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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.44〜強いチームには、それだけの理由がある。

2021年の4月、味の素スタジアムでのFC東京戦を控えていました。多摩川クラシコです。

「クラシコは重要な一戦になる。自分たちは良い状態で結果を出せているが、次のクラシコはものすごく難しいゲームになると思っている。FC東京さんは素晴らしいチームなので、自分たちもしっかりと良い準備をしたいと思っている」

試合前、ジェジエウが意気込みをそう語っていました。「クラシコ」という響きはブラジル人のハートを強く刺激するものがあるのかもしれません。

長谷川健太監督のことですから、FC東京もあらゆる策を練ってくることが予想されます。それと同時に、相手がどう対策を練ってきていても、そこをうまく対応しつつあるのが今年の鬼木フロンターレなんだろうな、という感触もあります。

というのも、今季の鬼木監督は、相手のフロンターレ対策を真正面から受け止めて、それを上回っていく姿勢を強く打ち出すことで、チームをより強くしているからです。

例えば、中断明けからの大分トリニータ戦とサガン鳥栖戦の2試合。相手は自分たちのサッカーを確立しているスタイルながら、それをあえて少し変えて等々力に乗り込んできました。

ざっくりというと、大分は普段の3バックではなく4バックに、鳥栖は左肩上がりのビルドアップではなく、左右を入れ替えた右肩上がりにと、それぞれが少しアレンジすることで、フロンターレの狙いを外してきたんですね。ただそうした中でも、相手のやり方、狙いを分かった上で自分たちらしい戦い方に持っていくこと。そこが、今季の鬼木フロンターレのスタンスです。

 思えば、風間フロンターレ時代は、相手がどうであれ、「自分たちのサッカーをする」というマインドでサッカーをしていたところがありました。

 しかし、現在の鬼木フロンターレでは違います。相手がどう対策してきても、それを受け止めた上で、自分たちのサッカーができるように持っていく。「肉を切らせて骨を断つ」と言いますが、「肉をあまり切らせないように受け止めながら骨まで断つ」ような感じがあります。


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