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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.84〜4-4-2システムで躍動し始めた2トップと、復活の山本悠樹。そして去り行くストライカー。

 第32節のアルビレックス新潟戦は5-1で勝利。

今シーズンのベストゲームとも言える大勝でした。
4-2-3-1システムだと思ってスタートしたかと思いきや、実際には明確な4-4-2システムを採用。エリソンと山田新がツートップを組み、脇坂泰斗が右サイドハーフとしての立ち位置をとっています。

 システム変更と主力の入れ替え、そして新潟対策のゲームプランなどが奏功しての大勝劇でした。試合翌日の練習後、鬼木達監督がその背景を少し明かしてくれました。

「(起用する)メンバーは決まっていて、前々日からトレーニングしていました。システムを変えたことで、そこがどうなるかな、と。人(を変えること)の不安はなかった。システムでどう出るかな。うまくいかなかったら違うプランで考えていたけれど、一つのプランの中で良い成果を出してくれたと思います」

 直近の名古屋グランパス戦からこの新潟戦までの準備期間は中4日。
その4日ある準備期間のうちの2日間をオフに割り振って、選手たちを休養させています。つまり、二日間しかトレーニングできなかったはずで、しかも試合前日はセットプレー確認などが主で、あまり多くの負荷をかけないメニューになります。言い換えると、狙いを落とし込めたトレーニングはおそらく2日前だけだったはずです。

 その辺の準備事情を聞くと、普段とは違うメニューを組んだとのことでした。

「いつもならば(試合)二日前にフォーメーションで、次の日はセットプレーで終わりなんですけど、今週は新潟に対しては二日連続でやりました。中四日なのでしっかりと回復もしていますし、そういう意味で言うと、疲労とは言わせないよって(笑)。そこは何を大事にするのかですよね。中三日でもコンディションを大事にするチームもあれば、落とし込みを大事にするチームもある。今回はそういうところ(落とし込み)を大事にしました」

 つまり、この新潟戦に向けてはオフを2日取って休養を当てた代わりに、二日目だけではなく前日も相手の対策を多めにやったようです。そしてチームとしてやるべきことも、多めに理解させた。やるべきことが明確にしたことで動きやすくなったのはではないか、と鬼木監督は言います。

「頭でわかっていた方が動きやすいのかなと。コンディションがいくら良くても、何をしなくてはいけないのかがわかりにくかったら、体も動きにくい。ちょっと頭をスッキリさせて入りました」

 この試合はチームとしてやるべきことや狙いが明確で、選手も迷いなくやれていました。それは試合後のコメントやそれを語る表情からも伝わってきました。


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