鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.58〜ACLはGS敗退。超えなくてはいけない相手は蔚山現代か。それとも、それ以外か。
2022年4月半ばからACLが始まりました。
この年はマレーシアでの集中開催。過去何度もグループステージで同組となり、昨年はラウンド16で対戦した蔚山現代とはまたも同じ組に。
蔚山現代との一騎打ちと言われましたが、中立地扱いながら実質的なホームであるジョホール・ダルル・タクジムも不気味な存在。若手主体である広州FCは力が落ちると言われており、川崎フロンターレ、蔚山現代、ジョホールの三つ巴によるグループステージとなりました。
6試合の結果は、蔚山現代(1-1)、広州FC(8-0)、ジョホール・ダルル・タクジム(0-0)、ジョホール・ダルル・タクジム(5-0)、蔚山現代(2-3)、広州FC(1-0)。
6試合の成績は3勝2分1敗。
負けたのは蔚山現代だけでしたが、結論から言うと、グループステージ突破はならず。しかもかなりドラマティックな敗退でした。
最終節の広州FC戦を1-0で川崎が勝ち切ったとき、同時キックオフだった他会場のジョホール対蔚山現代はまだ終わっていなかったんです。
1-1のスコアで進んでおり、首位通過のためには勝つしかない両チームの猛攻は凄まじく、アディショナルタイムだけで、ポストに弾かれて、そのリバウンドが味方に当たってあわやという決定機がお互いにあったほどでした。
このままドローで終わると、先に試合を終えた川崎が逆転での首位でのグループステージ突破ということになります。ジョホール対蔚山現代では終了間際に互いに超決定機を決めきれなかったことで「これはサッカーの神様が、川崎フロンターレに微笑んでいる」と勝手に思い込んでしまったほどの展開でした。
しかし、ラストプレーだと思われた場面でハイボールをGKチョ・ヒョヌがパンチング。そのこぼれを拾われてシュート。蔚山現代DFがクリアしに行った足にボールが当たり、そのままゴールネットに吸い込まれる、まさかの決勝弾。
ジョホールは、いくつかの競り合いの場面でファウルを取られてもおかしくなかったようにも見えましたが、主審はゴール認定。VARもありません。画面から伝わるジョホールの熱狂ぶりは、凄まじかったですね。監督はテクニカルエリアを出て走り回り、オーナーと思しき人物はスタジアムで涙を流していました。
DAZNの中継では、ジョホールが勝ち越ししたことが試合後のフロンターレの選手たちに伝わったかどうかのところで中継が途切れています。掴みかけていたグループステージ突破が目前でこぼれ落ちてしまいました。
川崎はグループに2位に。数時間後には、わずかに残っていた他グループとの2位通過争いも破れ、グループステージ敗退が正式に決定。3勝2分1敗でアジアの舞台から去ることになりました。
川崎はわずか1敗。負けたのは蔚山現代だけでしたが、2つの引き分けが響きました。他のグループでは浦和レッズも横浜F・マリノスもKリーグのクラブには負けています。それでもステージ通過できたのは、3位相手にしっかりと2勝しているからでした。レギュレーションにより他グループの2位との成績で決まるため、ジョホールを加えた三つ巴になったこのグループは2位の勝ち点争いが不利だったのです。結果、川崎と蔚山現代が敗退し、ホーム(名目は中立開催ですが)のアドバンテージを最大限に生かしたジョホールがまさかの突破となりました。
Jリーグ王者の看板を背負って臨んでいただけに、川崎フロンターレのグループステージ敗退はネット上ではかなり辛辣な意見が飛び交っていました。
ACLで川崎が勝てないことに対する批判は、シルバーコレクターと呼ばれた無冠時代の雰囲気を思い出す感じがありました。現在のフロンターレはACLで勝ち上がれないと全否定されるほど厳しい意見を言われる立場なのです。
では、今回のACL敗退をどう受け止めるべきなのか。そんな振り返りからしていきましょう。
ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。