
鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.79〜2試合連続逆転負けで家長昭博が語ったこと。そして7年前と変わったことと変わらないこと。
ガンバ大阪戦は1-3の逆転負け。
サガン鳥栖戦に続き、これで2試合連続での逆転負けです。
かつてのフロンターレは、先制すれば圧倒的に勝つチームでした。2022年に日産スタジアムで横浜F・マリノスに4失点した逆転負けが2018年以来4年ぶりだったぐらいで、それぐらいリードしたら負けませんでした。しかし、今は先制しても2試合連続で逆転負けをしてします。
それがチームの現状ですし、自分たちの力を受け止めるべき重い敗戦となりました。
ただ明るい材料もあります。4試合連続無得点だった時期を思えば、得点は確実に奪えてきているからです。
例えばガンバ大阪戦の瀬川祐輔のゴールまでの崩しは見事でした。
鬼木監督はあのゴールを「自分たちにしか見えないもの」と話していましたが、同時に「どんなにいいゴールだとしても、あれは1点でしかない」と釘を刺しています。だからこそ、失点を簡単に取られることに悔しさを滲ませています。
我慢できずに簡単に失点していることで連敗を喫しているからです。こういうときに危険なのは良い部分だけを見てしまい、よくない部分から目を背けてしまうこと。具体的に言えば、「点が取れているのだから、そのうち勝てるだろう」という楽観ムードになることが危険です。鬼木監督が強調します。
「どんなにいいゴールだとしても、あれは1点でしかない。ただそのゴールへのこだわりっていうのは、自分たちが一番持たなきゃいけない。例えば、ブロック引いた相手の崩しには泥臭さも必要だけど、そうじゃない部分での、やっぱり自分たちにしか見えないもの、崩せるものっていうものを、どんどんどんどん貫いていくっていうのは変わらないので。だから、そこは彼らにしかできないものを見せてるからこそ、逆に失点だけを取れば、なんでこんな簡単に取られるのっていう思いがある。だから、そこのギャップをちゃんと埋めていかないと」(鬼木監督)
もともと風間監督時代からフロンターレは素晴らしい崩しを見せるチームでした。じゃあ、鬼木監督になってから何が変わったのかというと、守るべきときは守ることができるようになったから勝ち続けられたのです。鬼木監督は「原点回帰」を口にしていましたが、つまりは、そういうことなのだと思います。
「僕が監督をやるときにやっぱり守るときは守れるようにしたいっていう形で始めたところもあります。今はゴールへの価値は見出しつつも、そこがあるから他がいいよねっていうのは自分の中でなしにして、しっかりしていきたいところでもある。守備のところはやっぱりおろそかにしない。全員でしっかりとやっていきたいなっていう思います」
思えば、昨年の天皇杯決勝では守備で我慢する鬼木フロンターレでタイトルを勝ち取りました。ああいう粘り強さは、鬼木監督が植え付けたスタイルの特徴です。失点しない強さを見せてほしいと思います。
ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。