資本主義について~市場原理、競争原理

今は基本的に「資本主義」の社会であると認識しています。(中国などの社会主義国家もありますが)

資本主義も、民主主義も、ちゃんと考えたいんですが、今日は資本主義にフォーカスして考えます。

資本主義の特徴は「私有」「市場原理」というとこにあると思います。

「この土地は私のもの」「この自動車は私のもの」「この会社は私のもの」という私有という概念を共有しているのが資本主義社会です。

私有という概念が共通化されていない国、地域、時代などは存在してます。例えば、縄文時代には人類はおそらく「私有」という概念はほとんど持っていなかったと思われます。

市場原理は「価格は市場が決める」ということが、公正で社会を上手く機能させてくれる、という考えを採用しているということです。

「いいもの」は高く売れるし、「だめなもの」は売れなくて市場から淘汰されていく。

頑張って美味しい料理を作った料理人は高い収入を得られるし、不味い料理しか提供できない料理人は失業していく。そうすることで、社会がより良く機能する、という考えを採用しているということです。

今日はこの市場原理、競争原理みたいなところを考えてみたいと思います。


どうして市場原理、競争原理を採用しているのか。

それは「頑張った人が報われるべきだ」という考え方が根底にあり「市場原理こそが、公正に、頑張った人が報われる、というシステムだ」という考えになっているだからだと思います。

この考え方は、かなり社会全般に根付いていると思います。
自己責任論みたいなことです。

会社でも「なんで、あんなサボってるやつと給料が一緒なんだよ」という不満の持ち方をします。自分の方が頑張っていて、自分の方が報われるべきなのに、それが実現されていないのは不公平だ、というわけです。

そして「頑張った人が報われるべき」だという考え方は「成果を出した人が報われるべきだ」に発展します。頑張ったかどうかは、成果でしか測れない、ということです。この成果主義的市場原理は、今の社会の大勢を占めていると思います。

これは「人間は同じ能力を持って生まれてきているので、頑張ったかどうかは、成果によって測ることができる」という考え方を採用しているわけです。

そういう考え方の一方で、累進課税や、生活保護などがあるのでややこしくなります。

そして実際問題として「障害を持って生まれた人」などは実際に存在しています。「全ての命は尊い」という倫理観も流通していますから、医療などはそっちのロジックで動きます。(パンデミックでの財政出動などは完全にこっちのロジック強めだったと思います)

これ、矛盾してます。
矛盾がダメだということではなくて「私たちはそういう矛盾した、ダブルスタンダードの中に生きている」ということを自覚する必要があります。

もし、純粋な競争原理、自由競争、弱肉強食だとしたら「成果が出せない人は、餓死しても構わない」ということになります。

「成果が出せない人の命は、相対的に、成果が出せる人の命より価値が低い」ということになります。

今の社会で、これをこう言葉にして発信したら絶対叩かれるでしょうが、社会の9割がたの駆動力(メインの駆動力であるビジネス)は、ハッキリと言葉にしないだけで、この信念をベースに持っていると言っていいと思います。

資本主義社会を採用している、ということはそういうことです。

勉強しなさい、よりよい大学に行きなさい、より良い会社に入りなさい、ということはそういうことです。だって、全ての命が平等に尊いのであれば、勉強しようが、しなかろうが、尊さに変わりはないはずですから。

「それじゃあんまりだ」というので、
累進課税とか生活保護とか、独占禁止法とかで修正している、というのが現状かと思います。
そこにハッキリとしたディシプリンはないように思います。

私は、世界は不平等にできていると思っています。
日本に生まれるのと、紛争地帯や貧困地域に生まれるのでは全然平等ではないです。
日本の中でも、裕福な家庭に生まれるか、お金のない家に生まれるか、そこは平等ではないですし、
身体的特徴などでも同じで生まれてくるわけではありません。

全然平等ではない前提の中で、
アファーマティブ・アクション(不平等を積極的に是正しよう)という立場もあれば、
「是正していく必要はない」という立場もあります。

・・・個人的には、この「公共哲学」と呼べるような領域については、
小学生くらいから議論する、対話するということを積み重ねていけるといいなぁと思っています。

もちろん、大人たちも改めて話し合っていってよいと思います。
これは社会政策のかなり根っこのところの話で、
例えば「どの候補者に投票するか?」というような場合にも、
この観点は重要だろうと思います。

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