【小説:恋する異世界】王子様、この国の貴族たる者の責務をお忘れですか!
どの国でも創世期にまつわる逸話があり、それは後世の者たちにとって侵さざる心の礎として深く信じ守られているものだ。
かつて敵国に攻め込まれた時、この国の王子は王宮で迎撃した。
重い甲冑を身に着けている敵兵たちは、王宮へなだれ込んではツルツルの床に足を取られ、勇敢なる王子にどんどん打ち取られた。
敵兵はその数を減らし、この国は戦いに勝ったのである。
この故事にならい、ヒロイズム王朝の王宮は氷のようにつるつるである。
時が経ち歴史が下るに従い、この国では、なめらかな床で行う優