「頚椎における臨床の基礎とROM」 5 石川貴章|IMIC|石川貴章整体インターナショナルカレッジ学長 2023年2月28日 22:51 頚椎の状態を正しく評価する際の基本事項とROMのポイントを解説したいと思います。第1頚椎は別名:環椎(かんつい)といいます。第1頚椎と後頭骨は関節を形成しており「環椎後頭関節」といいます。この環椎後頭関節には「後頭下筋群」と呼ばれるいくつかの小さく強力な筋肉が付着しており、しつこい頚部の凝りや肩こり、筋緊張性頭痛や眼精疲労に多大な影響があるとされています。第2頚椎は軸椎(じくつい)と呼ばれています。その形は仏様が座禅をしている形に似ているとされています。第7頚椎は棘突起が大きく後ろに出て隆起していることから「隆椎(りゅうつい)」と呼ばれています。頚椎は全体として「前彎:ぜんわん」をと呼ぶ曲線を描いているのが正常ですが、悪い習慣や姿勢の影響などでこの前彎が減少した状態を「straight neck:ストレートネック」といいます。またストレートネックの状態で頭部が前方に突き出した状態を「Crane neck:クレーンネック」といいます。クレーン車にその形が似ているように見えるためです。すべての頚椎の側面部分には横突孔という小さな穴が存在します。この横突孔はC7からC1まで縦に並んでおり、その孔内を「椎骨動脈:ついこつどうみゃく」が走行します。この椎骨動脈は内頚動脈と共に、大脳動脈輪(ウイリス動脈輪)を形成している極めて重要な動脈です。要はこの椎骨動脈が障害されれば、十分な血液が脳に供給されなくなり、重篤な脳障害を引き起こします。特段に頚椎の扱いにはきちんとした知識と安全性の確保が必要です。「きちんとした教育を受けずに危険性を理解していない頚椎への矯正操作は絶対に避けるべきです」前述の通り、後頭骨・環椎・軸椎の3つの骨をそれぞれ繋ぐそうに付着している筋肉で、この部位の最深層部に位置する重要な筋群を総称して後頭下筋群といいます。ここでは以下4つの筋肉の走行を確認します。・大後頭直筋:後頭骨と軸椎の棘突起(C0-C2SP)・小後頭直筋:後頭骨と環椎の後結節(C0-C1SP)・上頭斜筋 :後頭骨と環椎横突起 (C0-C1TP)・下頭斜筋 :環椎横突起と軸椎の棘突起(C1TP-C2SP)これら後頭下筋群の中でも、大後頭直筋は臨床的に特に重要で、この筋肉を後頭神経が貫通し、後頭部の皮膚感覚を司っています。大後頭直筋が緊張して後頭神経を圧迫してしますと、後頭部に痺れや違和感が出現することがあります。(後頭神経痛)また後頭下筋群は眼の動きと非常に密接な関わりがあり、首や頭の位置を動かさずに眼球だけを動かしているときにも、この後頭下筋群は収縮と弛緩を繰り返して、眼球運動に関与していることが分かっています。眼精疲労などの治療にも応用が可能ということです。頚椎の正常可動域は屈曲:60°伸展:50°回旋:70°側屈:50°(書籍等により多少の誤差あり)となっています。頚椎の可動域を評価する際、特に注意が必要なのが伸展と側屈です。伸展と側屈においては上部頚椎を主体とする動きと、中部頚椎以下を主体すると動きの2パターンがあります。頚椎と一括りにせず、どの分節を中心に評価したいのかを意識する必要があります。また頚椎ROMでは肩部でのCompansation(代償運動)が頻繁に観察されます。可動域の計測だけでなく同時に動きを観察するようにしましょう。 #ストレートネック #頚椎 #頚椎症 #可動域評価 5 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート