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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.62〜準備してきた策を捨てる。鬼木監督が勝つために見せる決断力。

ルヴァンカップは準々決勝で敗退となりました。

第2戦セレッソ大阪戦が2-2。2-0でクローズするはずだったアディショナルタイムにまさかの2失点。特にラストワンプレーでの失点は記者席での思考と動きがしばらく止まる・・・・そんな瞬間でした。

この結果、第1戦とのトータルスコアが3-3となり、アウェイゴールの差でベスト8で敗退に。試合には負けていないですが、勝負に負けました。

ここ3年、2020シーズン以降に逃した国内タイトルの大会は、すべて等々力で敗退しています。

 2020年のルヴァンカップは、一発勝負の準決勝を等々力でFC東京に負けて敗退。結果的に3冠を逃しています。去年2021年のルヴァンカップは、等々力での準々決勝2ndレグで浦和に土壇場で追いつかれて、アウェイゴールの差で敗退。天皇杯は準決勝で大分トリニータにPK戦の末に敗退。場所はどちらも等々力でした。

そして今年は天皇杯をJ2の東京ヴェルディに負け、このルヴァンカップも等々力で敗退することに・・・・近年のカップ戦敗退は、全てこの等々力の地で喫していることになります。色々と考えさせられる試合でした。

 試合後、最後まで厳しい表情だった鬼木監督は「自分もそうですが、選手も含めて学ばなくてはいけない。そういうゲームだったと思います」と、選手たちに猛省
を促すような指摘をしています。

「サッカーを経験していればわかるはずだと思います。ある意味で、ゲームの中で全員に意思統一ができなかったことになる。自分もそうですが、選手もゲーム展開で感じなくてはいけないところでした」

 鬼木監督のスタンスは、「勝てば選手のおかげ、負けたら自分の責任」です。なので、選手に対してこうしたコメントするのは珍しい出来事でした。

 ただそれも当然かもしれません。選手交代枠は全て使い切った後で、2-0でのリードを守り切れなかったゲームです。サッカーの試合中において、85分に交代枠を使い切った後、監督がやれることやコントロールできる領域はほとんどなかったはずですから。

 そのことに対しては、どう思っているのか。
一夜明けた翌日のオンライン取材でそこを尋ねてみました。

「2失点は5人交代枠を使った後だったので、監督としてもコントロールできる領域は少なかったのでは?」と。

 その回答がやはり自分にベクトルを向ける鬼木監督らしかったです。「人の配置もそうですし、いろんなところでまだまだやれることはありました」と言い、自身の采配で悔やんでいる部分を話し始めてくれました。

「当然、相手がクロスをしてきて、最後は放り込みがありました。そう言う意味では、ヤマをボランチから最終ラインに入れるようにしたりしました。他にも、サイドをもっと抑えるために、違う人を配置することもできたかもしれない。単純に、人の役割としてもっと強く(守備をする)と言ってはいましたが、最後にやられている。そういう意味ではそこらへんの徹底は、自分もそうですし、最後、肝の部分で戦えるようにしていかないといけない」

 ピッチにいるあの11人でも耐える方法、弾き返す方法はあったはずでそれを指示できなかったこと。そこの考えを口にしていました。ただそれよりも悔やんでいたのは、やはり受けに回ったことでした。言葉を続けます。

「やっぱりあの時間帯でも受けに回らないこと。交代選手は守備のために入れたわけではないです。前線にグッと踏ん張ってもらって、後ろを押し上げる時間を作って敵陣でサッカーをやりたかった。それプラス、元気だから守備もできる。それが本来、あるべきところだった。それが単発の攻撃になりすぎた。相手に簡単にボールを渡してしまった。その回数があまりにも多かった。それが悔やまれるところです。そこをどうやってコントロールするのか。そこは課題になると思います」

 本当に色々な「なぜ・・・・」がつくような試合でした。
いずれにせよ、ACL、天皇杯に続き、ルヴァンカップと敗退が続き、今季の複数タイトルの可能性がなくなりました。そして2022年の鬼木フロンターレの試合が観れるのも、リーグ戦の残り12試合です。

 直後の第25節・京都サンガF.C.戦が台風の影響で延期になったため、リーグ戦は第26節のアビスパ福岡戦となりました。

 試合は4-1で勝利。
マルシーニョがハットトリックの大活躍で勝ちました。クラブでハットトリック達成者は、2020年で優勝を決めた時の家長昭博以来。外国籍選手で言えば、2012年のレナト以来だそうです。10年ぶり。ハットトリックといえば、ストライカーが成し遂げるのが相場ですが、2010年の楠神順平や2009年にレナチーニョも達成しているので、意外とサイドのドリブラーもハットトリックしがちなのが、川崎フロンターレだったりしますね。


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