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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.49〜新人・橘田健人のハットトリック達成。極限状態で走り抜いた1ヶ月間に起きていたこと。

 2021年6月。

ACLが始まりました。ただし、コロナ禍の影響により通常のホーム&アウェイ方式ではなく、ウズベキスタンでの集中開催。グループステージの6試合を、中2日の6連戦で消化するという短期決戦になってます。

短期決戦でのグループステージを勝ち上がるためのポイントとして、鬼木達監督は「総力戦」と「臨機応変」といったキーワードを挙げていました。そして対応力を磨きながら、チームとして成長する大会にしたいと言います。

「まずは全員の総力戦で準備をする。自分もそうですが、選手ひとりひとりも臨機応変にいろんなことに対応する。極端なことを言えば、準備し切れていないことが本番で、システムやポジションもそうですが、いろんなことが起きてもおかしくないです。そこで『準備不足で』ではなく、しっかりと対応する力を付ける。チームとしてステップアップできるタイミングでもあるので、そういうものを力に変えていく大会にしたい」

 Jリーグでの鬼木監督のスタンスは、まずは自分たちの強みを出すことです。そして、それを貫いたスタイルで、Jリーグを席巻しました。

ただしACLとなると、話は少し変わってきます。「そうは言っても、相手のストロングを消さないと一発でやられてしまうのは、今までの経験からあります」という言葉を述べていましたが、それは過去の大会での苦い思い出もあるからでしょう。Jリーグとは違い、ACL用の戦い方として、自分たちの立ち位置を変えた戦いを組み込んでいる可能性を示唆していました。

Jリーグでは「自分たちが日本を引っ張る」という言葉を選手たちに言い続けて、チームはその通りの戦いを見せています。アジアの頂を目指す戦いでも、同じようにアジアのチームを圧倒して走り抜けられるかどうか。

登里享平がチームの悲願を代弁します。

「アジアで勝てないと言われたくないし、しっかりと日本を引っ張っていくという意思の元にやっている。アジアでも圧倒して勝てるように心身ともに準備したい」

 なおACL初戦のキックオフ5時間前、海外クラブへの移籍を前提とした交渉のため、ドイツに渡っていた田中碧のデュッセルドルフ加入が発表されました。

「僕はフロンターレしか知りません。このフロンターレで学んだことすべてを生かして頑張りたいと思います」

川崎フロンターレはアジアの舞台で、そして田中碧は欧州の舞台に。それぞれの舞台で歩みを進めていくことになります。

※なお、三笘薫と旗手怜央が東京五輪代表に選出された際の会見はこちらです。


 ACLは6戦全勝で終えています。集中開催ながら2回ずつ対戦するのですが、大邱FC戦(1-0)、北京FC戦(7-0)、ユナイテッド・シティFC戦(8-0)、ユナイテッド・シティFC戦(2-0)、大邱FC戦(3-1)、北京FC戦(4-0)という結果でした。

振り返っていきましょう。


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