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鬼木フロンターレとは何だったのか:Vol.43〜J史上10クラブ目となるJ1通算300勝達成。鬼木達が見てきたもの、そしてこれから目指していくもの。

 代表期間が終わり、リーグ再開です。

多くの視線を集めるのは、やはり代表組だと思います。日本代表の山根視来と脇坂泰斗、U-24代表の三笘薫、旗手怜央、田中碧。代表から帰ってきた彼らがJリーグの舞台でどんなプレーを見せるのか。自ずと注目される存在になるはずで、大分戦はその中でのプレーとなります。

「あそこ(代表)で感じた基準をしっかり持ち帰って、自分の中で常に高く続けていくことが大事。そう思って(麻生で)トレーニングしました」

 代表活動で受けた刺激について、山根視来はそう振り返ります。日韓戦での代表デビュー戦ゴールもそうですが、自分なりのパフォーマンスを表現することも意識していたと言います。

「(代表は)入るまでが大変。入ってからは、中でできることを示せれば、見てくれる回数も増える。それは代表に呼ばれた時から意識してやっていた。そういうところで、代表活動は終わったので、いかにJリーグで突出した存在になれるか。今後、6月の活動に向けて大事になる」

 特に「Jリーグで突出した存在になれるか」という志の高さは、代表でプレーしたからこそでしょう。興味深かったのは、彼が紡ぐコメントには何度か「基準」というフレーズが出てきていたことです。おそらく代表でプレーしたことによって自分なりの物差しができたのでしょう。代表で得た基準でプレーしたいと口にしています。

「高いインテンシティの中で発揮する技術が大事だと思いました。代表という場所に身を置き、それを目の前のピッチレベルで感じるのは刺激的だった。自分の中で変わったものはかなりある。練習の強度、試合の強度についていくのに必死だった。今の自分はJリーグでプレーしているので、自分だけでも忘れないでやることが、代表基準で活躍したり成長する上で大事なポイントだと思っている」

 山根が言う「代表基準」というのは、具体的なプレーとしてどう落とし込むのか。

「ボールを奪われた瞬間の切り替えを上げること。球際をもっと激しくいく。1人で守れるようにする。1人で多くの人数をみないといけない。そういうところは、自分がまずプレーで体現することが大事だと思っています。良い結果を出して、これをやらなきゃ川崎では試合に出れないと思われるように、継続して試合でやっていきたい」

 その言葉の端々から、代表という刺激が山根視来の中で何かが変わり始めているのは間違いないと思います。そういう選手の存在がチームにどういう化学反応をもたらしてくれるのか。それがサッカーチームの面白いところでもあります。

振り返ってみると、現役時代の中村憲剛さんは、川崎フロンターレから代表に選ばれ続けて欲しいと常に言い続けていました。自身が召集されなくなった2013年以降も、小林悠、大島僚太、谷口彰悟、車屋紳太郎、そして守田英正といった面々が召集されたら、そのことをとても歓迎していました。

 なぜだったのか。
自身の経験談から、こんな風によく話してくれていました。


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