見出し画像

鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.45〜何をしないといけないのか。そして何を逃してはいけないのか。大一番になればなるほど問われるもの。

 2021年の4月、早くも天王山を迎えました。
首位・川崎フロンターレは開幕から12戦負けなし。2位の名古屋グランパスもわずか1敗。勝ち点3差でぶつかる天王山です。しかもACLの日程の関係で、アウェイとホームで名古屋と連戦する、リーグ戦では珍しい日程です。早くも優勝をかけた2試合と、Jリーグファンからも注目を集めています。

結論から言うと、アウェイは4-0、ホームでは3-2と2連勝しています。特に第1戦では完膚なきまでに打ち砕きました。試合全体を通じてみても「フロンターレ、強し」を印象付けることができた首位攻防戦だったと思います。

今回はこの2試合を読み解いていきます。

この名古屋戦まで10日間のインターバルがありました。それまでは怒涛の5連戦だったので、チームは一呼吸置くことができました。

 報道陣向けの練習公開日ではおそらく戦術的なメニューはまだやらないのだろうなと漠然と思いつつも麻生グラウンドに足を運んだのですけど、思っていた以上に名古屋を想定したトレーニングをやっていました。開幕から連戦続きで、公開されても試合翌日のリカバリーが多かったという事情もありますが、久しぶりに試合に向けたトレーニングを見ることができたのは有難かったです。

 名古屋守備陣攻略に向けた鬼木監督の具体的な落とし込みの指示もたっぷり見ることが出来ました。そして、チームの練習を取材していて感じたものがあります。

 それは、練習中での雰囲気を含め、チーム全体から伝わる集中と落ち着きです。
2位・名古屋グランパスとの連戦は、言わずもがなの大事な一戦。でも、だからと言って、選手たちの肩に力が入り過ぎることはなく、みな自然体です。

やるべきことを明確にして、そこに緊張感を持ちながら取り組む。リラックスしすぎているわけでもなく、油断しているわけでもありません。皆が勝つための準備に集中している集団の雰囲気が漂っていました。大一番に向けたチームのメンタリティー、空気感が以前とは変わってきているのでしょう。勝ち慣れている集団でありながら、それでいて勝利に貪欲な状態です。

 このインターバル中に知念慶のインタビューがありました。
彼は2020年に大分トリニータで1年間を過ごしてから帰ってきました。ただほんの1年いなかっただけに、驚くほどチームの雰囲気が変貌していることに驚いていました。

 例えば前々節のアビスパ福岡戦では先発で勝利に貢献。ただ試合後のロッカールームでは、みんな淡々として、むしろ試合内容の反省をしている感じだった雰囲気に舌を巻いたそうです。やはり2020年の勝ち続けるようになってからチームは変わったのだと言えます。貴重な証言でしたね。


ここから先は

8,027字
この記事のみ ¥ 200
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。