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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.61〜特別指定選手・山田新の先発、安藤駿介と早坂勇希のベンチ入り。そしてジェジエウの劇的決勝弾。チームのために自分を捧げるとはどういうことなのか。

自分たちの勝ち方を見つめ直したことで、チームは巻き返しを見せていきます。7月にはガンバ大阪を4-0で圧勝。得点力でねじ伏せる試合が戻ってきました。

 チャナティップや瀬古樹といった新加入選手が思うようにフィットしていないまま夏場となり、シーズン後半戦に向けた戦いが始まっています。

 注目された夏の補強。
後に「正直、悩みました」と竹内本部長は当時の心境を話しています。そして最終的には新戦力の獲得は見送りとなったわけですが、その理由をこう明かしています。

「ジェジエウが戻ってくるし、大島僚太も戻ってくる。戦力に過度な厚みを入れる選択肢はなかったですし、監督とも話した中でそういう決定をしました」

 夏の補強を見送った矢先、最大とも言える危機がチームに訪れます。
8月にかけて、チーム内に新型コロナウイルスの陽性判定を受けた選手が急増してしまったのです。勝敗以前に、満足なメンバーを揃えることができないという緊急事態に見舞われてしまいました。

 リーグ第23節の浦和レッズ戦では、もともと、試合前日までにトップチーム関係者10人の陽性者がリリースされていましたが、試合当日のスクリーニング検査(抗原検査)でさらに陽性判定者が判明。その結果、通常であれば7人いるはずのベンチメンバーが5人しかいません。しかもそのうち3人はゴールキーパー登録の丹野研太、安藤駿介、早坂勇希です。交代できるフィールドプレイヤーが実質2人で、過酷な夏場の90分に16人で臨まなくてはいけなくなりました。

ピッチに立てるのはお互いに11人同士と同じ条件です。でも90分を通じて戦うためには、交代できる選手の枚数に差があります。最初から2人少ない状態で臨まなくてはいけない「総力戦」になっていたわけで、鬼木監督とっても我慢の采配を余儀なくされた一戦でした。試合開催の是非も疑問視された中で臨んだゲームでしたが、1-3で敗戦。優勝争いから一歩後退する結果になっています。


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