパートで働かないかと「向こうから」誘われ、数ヶ月で正規採用となったわけです。
もちろん、その人はコミュニケーションが不得意なのはいうまでもありません。
なぜ、そうなったかというと、彼はかつて、さるオンラインゲーム(今風ならEスポーツ)で日本ランキングのほぼトップレベルになったことがあり、その時にそのゲームでは日本ナンバーワンのゲームチームから、メンバーにならないかと誘われました。
彼はその申し出を受けました。そして、そのチームでも活躍。チームは日本一に輝き、海外で催された国際大会にも参加。ひとり当たり数十万円の賞金も獲得したこともありました。
そのゲームの世界大会は、その翌年にスポンサーが離れてなくなりました。彼の属していた日本一のゲームチームも解散となりました。彼はその後、目的を見失うなどして深刻なひきこもり状態に陥ったわけです。
ところが、そのゲームチームのリーダーをしていた人が、冒頭のIT企業に就職。店舗の一つを任されるまでになりました。そのIT企業はEスポーツ(プロオンラインゲーム)のスポンサーにもなっており、またその関連ビジネスにも参画していました。
そこで、Eスポーツ経験者だったひきこもりの彼に、元チームリーダーから「働かないか?」と誘いが来たわけです。その企業ではコンシューマー向けのビジネスも広く展開していて、元プロゲーマーの肩書きは大きなものでした。
だから、彼は誘われたわけです。
その会社での働き心地は悪くないようでした。というより、よかったようです。同僚もゲーム好きが多く、彼は会社のゲームサークルにも参加しました。
というわけで、彼はめでたく正規採用されることになったわけです。
何が身を助けるかわからないものですね(笑)。あまりひきこもりをステレオタイプにあてはめてしまいませぬように…。