鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.56〜リーグ3連覇への挑戦、再び始まる。
今回から2022年シーズンの振り返りが始まります。
第一次鬼木フロンターレを2017年〜19年と区切った場合、2020年〜22年が第二次鬼木フロンターレになります。22年はそのラストです。
8シーズン続いた鬼木フロンターレ体制の6年目は、リーグ3連覇に向けた二度目の挑戦となりました。
戦い方の大枠は前年2021年からの継続路線で挑んでいます。2020年から打ち出してきた攻撃的4-3-3システムで、自慢のパスワークとハイプレス、そしてネガティブ・トランジションからのボールハント。これらが攻守両面で噛み合う循環に持ち込むことで、相手を圧倒する「強者の戦い方」です。これが直近2年のスタイルで、リーグ連覇を達成しただけではなく、いくつかのJリーグ記録を塗り替えるほど猛威を振るっています。
ただし前年21年はリーグ連覇したものの、終盤戦になるにつれて攻守で圧倒できない試合も目立ち始めていました。夏に海外移籍したウインガー・三笘薫と中盤のダイナモである田中碧が海外移籍した影響は大きく、夏場以降は得点力が落ちています。3点以上を取って勝つチームではなく、粘り強く戦い、接戦を勝負強さで勝ち切るパターンが増えました。それでも終わってみれば、38試合で勝ち点92という文句ない数字でのリーグ連覇。
重要なのは、こうした兆候を踏まえた上で、今シーズンはどういうチーム作りでリーグ3連覇を目指したのか、ということです。
22年シーズンの陣容に関して、昨季から残っているメンバーがチームスタイルを熟知していることから、積極的な入れ替えはせず既存の戦力を高めていく方向性を継続した旨を竹内弘明強化本部長は口にしています。
そして鬼木監督も戦い方の大枠を変えていません。
ただ力でねじ伏せて圧倒する戦いが少し難しい陣容であることもわかった上で、チーム作りを進めていたようにも感じました。
例えばシーズンの前哨戦となった富士フィルムスーパーカップ。浦和レッズに0-2で完敗しています。試合後は「自分たちはまだまだ発展途上」というコメントを口にしていましたし、続くFC東京との開幕戦も劣勢の展開をセットプレーで逃げ切るという1-0の辛勝でした。
この公式戦2戦から「今年のフロンターレは圧倒的ではない」と結論づける論調も早くも出ていたほどです。鬼木監督は現状を把握した上で、新戦力も含めた選手層の底上げにトライしていた印象があります。それと同時に、結果を求める戦い方に舵を切った印象もありました。シーズン序盤を振り返っていきましょう。
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